9211東証グロース

株式会社エフ・コードのM&A実績

デジタルマーケティングとIT人材の周辺で、設立数年の若い会社を年に5〜6社のペースで買っている会社です。売り手は創業者を中心とした個人株主が多く、対象の売上は1億円台から30億円弱まで。値段の決め方を毎回、式の形で開示しています。「正常収益ベースの調整後営業利益に約5年の回収期間を掛け、純資産を加えた想定時価総額×取得比率」。売り手が自分の会社の値段を事前に見積もれる、珍しい買い手です。

株式会社エフ・コードが公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月8日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都新宿区
設立
―
事業内容
企業のデジタルマーケティング支援とSaaSを軸に、オンラインスクール、SNSマーケティング、ITエンジニアリングなどの子会社を束ねる
売上高
119億3,700万円(2025年12月期(連結・IFRS))
営業利益
23億4,400万円
純資産
67億6,600万円

どんな会社を買っているか

買う業種
SNS・インフルエンサーマーケティング/オンラインスクール(Web制作、動画編集、AI)/ITエンジニアリング、AIシステム開発/データコンサルティング、セールス・コールセンター支援
対象の規模
対象の売上 1.3億円〜29.2億円
手法
株式譲渡が中心。全株ではなく67%〜85%を買い、売り手に一部を残す形が多い。売り手が会社分割で事業を新会社に移し、その株式を譲り受ける形も使う
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残しています。買われたReal usが、2026年に自らEn placeを買う側に回った例もあります。
  • 取得価額は全件で開示されています。しかも算定の式が毎回書かれています。デイトラでは「調整後営業利益約2.2億円×5年+純資産1.16億円」に取得比率80%を掛けると約9.7億円で、実際の取得価額9.91億円とほぼ一致します
  • 「調整後営業利益」は、決算書の営業利益と大きく違うことがあります。一度きりの取引を除き、削れる外注費を足し戻し、買収後に増える広告費や管理費を引いた数字です。Roomboxは直近の営業利益1億1,500万円に対して調整後は約6,000万円、逆にデイトラは500万円に対して約2.2億円でした
  • ほぼ全件に、業績に応じて対価を増減させる取り決めがあります。「業績進捗に応じた譲渡対価の調整に関する合意」と書かれ、追加払い(アーンアウト)も減額もあり得ます
  • 67%〜85%だけを買い、創業者に株を残す案件が多い会社です。残した株は、その後の業績次第で価値が変わります

買収の履歴8件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年4月27日株式譲渡(85%を取得)

株式会社Roombox

不動産業界に特化したSNSマーケティング支援/東京都渋谷区/2021年1月設立

取得価額
4億3,200万円
対象の売上
3億1,500万円
対象の営業利益
1億1,500万円
対象の純資産
1億1,700万円

決算期:2025年12月期/譲渡前の株主:代表者(鶴巻 禎)51.0%ほか1名/85%分の価額。アドバイザリー費用等の概算6百万円は別。「正常収益ベースの調整後年間営業利益(約0.6億円〜)に5年程度の回収期間を設定し、買収時純資産を加味した想定時価総額×取得比率」で決定。業績進捗に応じた対価調整の合意あり

買収理由:不動産業界向けのSNSマーケティングノウハウの獲得

設立5年、売上は7,000万円→1億4,400万円→3億1,500万円、営業利益は1,400万円→5,000万円→1億1,500万円と急成長していました。85%分に4億3,200万円です。注目は、買い手が値段の基準にした「調整後営業利益」が約6,000万円と、実績の半分程度に置かれていることです。単発の取引の売上・利益を除き、今後増える広告費や管理部門の費用を差し引いた結果です。急成長中の会社ほど、直近の利益がそのまま値段の基準になるとは限りません。

買収後存続2026年10月8日時点

2026年5月8日に株式を取得し、社名のまま連結子会社になりました(2026年12月期中間決算短信)。

確認元:2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社Roomboxの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2026年2月10日株式譲渡(75%を取得。子会社ONEも孫会社に)

株式会社AI ONE

AIツールを活用した実践型のAIスクール/2024年2月設立

取得価額
12億円
対象の売上
2億7,500万円
対象の営業利益
2億4,600万円
対象の純資産
1億6,300万円

決算期:2025年12月期(見込み)/譲渡前の株主:代表者(森谷 和正)が100%保有/75%分の価額。アドバイザリー費用等の概算51百万円は別。「正常収益ベースの調整後年間営業利益(約2.8億円〜)に概ね5年程度の回収期間を設定し、純資産等を加味した想定企業価値×持分比率」で決定。取得価額とAI ONEが持つ子会社株式の価値を合わせると概ね30億円程度と開示/AI ONE単体の2025年12月期見込み。子会社を含むグループでは売上約15億円〜・営業利益約4.9億円〜を想定と開示

買収理由:AI活用分野の実践的な教育・コンサルティングノウハウの獲得

設立2年で、75%分に12億円が付いた案件です。単体の見込みで売上2億7,500万円・営業利益2億4,600万円、子会社を含むグループでは売上約15億円・営業利益約4.9億円を想定しています。値段の基準にした調整後営業利益は約2.8億円で、ここに約5年を掛ける式です。生成AIのように伸びている分野では、設立間もない会社でも、利益の5年分という水準で値段が付きます。

買収後存続2026年10月8日時点

2026年2月24日に株式を取得し、子会社のONEとともに社名のまま連結されました(2026年12月期中間決算短信)。

確認元:2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社AI ONEの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年8月12日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社ブイスト

動画編集スクールの運営/2022年11月設立

取得価額
3億3,400万円
対象の売上
1億2,800万円
対象の営業利益
2,600万円
対象の純資産
5,100万円

決算期:2024年10月期/譲渡前の株主:代表者(山田 一真)が100%保有/アドバイザリー費用等の概算12百万円を加えた合計額は347百万円。「正常収益ベースの調整後年間営業利益(約0.5億円〜)に5年程度の回収期間を設定し、買収時純資産を加味した想定時価総額」で決定。業績進捗に応じた対価調整の合意あり

買収理由:動画編集スクール事業の獲得

設立3年弱、売上1億2,800万円・営業利益2,600万円・純資産5,100万円で、3億3,400万円。実績の営業利益に対しては12.8倍ですが、買い手が基準にした調整後営業利益は約5,000万円で、こちらで見ると約6.7倍です。営業利益は4,600万円→2,600万円と下がっていましたが、外注費の削減などを織り込んだ数字で評価されています。

買収後存続2026年10月8日時点

株式を全株取得し、社名のまま連結子会社になりました(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社ブイストの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年8月1日株式譲渡(85%を取得)

株式会社Real us

インフルエンサー支援、キャリアスクール/東京都目黒区/2023年6月設立

取得価額
2億9,200万円
対象の売上
2億7,400万円
対象の営業利益
5,100万円
対象の純資産
5,400万円

決算期:2025年4月期/譲渡前の株主:加藤仁聡氏45.2%、小林理玖氏45.2%、ほか個人2名各4.8%/85%分の価額。アドバイザリー費用等の概算11百万円は別。「正常収益ベースの調整後年間営業利益(約0.5億円〜)に5年程度の回収期間を設定し、買収時純資産を加味した想定時価総額×取得比率」で決定。対価調整の合意あり

買収理由:インフルエンサーマーケティングとキャリアスクール事業の獲得

設立2年、売上2億7,400万円・営業利益5,100万円・純資産5,400万円で、85%分に2億9,200万円。営業利益の5.7倍です。2期目にいきなり営業利益が100万円から5,100万円に跳ねたところでの譲渡でした。2期分の決算しかなくても、上場企業は買います。

買収後存続2026年10月8日時点

社名のまま連結子会社として残り、2026年1月には自らEn placeの株式を取得して親会社になっています(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社Real usの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年6月30日株式譲渡(80%を取得)

株式会社デイトラ

Web制作・デジタルスキルのオンラインスクール、メディア/東京都豊島区/2019年5月設立

取得価額
9億9,100万円
対象の売上
6億3,400万円
対象の営業利益
500万円
対象の純資産
1億1,600万円

決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:大滝昇平氏(代表者)32.5%、戸田功貴氏・伊藤宏晃氏・船越良太氏 各22.5%/80%分の価額。アドバイザリー費用等の概算7百万円は別。「正常収益ベースの調整後年間営業利益(約2.2億円〜)に5年程度の回収期間を設定し、買収時純資産を加味した想定時価総額×取得比率」で決定

買収理由:デジタルスキル教育事業の獲得

売上6億3,400万円に対して、直近の営業利益はわずか500万円。それでも80%分に9億9,100万円が付きました。営業利益は1億100万円→7,200万円→500万円と下がり続けていましたが、開示によると、直近期には削れる外注費や一時的な外注費が多く計上されており、グループと重複するコストの削減や確度の高い成長も見込めるため、買い手は調整後営業利益を約2.2億円と置いています。2.2億円×5年+純資産1.16億円に80%を掛けると約9.7億円で、開示された式どおりの値段です。残る20%についても、業績に応じて追加で譲渡する合意があります。

買収後存続2026年10月8日時点

2025年7月1日に株式を取得し、社名のまま連結子会社になりました(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社デイトラの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年2月27日売り手が会社分割で事業を新会社に移し、その株式の67%を取得

株式会社SmartContact(株式会社FCOMSの新設分割会社)

セールス支援、コールセンター、ストアソリューション/東京都新宿区/2025年2月(会社分割で新設)設立

取得価額
6億700万円
対象の売上
26億6,000万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2024年12月期(事業単位)/譲渡前の株主:株式会社FCOMS(FiLL'sホールディングス株式会社の100%子会社)が100%保有/67%分の価額。アドバイザリー費用等6百万円は別。補足説明資料では、調整後年間営業利益(約1.7億円〜)に5年程度の回収期間を設定し、純資産を加味して算出と説明。対価調整の合意あり/分割された事業の2024年12月期の売上。新会社のため確定した決算はなく、利益と純資産は開示されていない

買収理由:マーケティングからセールスまで一気通貫で支援できる体制づくり

売上26億6,000万円の事業を新会社に切り出し、その67%を6億700万円で譲り受けています。会社をまるごとではなく、売りたい事業だけを新会社に移して売る形です。売り手の親会社は3割強を持ち続けます。

買収後存続2026年10月8日時点

2025年3月10日に株式を取得し、社名のまま連結子会社になりました(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社FCOMSの新設分割会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年2月4日株式譲渡(80%を取得)。売り手側が会社分割で事業を新会社に移したもの

株式会社Ciel Zero

ITエンジニアリングサービス、AIシステム開発/2025年1月(会社分割で新設)設立

取得価額
13億1,000万円
対象の売上
29億2,100万円
対象の営業利益
1億7,100万円
対象の純資産
1億円

決算期:2024年10月期(事業単位)/譲渡前の株主:株式会社ウエ(2024年11月設立、上本裕介氏が100%保有)が100%保有/80%分の価額。アドバイザリー費用等の概算7百万円は別。「取得時の想定純資産と年間想定営業利益を基礎に決定」。業績進捗に応じた対価調整の合意あり/新会社に移した事業の2023年11月〜2024年10月の実績

買収理由:ITエンジニアリングとAIシステム開発の人材獲得

売上29億2,100万円・営業利益1億7,100万円の事業で、80%分に13億1,000万円。営業利益の7.7倍です。事業は会社分割で新会社に移され、その株を上本氏が持つ会社(ウエ)が取得したうえで、エフ・コードに売られています。事業を切り出してから売る進め方の実例です。

買収後存続2026年10月8日時点

2025年2月14日に株式を取得し、社名のまま連結子会社になりました(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社Ciel Zeroの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年12月26日株式譲渡(完全子会社化)

株式会社ゼロタス

データコンサルティング、デジタルマーケティング/東京都渋谷区/2022年3月設立

取得価額
2億1,900万円
対象の売上
1億5,800万円
対象の営業利益
1,300万円
対象の純資産
2,000万円

決算期:2024年2月期/譲渡前の株主:共同創業者2名(一戸 悠河 51.0%、内木 遥汰 49.0%)/アドバイザリー費用等の概算5百万円を加えた合計額は225百万円。「取得時の想定純資産47百万円と年間想定営業利益30百万円を基礎に決定」。業績進捗に応じた対価調整の合意あり

買収理由:データ活用とデジタルマーケティングの人材獲得

設立2年半、売上1億5,800万円・営業利益1,300万円・純資産2,000万円で2億1,900万円。この案件は値段の内訳がいちばん読みやすい例です。基礎にしたのは想定純資産4,700万円と年間想定営業利益3,000万円で、(2億1,900万円−4,700万円)÷3,000万円=約5.7年分の利益に純資産を足した値段になります。

買収後存続2026年10月8日時点

2025年1月17日に全株式を取得し、社名のまま連結子会社になりました(2025年12月期決算短信)。

確認元:2025年12月期決算短信〔IFRS〕(連結)

出典:株式会社ゼロタスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された8件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社Roombox4億3,200万円(売上の1.37倍・営業利益の3.8倍)
  • 株式会社AI ONE12億円(売上の4.36倍・営業利益の4.9倍)
  • 株式会社ブイスト3億3,400万円(売上の2.61倍・営業利益の12.8倍)
  • 株式会社Real us2億9,200万円(売上の1.07倍・営業利益の5.7倍)
  • 株式会社デイトラ9億9,100万円(売上の1.56倍・営業利益の198.2倍)
  • 株式会社SmartContact(株式会社FCOMSの新設分割会社)6億700万円(売上の0.23倍)
  • 株式会社Ciel Zero13億1,000万円(売上の0.45倍・営業利益の7.7倍)
  • 株式会社ゼロタス2億1,900万円(売上の1.39倍・営業利益の16.8倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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