株式会社アスリナのM&A実績
太陽光発電の売買に頼る業績の振れを減らすため、本業と違う分野の小さな事業を買って「新しい収益の柱」にしようとしている会社です。同業を買い集めるロールアップではなく、化粧品・健康食品の卸、ライブコマース、オーダーカーテン専門店と、1件ごとに分野が違います。金額は5,000万円、3,000万円と小さく、設立2年目の会社や、民事再生中の会社の一事業部門も対象にしています。
株式会社アスリナが公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都品川区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 太陽光発電所の販売・運営などの再生可能エネルギー事業を軸に、系統用蓄電池、低炭素冷媒、化粧品の製造販売などのサステナブル事業を手がける会社。2026年2月に株式会社ジー・スリーホールディングスから商号変更
- 売上高
- 6億600万円(2025年8月期(連結))
- 営業利益
- △2億9,900万円
- 純資産
- 6億9,500万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 化粧品・健康食品・美容機器の卸売/SNSを使ったライブコマース(アンティーク家具・ジュエリー等)/オーダーカーテンの専門店
- 対象の規模
- 対象の売上 1.2億円〜4.4億円
- 手法
- 事業譲受が中心。新設した子会社で事業を受ける形と、本体に事業部を新設して受ける形の両方がある。株式取得では60%だけを買い、残りは元の株主が持ち続ける形も使う。アーンアウト(業績連動の追加支払い)を付けた実績もある
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 株式を買った会社は社名のまま子会社として残しています(MF6は取得後に東京プロマーケットへの上場準備を開始)。事業を受けるために作った子会社は、親会社の商号変更に合わせて社名を変えています(ジー・スリーファクトリー→アスリナR&D)。一方で、グループの子会社を外部に売ることもあります(2023年にエコ・テクノサービス、2026年に日本グリーン油田開発を売却)。
- 金額が出ている案件が2件あります。MF6の60%が5,000万円、MAKE VALUEのカーテン事業が3,000万円+棚卸資産相当額です。売上1〜4億円規模の事業にいくら払ったかが分かります
- 民事再生中の会社からも事業を買っています。MAKE VALUEのカーテン事業は、裁判所の許可を条件に事業だけを譲り受け、負債は引き継いでいません
- 後払いを組み合わせた実績があります。2021年のCファクトリーからの事業譲受では、売上目標を超えた分に応じて追加で支払うアーンアウト条項を付けています
- 取締役の関係先から持ち込まれた案件もあります。MF6は取締役の紹介による案件で、関連当事者取引と同等に扱い、第三者機関の算定を使い、その取締役は決議に加わっていません
- 2018年の永九能源株式会社の取得(8億8,000万円)は、太陽光発電所1か所を保有するだけの会社を発電所の取得目的で買ったものなので、この一覧には入れていません
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社MAKE VALUEのテキスタイル事業(オーダーカーテン専門店「カーテンファクトリー」)
オーダーカーテンの販売(専門店「カーテンファクトリー」)/東京都港区/譲渡会社は2008年8月設立設立
- 取得価額
- 3,000万円
- 対象の売上
- 4億3,700万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2026年6月期(事業部門)/譲渡前の株主:譲渡会社(株式会社MAKE VALUE)は個人1名(井上 巨望)が100%保有/譲受価額は3,000万円+事業譲受実行日時点の棚卸資産相当額。棚卸資産は8月31日時点で1,200万円程度と開示。現金決済。このほか事業開始時に運転資金・商品仕入等で3,000万円程度の支出を見込む/譲渡会社が提供したテキスタイル事業部門の数値
買収理由:20年以上続くオーダーカーテン専門店の店舗網・顧客基盤・仕入先との取引関係を承継し、新しい収益基盤にする
アンティーク家具の輸出入などを手がけていたMAKE VALUEは、資金繰りの悪化で2026年7月13日に民事再生を申し立てました。その中で黒字だったカーテン事業部門(売上4億3,700万円・経常利益1,500万円)だけが、申立てから約2か月で売られています。価格は3,000万円と在庫分。主な資産は商品・車両・商標権・店舗の保証金で、負債は引き継がず、従業員は本人の同意を得て買い手が雇い直す形です。会社全体が行き詰まっても、利益の出ている事業は切り出して残せる、という実例です。なお買い手の子会社MF6は、もともとMAKE VALUEから仕入れをしていた取引先でした。
2026年9月30日に事業譲受を実行し、10月1日からアスリナ本体のテキスタイル事業部として開始する予定と開示されています。その後の中止や変更の開示はありません。
株式会社MF6
SNSを使ったライブコマース(アンティーク家具・雑貨、ジュエリー、ブランド品)/東京都江戸川区/2023年10月設立
- 取得価額
- 5,000万円
- 対象の売上
- 1億1,800万円
- 対象の営業利益
- 92万円
- 対象の純資産
- 4,158万円
決算期:2025年2月期(11か月)/譲渡前の株主:スターシーズ株式会社60.00%、井上 巨望40.00%。取得したのはスターシーズ保有の60%/60%(150株)の取得価額。第三者機関の算定結果をもとに協議して決定。このほか、実行日に借入金返済のための6,000万円をMF6へ貸し付ける予定と開示/決算期変更により2024年4月〜2025年2月の11か月分
買収理由:ライブコマースの運営ノウハウと顧客網を、オリジナル化粧品やポータブル蓄電池など一般向け商品の販売チャネルにする
設立2年目で、最初の決算(11か月)は売上1億1,800万円・営業利益92万円・純資産4,158万円。利益はほぼゼロでも、60%に5,000万円の値段がついています。純資産の60%(約2,500万円)の2倍ほどで、専門知識を持つ売り手(コマーサー)と常連客の網という目に見えない部分が評価された形です。株式代金とは別に、借入金を返すための6,000万円の貸付も予定されていました。会社の借入をどう片づけるかまで含めて条件が組まれる例です。40%は元の株主側が持ち続け、取得の約1か月後にはTOKYO PRO Marketへの上場準備を始めると発表されています。
2026年9月の事業譲受の開示でも「当社子会社である株式会社MF6」と記載されています。2026年4月1日開示の『株式会社MF6の株式上場準備に関するお知らせ』では、アスリナ60.0%・株式会社KING40.0%の株主構成で、TOKYO PRO Marketへの上場準備を開始したとしています。
株式会社Cファクトリーの事業の一部
企業向けの医療機器・医療用消耗品の販売、化粧品・健康食品・美容機器の製造販売/東京都中央区/譲渡会社は2020年7月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億8,900万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2021年6月期(見込み)/譲渡前の株主:譲渡会社(株式会社Cファクトリー)は株式会社サスティナが100%保有/相手先の意向と守秘義務契約により非開示。「直前連結会計年度末の純資産(24億5,887万円)の30%に相当する額以下」。業績連動のアーンアウト条項付きで、売上が1期目2億5,000万円、2期目5億5,000万円、3期目以降6億円を超えた額に応じて追加支払い(上限も同じく純資産の30%以下)。第三者機関によるデューデリジェンスを実施/2021年6月期の見込み
買収理由:再生可能エネルギーへの偏りを減らし、医療・美容分野で収益の柱を増やす
譲渡会社は設立から7か月、資本金100万円。事業の売上は2億8,900万円・売上総利益1億9,700万円(いずれも見込み)でした。譲り受けた資産は商品・前渡金など在庫まわりだけで、負債は引き継いでいません。価格は非開示ですが、「売上が目標を超えたら超えた分に応じて追加で払う」という後払いの条件が開示されています。これから伸びると見込む事業を売るとき、売り手と買い手の見立ての差を後払いで埋める形の実例です。
事業の受け皿として新設した株式会社ジー・スリーファクトリーは、2026年2月1日に株式会社アスリナR&Dへ商号変更しました(2026年1月29日開示の『連結子会社の商号変更に関するお知らせ』)。2026年8月の開示でも連結子会社として記載されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社MAKE VALUEのテキスタイル事業(オーダーカーテン専門店「カーテンファクトリー」)3,000万円(売上の0.07倍)
- 株式会社MF65,000万円(売上の0.42倍・営業利益の54.2倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社アスリナが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日