ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社のM&A実績
地域のエレベーター保守会社を、県ごとに1社ずつ買い足している会社です。売り手のほとんどは個人株主で、売上6,000万円台・資本金30万円の会社から、売上6億円台の会社まで買っています。欲しいのは「保守契約台数」で、開示には毎回「約300台」「1,800台以上」と、何台を管理している会社かが書かれます。営業赤字や債務超過の会社も繰り返し買っており、業績より契約台数と地域を見ている買い手です。
ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社が公表した適時開示16件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都中央区
- 設立
- 1994年10月
- 事業内容
- メーカー系列に属さない独立系のエレベーター・エスカレーター等の保守・保全、リニューアルを全国で展開する持株会社
- 売上高
- 576億100万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 110億1,000万円
- 純資産
- 249億9,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- エレベーター等の保守・保全(独立系メンテナンス会社)/小荷物昇降機の保守/立体駐車装置の保守/ビルメンテナンス
- 対象の規模
- 対象の売上 0.6億円〜6.6億円(2022年以降の案件は業績非開示)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。51%〜68%だけを先に買い、残りを後から買い増す形が多い(三好エレベータは1年2か月後、セイコーエレベーターは1か月後に100%化)
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 地域の会社は社名のまま残すのが基本ですが、同じ地域に自社の「ジャパンエレベーターサービス◯◯」がある場合は、数年後にそちらへ吸収合併しています。この一覧の16件では、10社が社名のまま残り、5社が吸収合併されました(セイコーエレベーター、関西エレベーター、トヨタファシリティーサービス、四国昇降機サービス、四国エレベーターサービス)。
- 取得価額は16件中15件で非開示です。理由は毎回「相手先の意向及び当事者間の守秘義務契約」。そのうえで「第三者算定機関による株式価値の算定結果を勘案し決定」と書かれます。唯一金額が出ているのは、売り手が法人だった関西エレベーター(5億9,300万円)です
- 2021年までの開示には、対象の3期分の業績が載っています。2022年以降は業績の表が省かれ、所在地・資本金・株主構成・取得割合だけになりました
- 営業赤字・債務超過の会社を何度も買っています。NSエレベータ(3期連続の営業赤字、純資産マイナス2,770万円)、コスモジャパン(純資産マイナス480万円)、四国昇降機サービス(純資産マイナス260万円)など
- 一度に全部を買わないことが多い会社です。51%(NSエレベータ、三好エレベータ)、51.66%(EVOTECH)、52.50%(エレドック沖縄)、60%(トヨタファシリティーサービス)、90%(東京エレベーター)と、一部を残して取得する形が繰り返し出てきます
- グループ内合併の開示には、個別の買収開示が出ていない会社(北海道のエミック、高知の生田ビルディングメンテナンス)も登場します。開示基準に届かない規模の買収もしていると読めます
- ほかに、ベトナムのエレベーター会社の持分取得(2021年)と、IHI運搬機械からのカーリフト保守契約の譲受(2025年12月契約)がありますが、海外案件と大企業からの契約譲受のためこの一覧には入れていません
買収の履歴16件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
有限会社ナカ・エレベータ
小荷物昇降機を中心としたエレベーター等の保守(契約約350台)/愛知県瀬戸市/1983年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:東海地方での事業基盤の強化と、人員の相互活用による効率的なメンテナンス
資本金300万円の有限会社。扱っていたのは人が乗るエレベーターではなく、飲食店や病院で使う小荷物昇降機が中心です。それでも「同業」として迎えられています。保守契約が約350台あれば、ニッチな機種でも上場企業の買収対象になる例です。業績は開示されていません。
公式サイトのグループ企業一覧に「株式会社ナカ・エレベータ」(愛知県瀬戸市)として載っています。取得時は有限会社だったため、その後株式会社に移行したとみられます(推定)。2026年3月期の決算短信でも連結子会社とされています。
株式会社エレドック沖縄
エレベーター等の保守(約900台)/沖縄県那覇市/1998年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人12名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:沖縄県での事業基盤の強化
株主が12名に分かれていた会社です。買い手は全部ではなく52.50%だけを取得しています。株主が多くて全員の同意を取りにくい場合でも、過半数だけを先に譲るという形なら話が進む例です。約900台の保守契約を持つ、沖縄の地場企業でした。
公式サイトのグループ企業一覧に社名のまま載っています。残りの株式を買い増したかどうかの開示は確認できていません。
株式会社EVOTECH
立体駐車装置等の保守(6,400パレット以上)/北海道札幌市/2008年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:顧客層(マンション管理会社・ビルオーナー)が重なる立体駐車装置の保守への進出
資本金300万円。エレベーターではなく立体駐車場の保守会社です。買い手は「顧客層が重なっている」ことを理由に挙げています。本業そのものでなくても、同じお客さんを相手にしている隣の業種なら買い手候補になります。オーナーは51.66%を譲り、残りを持ったままです。
株式会社関東エレベーターシステム
エレベーター等の保守(1,200台以上)/群馬県館林市/1976年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人4名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:北関東での事業基盤の強化
創業1976年、資本金2,000万円。群馬県を中心に1,200台以上を管理していました。この案件から開示に業績の表が載らなくなりました。個人4名から100%をまとめて取得しています。
四国エレベーターサービス有限会社
エレベーター等の保守(300台以上)/徳島県徳島市/1990年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8,420万円
- 対象の営業利益
- △300万円
- 対象の純資産
- 1,340万円
決算期:2021年3月期/譲渡前の株主:個人3名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:四国地区での事業基盤の強化
資本金300万円の有限会社。売上は1億1,580万円→9,340万円→8,420万円と2年で3割近く減り、直前期は営業損失300万円でした。売上が落ちて赤字に転じた年でも、300台の保守契約があれば買い手はつきます。
2025年10月1日付で、グループのジャパンエレベーターサービス中四国株式会社に吸収合併され、解散しました(合併開示では「四国エレベーターサービス株式会社」と表記)。取得から約4年後です。
四国昇降機サービス株式会社
エレベーター等の保守(200台以上)/高知県高知市/2006年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6,150万円
- 対象の営業利益
- 10万円
- 対象の純資産
- △260万円
決算期:2020年5月期/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:四国地区での事業基盤の強化
この一覧で最小の案件です。資本金30万円、発行済株式6株、売上6,150万円。営業利益は9万円とほぼゼロで、純資産はマイナス260万円の債務超過でした。社長1人が株を持つ小さな会社で、債務超過でも、上場企業が開示まで出して買っています。
2023年9月にはグループ会社の生田ビルディングメンテナンスを吸収する側になりましたが(2023年6月14日開示の『連結子会社の再編(完全子会社間の合併)に関するお知らせ』)、2025年10月1日付でジャパンエレベーターサービス中四国株式会社に吸収合併され、解散しました。
エヒメエレベータサービス株式会社
エレベーター等の保守(1,300台以上)/愛媛県松山市/1985年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億8,950万円
- 対象の営業利益
- 1,790万円
- 対象の純資産
- 2億8,480万円
決算期:2020年7月期/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:四国地区での事業基盤の強化
売上3億8,950万円・営業利益1,790万円・純資産2億8,480万円。純資産が売上の7割を超える、内部留保の厚い会社でした。直前期は売上が4億8,990万円から3億8,950万円へ、営業利益も7,600万円から1,790万円へ落ちた年での譲渡です。
公式サイトのグループ企業一覧に社名のまま載っています。同じ四国の2社が2025年に合併された一方、この会社は残っています。
株式会社トヨタファシリティーサービス
エレベーター等の保守(首都圏・関西圏で1,000台以上)/東京都豊島区/2013年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億6,650万円
- 対象の営業利益
- 720万円
- 対象の純資産
- 4,840万円
決算期:2020年6月期/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(うち1名から取得。氏名は非公開)/非開示
買収理由:首都圏・関西圏での保守契約台数の増加
売上2億6,650万円・営業利益720万円・純資産4,840万円。売上は3億2,190万円→2億9,100万円→2億6,650万円、営業利益は2,200万円→1,330万円→720万円と、3期続けて下がっている局面での譲渡です。株主2名のうち1名分、60%の取得でした。
2023年12月1日付で、グループのジャパンエレベーターサービス城西株式会社に吸収合併され、解散しました。取得から約2年半後です。
東京エレベーター株式会社
エレベーター等の保守(首都圏で450台以上)/東京都中央区/1997年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億1,630万円
- 対象の営業利益
- △1,100万円
- 対象の純資産
- 6,660万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:首都圏での保守契約台数の増加
売上2億1,630万円・純資産6,660万円。前期は営業利益2,770万円でしたが、直前期は営業損失1,100万円に転落していました。株主1名から90%を取得しており、10%は売り手の手元に残った計算です。
株式会社長野エレベーター
エレベーター等の保守(松本市・長野市で約300台)/長野県松本市/1974年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億340万円
- 対象の営業利益
- 630万円
- 対象の純資産
- 5,100万円
決算期:2020年2月期/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:未展開だった長野県へのサービス地域の拡大
創業1974年、売上1億340万円・営業利益630万円・純資産5,100万円。売上1億円規模でも、その県に拠点がない買い手にとっては「県の入口」として価値があります。
株式会社関西エレベーター
エレベーター等の保守(大阪・兵庫で約1,400台)/大阪府大阪市/1999年3月設立
- 取得価額
- 5億9,300万円
- 対象の売上
- 4億540万円
- 対象の営業利益
- 3,430万円
- 対象の純資産
- 6,330万円
決算期:2019年9月期/譲渡前の株主:株式会社ColorsJapan(住宅設備の販売・不動産業)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)1.9百万円を加えた合計は594.9百万円(概算)
買収理由:関西圏での保守契約台数の増加
この会社の案件で唯一、金額が開示されたものです。5億9,300万円。売上4億540万円・営業利益3,430万円・純資産6,330万円に対して、純資産の約9.4倍、営業利益の約17倍、売上の約1.5倍がついています。約1,400台で割ると1台あたり約42万円の計算です。売り手は個人ではなく、住宅設備・不動産の会社でした。総資産11億円に対して純資産6,000万円台と借入の重い会社でしたが、保守契約の積み上がった会社は、純資産と関係なく値段がつくことが分かる例です。
2023年5月1日付で、グループのジャパンエレベーターサービス関西株式会社に吸収合併され、解散しました(2023年2月16日開示の『連結子会社の再編(完全子会社間の合併)に関するお知らせ』)。取得から約2年半後です。
株式会社三好エレベータ
エレベーター等の保守(香川・岡山・高知で1,800台以上)/香川県高松市/1981年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億3,480万円
- 対象の営業利益
- 80万円
- 対象の純資産
- 4億6,950万円
決算期:2019年10月期/譲渡前の株主:個人7名が100%保有(最初は3名から51%、残り49%は5名から取得。氏名は非公開)/非開示
買収理由:未展開だった中国・四国地区へのサービス地域の拡大
売上6億3,480万円・純資産4億6,950万円。この一覧のエレベーター保守会社の中では売上が最大です。営業利益は5,640万円から81万円へ急減した年での譲渡でした。株主7名のうち3名からまず51%を買い、1年2か月後に残りの5名からも買い取って100%にしています。株主が分かれていても、段階的に全株を譲る道があることを示す例です。
株式会社コスモジャパン
エレベーター等の保守(青森・盛岡・仙台・鶴岡で約400台)/青森県八戸市/1998年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8,340万円
- 対象の営業利益
- △490万円
- 対象の純資産
- △480万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:個人4名が100%保有(氏名は非公開)/非開示
買収理由:未展開だった東北地区へのサービス地域の拡大
売上は1億710万円→9,370万円→8,340万円と減り続け、直前期は営業損失490万円。純資産も3期ずっとマイナス(直前期マイナス480万円)の債務超過でした。それでも、買い手が東北に拠点を持っていなかったため、最初の足がかりとして買われています。
公式サイトのグループ企業一覧に社名がありません(東北はジャパンエレベーターサービス東北株式会社のみ)。合併や売却の開示は確認できておらず、どうなったかは追えていません。
株式会社NSエレベータ
エレベーター等の保守(大阪・京都・兵庫で750台以上)/京都府向日市/2006年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億590万円
- 対象の営業利益
- △460万円
- 対象の純資産
- △2,770万円
決算期:2019年7月期/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(うち1名から取得。氏名は非公開)/非開示
買収理由:関西圏での保守契約台数の増加
売上3億590万円。営業損益はマイナス2,400万円→マイナス1,450万円→マイナス460万円と3期連続の赤字、純資産はマイナス2,770万円の債務超過でした。ただし赤字幅は毎年縮んでいます。赤字でも改善の途中にあり、750台の契約がある会社は、過半数を譲る形で上場企業の傘下に入れます。
セイコーエレベーター株式会社
エレベーター等の保守(首都圏で800台以上)/東京都千代田区/1999年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億9,000万円
- 対象の営業利益
- 40万円
- 対象の純資産
- 4,680万円
決算期:2019年11月期/譲渡前の株主:個人4名87.8%、ジャパンエレベーターサービスHD 12.2%/非開示
買収理由:首都圏での保守契約台数の増加
もともと買い手の協力会社(外注先)で、買い手が株式の12.2%を持っていた会社です。売上2億9,000万円、営業利益は388万円→2万円→35万円とほぼゼロでした。68%を取得した1か月後、残りの個人株主から「売却の意向」が出て、そのまま100%になっています。取引先が、ある日買い手になる例です。
2020年5月に完全子会社化(『セイコーエレベーター株式会社の完全子会社化に関するお知らせ』)。その後、2023年7月1日付でグループのジャパンエレベーターサービス城南株式会社に吸収合併され、解散しました。
株式会社上新ビルサービス
ビルメンテナンス/新潟県上越市/1994年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億6,300万円
- 対象の営業利益
- 5,200万円
- 対象の純資産
- 2億9,800万円
決算期:2018年12月期/譲渡前の株主:個人4名が100%保有(氏名は非公開)/非開示。第三者算定機関による株式価値の算定結果を勘案して決定
買収理由:未展開だった信越地域への進出と、エレベーター保守と顧客層が重なるビルメンテナンスの取り込み
売上6億6,300万円・営業利益5,200万円・純資産2億9,800万円。3期とも売上6億7,000万円前後、営業利益5,000万〜6,000万円台で安定していました。エレベーターの会社ではなく、地元トップクラスのビルメンテナンス会社です。「顧客層が重なる」という理由で、本業の外から買われた例です。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社関西エレベーター5億9,300万円(売上の1.46倍・営業利益の17.3倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日