株式会社kubellのM&A実績
Chatworkの利用者である中小企業に売れるサービスを、会社ごと・事業ごと買い足している会社です。対象はクラウドストレージ、給与計算・勤怠管理、請求書処理、クラウド郵便と、どれも「中小企業の事務を肩代わりする」サービスでそろっています。売り手は創業社長、上場企業の子会社、スタートアップとさまざまで、債務超過の老舗にもアーンアウト付きで値段をつけています。
株式会社kubellが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- ―
- 事業内容
- ビジネスチャット「Chatwork」を中核に、中小企業のバックオフィス業務を人とITで代行するBPaaS(Business Process as a Service)を展開(旧社名Chatwork株式会社)
- 売上高
- 95億2,900万円(2025年12月期(連結))
- 営業利益
- 4億8,500万円
- 純資産
- 19億9,900万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 給与計算アウトソーシング・就業管理システム/クラウドストレージ/請求書処理サービス/クラウド郵便サービス
- 対象の規模
- 対象の売上 3,700万円(事業のみ)〜4.8億円(売上非開示の案件あり)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。会社分割で事業だけを本体に引き取る形や、相手の事業を新設会社に切り出して過半を買い、のちに残りを買い取る形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- サービス単位では残しますが、法人はグループ内で整理する傾向があります。給与計算のミナジンは取得から約2年半で、グループの業務代行会社kubellパートナーに吸収合併されました。クラウドストレージの子会社は社名を「kubellストレージ」に改め、相手方から残りの株式も買い取っています。
- 4件のうち3件で取得価額が開示されています。算定方法は「第三者によるDCF法の評価結果を当社で精査」と毎回明記されています
- アーンアウト(業績連動の後払い)を使った実績があります。ミナジンでは買収時6億円、その後3年間の業績次第で総額最大10億円という条件でした
- 債務超過・営業赤字の会社を買っています。ミナジンは純資産マイナス3億1,600万円、3期連続の営業赤字でしたが、売上は2億8,200万円→4億8,100万円と伸びていました
- 売上3,700万円ほどの小さなサービス1本でも、事業だけを7,000万円で引き取っています
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
atena株式会社
クラウド郵便サービス「atena」の運営(郵便物の受取代行・開封・スキャン・転送・廃棄)/東京都千代田区/2020年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:白髭直樹21.9%、北方佑樹21.9%、羽田隆也2.3%(個人3名)、投資ファンド等53.9%/非開示(当事者間の協議による)。連結業績への影響は軽微と開示
買収理由:BPaaS事業のサービス拡充。atenaの顧客層がChatworkの中心ユーザーと重なり、クロスセルが見込める
設立2020年、資本金1億円のスタートアップ。株式の半分以上を投資ファンド等が持っていましたが、創業者3名分とあわせて100%を一度に買い取っています。買収前から買い手が顧客を紹介する取引関係にありました。取引先として付き合いのある相手が、そのまま買い手になった形です。業績は開示されていません。
株式譲渡実行日は2026年4月30日(予定)と開示されています。その後の実行完了・商号変更・合併に関する開示は手元で確認できていません。
ペイトナー株式会社の「ペイトナー請求書」事業
請求書の発行・管理・振込を自動化するクラウドサービス
- 取得価額
- 7,000万円
- 対象の売上
- 3,690万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:ペイトナー株式会社(分割会社。株主構成は開示なし)/承継する権利義務の対価として7,000万円。権利義務の変動により調整の可能性あり。承継資産は僅少、負債の承継はなしと開示/承継する部門(ペイトナー請求書事業)のみの売上高
買収理由:請求書処理サービスを自社の顧客基盤に展開し、経理業務の支援を強化する
売上3,688万円のサービス1本を、7,000万円(売上の約1.9倍)で引き取っています。承継する資産はほとんど無く、負債も引き継がない形でした。会社全体ではなく、売れるサービスだけを切り出して売るという選択肢の実例です。効力発生日は「事務処理上の理由」で2026年1月1日から2月1日に1か月延びています。
法人ではなく事業だけをkubell本体が承継する形のため、事業は独立した会社としては残りません(分割会社のペイトナー社は別法人として残ります)。効力発生日は2026年2月1日(予定)に変更され、決算短信で「ペイトナー請求書」事業の譲受として記載されています。
株式会社ミナジン
給与計算アウトソーシング、クラウド型就業管理・人事評価システムの企画・販売/大阪府大阪市/1976年10月設立
- 取得価額
- 6億円
- 対象の売上
- 4億8,100万円
- 対象の営業利益
- △5,700万円
- 対象の純資産
- △3億1,600万円
決算期:2022年10月期/譲渡前の株主:代表の佐藤栄哲氏の資産管理会社(株式会社栄真)50.9%、佐藤栄哲35.4%、野崎友邦13.7%(実質的に個人オーナー)/買収時点600百万円。今後3年間の業績達成度合いに応じて総額最大1,000百万円(アーンアウト)。アドバイザリー費用等は概算10百万円。第三者のDCF法評価等を基に合意
買収理由:Chatworkに人事労務領域のサービスを加える。主要顧客がともに中小企業で、相互の顧客基盤拡大が見込める
純資産マイナス3億1,600万円の債務超過、営業利益も3期連続の赤字(△1億2,000万円→△1億4,300万円→△5,700万円)。それでも買収時6億円、最大10億円で売れています。評価されたのは売上の伸び(2億8,200万円→3億5,400万円→4億8,100万円)と赤字幅の縮小でした。赤字でも伸びている会社なら、アーンアウトで将来の業績を値段に乗せる交渉ができる例です。買収前から買い手が運転資金を貸し付けていました。社長は持分の半分以上を資産管理会社経由で持っていました。
2025年7月1日付で、グループの業務代行会社である株式会社kubellパートナーを存続会社とする吸収合併により消滅しました。取得から約2年半です。
Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社(スターティアレイズのクラウドストレージ事業)
クラウドストレージ「セキュアSAMBA」、マイナンバー収集「セキュアMyNUMBER」/東京都新宿区/2021年7月設立
- 取得価額
- 4億5,390万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:新設会社のため非開示/譲渡前の株主:スターティアレイズ株式会社(上場企業スターティアホールディングスの孫会社)が100%保有/51%分の株式取得価額。アドバイザリー費用等5.5百万円を加えた合計は約459.4百万円。第三者のDCF法評価等を基に合意。取得資金は三井住友銀行からの借入510百万円
買収理由:Chatworkの提供サービス拡大。売り手側は中期経営計画に基づきデジタルマーケティング事業へ経営資源を集中
新設会社のため決算はありませんが、買い手は「半年分の連結で売上1億9,000万円増、営業利益4,100万円減」と見込んでいました。2007年開始、3,250社に導入済みのサブスク型サービスです。全部ではなく51%だけを売り、売り手が49%を持ち続ける形を取っています。その後、買い手は2026年1月に残りの49%も買い取りました。一度に全部手放さず、段階的に渡す道もあることを示す例です。
社名は「株式会社kubellストレージ」に変わっています。2025年12月、スターティアレイズから残り49%を取得して2026年1月1日(予定)付で完全子会社化すると開示され、決算短信でも完全子会社化の決議が記載されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ペイトナー株式会社の「ペイトナー請求書」事業7,000万円(売上の1.90倍)
- 株式会社ミナジン6億円(売上の1.25倍)※営業赤字での譲渡
- Chatworkストレージテクノロジーズ株式会社(スターティアレイズのクラウドストレージ事業)4億5,390万円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社kubellが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日