共栄セキュリティーサービス株式会社のM&A実績
地域の警備会社を買い続けている会社です。開示では「規模拡大による交渉力強化や人員確保のため、積極的なM&Aとグループ経営を推進」と説明しています。売り手はほぼ全件が創業者や社長など個人で、対象は売上1億円台の会社が中心です。営業赤字の会社や債務超過の会社も買っています。2026年には福島のビルメンテナンス会社を買い、警備の隣の分野にも広げ始めました。
共栄セキュリティーサービス株式会社が公表した適時開示11件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 1985年5月
- 事業内容
- 施設警備・交通誘導警備・イベント警備などの人的警備を中心に、人材派遣やビルメンテナンスも手がける警備会社グループ(KSSグループ)の中核会社
- 売上高
- 153億4,600万円(2026年7月期(連結・決算期変更による16か月決算))
- 営業利益
- 11億6,300万円
- 純資産
- 50億7,000万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 施設警備・交通誘導警備・イベント警備/人材派遣/ビルメンテナンス・環境開発
- 対象の規模
- 対象の売上 1.46億円〜15.4億円
- 手法
- 個人株主からの株式譲渡(全株取得・完全子会社化)が基本。買った子会社が同じ県の警備会社を買う「孫会社化」も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 地方の会社は社名のまま残し、関東の会社はまとめて合併する傾向です。徳島の合建警備保障、宮城のアコードセキュリティ、福島の太陽興産は社名のままグループ会社一覧に載っています。一方、埼玉・千葉・茨城で買った会社は、所沢のセキュリティ(現・株式会社KSS)に次々と合併され、法人としては残っていません。社名を「KSS◯◯」に変えるケースもあります。
- 2024年12月以降の案件は、取得価額をすべて開示しています。それ以前(2022〜2024年3月)は「相手先の意向により非開示」でした。11件のうち6件で金額が分かります
- 株式の代金とは別に、アドバイザリー費用の概算も毎回書かれています。中国警備保障では株式代金1,300万円に対して費用が1,600万円と、手数料のほうが高くなっています
- 関東で買った会社は1〜2年で合併されることが多いのが特徴です。2024〜2025年に買ったネオ・アメニティーサービス、常総警備保障、デンツートラフィックは、いずれも2026年までにKSSへ吸収合併されました
- 公式サイトの沿革には、適時開示が出ていない小さな買収(日本セキュリティサービス、バンガード、千葉の東邦警備保障など)も載っています。開示基準に届かない規模でも買っているということです
- 2020年には香川の東京セフティの株式33.3%を取得(持分法適用関連会社化)していますが、子会社化ではないため一覧には入れていません
買収の履歴11件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社太陽興産
環境開発事業、ビルメンテナンス事業、警備事業/福島県郡山市/1971年10月設立
- 取得価額
- 14億5,000万円
- 対象の売上
- 15億4,400万円
- 対象の営業利益
- 1億2,100万円
- 対象の純資産
- 12億3,200万円
決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:個人1名(藤田 弘美)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)83百万円を加えた合計は1,533百万円(概算)
買収理由:隣接領域であるビルメンテナンス事業への参入と、重点戦略地域である福島県での事業提供能力の強化
この会社の案件で最大の14億5,000万円。売上15億4,400万円・営業利益1億2,100万円・純資産12億3,200万円。営業利益の約12倍、純資産の約1.2倍の値段です。創業50年以上、オーナー1名が100%持っていた会社で、3期とも営業利益1億円台を出していました。警備会社がビルメンテナンスに広げるための最初の1社として選ばれています。本業が警備でなくても、買い手の「次にやりたい事業」に当たれば候補に入ります。
株式会社アコードセキュリティ
交通誘導警備(宮城県全域、警備員約100名)/宮城県仙台市/2011年10月設立
- 取得価額
- 1億500万円
- 対象の売上
- 3億3,300万円
- 対象の営業利益
- 1,100万円
- 対象の純資産
- 5,500万円
決算期:2025年9月期/譲渡前の株主:個人1名(鈴木 修)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)21百万円を加えた合計は126百万円(概算)
買収理由:仙台営業所をはじめとする東北地域のグループ連携の強化
1億500万円。売上3億3,300万円・営業利益1,100万円・純資産5,500万円。営業利益の約9.5倍、純資産の約1.9倍です。前の2期は営業利益が100万円前後とほぼゼロでしたが、直近期に1,100万円まで戻した局面での譲渡でした。資本金500万円、設立15年ほどの会社でも、警備員100名という人員そのものが評価されています。
株式会社デンツートラフィック
警備業(警備員約220名)/埼玉県入間市/1991年2月設立
- 取得価額
- 9億8,700万円
- 対象の売上
- 7億8,800万円
- 対象の営業利益
- 8,600万円
- 対象の純資産
- 6億5,300万円
決算期:2024年8月期/譲渡前の株主:個人1名(渋谷 光二)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)15百万円を加えた合計は1,002百万円(概算)
買収理由:埼玉県内で展開する複数のグループ会社との連携強化
9億8,700万円。売上7億8,800万円・営業利益8,600万円(利益率10.9%)・純資産6億5,300万円。営業利益の約11.5倍、純資産の約1.5倍です。売上・営業利益・純資産が3期とも増え続けていた会社でした。利益率が高く、内部留保を積み上げてきた会社は、純資産を上回る値段がつきます。
2026年1月1日付で、グループの株式会社セキュリティ(同日に株式会社KSSへ商号変更)に吸収合併され、法人は消滅しました。取得から約5か月後です。
常総警備保障株式会社
工場などの施設警備、工事現場の交通誘導警備(従業員約80名)/茨城県つくば市/1981年12月設立
- 取得価額
- 5億4,600万円
- 対象の売上
- 2億1,800万円
- 対象の営業利益
- △500万円
- 対象の純資産
- 6億円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:國府田 佐代子50.7%ほか親族等/アドバイザリー費用等(概算)25百万円を加えた合計は571百万円(概算)
買収理由:茨城県と隣接県(埼玉・千葉)のグループ会社との連携強化
5億4,600万円。売上2億1,800万円・営業損失500万円・純資産6億円。売上は2億7,000万円→2億4,400万円→2億1,800万円と減り、直近2期は営業赤字でした。それでも純資産の約9割の値段がついています。本業が縮んでいても、積み上げてきた純資産はおおむね価格に反映された例です。株主は親族に分かれていましたが、全員分をまとめて譲渡しています。
2026年8月1日付でグループの株式会社KSSに吸収合併され、法人は消滅しました。取得から約1年2か月後です。
中国警備保障株式会社
医療機関等の施設警備・受付、工事現場等の交通誘導警備(従業員約70名)/山口県宇部市/1982年3月設立
- 取得価額
- 1,300万円
- 対象の売上
- 1億6,300万円
- 対象の営業利益
- △400万円
- 対象の純資産
- 1億1,400万円
決算期:2024年8月期/譲渡前の株主:個人1名(佐野 薫)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)16百万円を加えた合計は30百万円(概算)。株式代金より費用のほうが大きい
買収理由:未進出エリアだった中国地方(山口県)への拠点確保
1,300万円。この会社の案件で最小の金額です。売上1億6,300万円・営業損失400万円・純資産1億1,400万円。純資産の約1割の値段でした。売上は1億7,800万円→1億6,500万円→1億6,300万円と減り、直近2期は営業赤字です。同じ赤字でも常総警備保障は純資産の約9割がついており、赤字の会社の値段は、純資産があっても大きく開くことがあると分かります。
公式サイトのグループ企業ページ(9社)に社名が見当たりません。一方で、合併・売却の適時開示や沿革の記載も確認できず、現在の状態は追えていません。
株式会社ネオ・アメニティーサービス
商業施設等の施設警備、設備管理・清掃などのビルメンテナンス(従業員約100名)/千葉県千葉市/2003年6月設立
- 取得価額
- 1,400万円
- 対象の売上
- 3億700万円
- 対象の営業利益
- △400万円
- 対象の純資産
- △28万円
決算期:2024年5月期/譲渡前の株主:個人1名(麻生 直)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)8百万円を加えた合計は22百万円(概算)
買収理由:千葉県内の施設警備にビルメンテナンスの専門性を加え、収益機会を広げる
1,400万円。売上3億700万円・営業損失400万円。純資産は開示上「△0百万円」で、1株当たり純資産△1,417円×200株から約△28万円の債務超過と読めます。2期前は△1,900万円の債務超過で、そこから少しずつ縮めていた局面でした。売上は1億5,200万円→3億700万円と2倍に伸びています。債務超過がほぼ解消した段階でも、値段はついて売れています。
2026年7月1日付でグループの株式会社KSSに吸収合併され、法人は消滅しました。取得(2025年1月実行)から約1年半後です。
東邦警備保障株式会社(埼玉県朝霞市)
施設警備、交通誘導警備、機械警備/埼玉県朝霞市/1984年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億4,600万円
- 対象の営業利益
- 1円未満
- 対象の純資産
- 5,200万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:個人1名(石川 浩見)が100%保有/相手先の意向により非開示
買収理由:関東圏の体制強化。同じ埼玉県内のセキュリティが買うことで、両社の連携を強める
売上1億4,600万円・営業利益は百万円未満でほぼゼロ・純資産5,200万円。この会社の案件で最も小さい会社です。利益はほぼ出ていませんでしたが、その5か月前に買われた同じ埼玉のセキュリティが買い手になっています。買われた会社が、次は近くの同業を買う側に回るという形です。
2025年8月1日付でグループの株式会社バンガードに吸収合併され、法人は消滅しました。そのバンガードも2026年1月1日に株式会社KSSへ合併されています。
株式会社セキュリティ
施設警備、交通誘導警備/埼玉県所沢市/1988年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 5億8,200万円
- 対象の営業利益
- 2,100万円
- 対象の純資産
- △1,400万円
決算期:2022年8月期/譲渡前の株主:上園 俊樹57.5%ほか経営陣等/相手先の意向により非開示
買収理由:人員数とエリア補完体制の拡充。規模の強さによる料金改定とスケールメリットによる利益創出
売上5億8,200万円・営業利益2,100万円・純資産△1,400万円の債務超過。3期続けて債務超過でしたが、営業利益は3期とも黒字でした。債務超過でも、本業で利益が出ていれば買い手はつきます。この会社はその後、グループの関東の受け皿になり、周辺で買った会社を次々と合併して「株式会社KSS」になりました。
2026年1月1日付で、バンガード・デンツートラフィック・東邦警備保障(千葉)の3社を吸収合併し、株式会社KSSに商号変更しました。法人は存続会社として残っています。
東神産業株式会社
施設警備・交通誘導警備、人材派遣/神奈川県横浜市/1975年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億3,000万円
- 対象の営業利益
- △400万円
- 対象の純資産
- 3,200万円
決算期:2022年9月期/譲渡前の株主:個人1名(岡本 央)が100%保有/相手先の意向により非開示
買収理由:人員数とエリアの補完、人材派遣事業によるサービスの拡充
売上6億3,000万円・営業損失400万円・純資産3,200万円。営業損益は3期続けて赤字(△2,100万円→△2,800万円→△400万円)でした。それでも創業48年の会社が、売上規模と人員を評価されて買われています。本業で赤字が続いていても、人員とエリアに価値があれば買い手は現れます。
公式サイトの沿革によると、2025年2月にKSS神奈川株式会社へ社名変更しています。グループ企業ページにも「KSS神奈川」として掲載されています。
合建警備保障株式会社
施設警備・交通誘導警備(徳島県を中心に四国・関西)/徳島県徳島市/1991年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億8,500万円
- 対象の営業利益
- 1,700万円
- 対象の純資産
- 3億200万円
決算期:2022年7月期/譲渡前の株主:個人1名(森 和則)が100%保有。基本合意時点は森和則67%・近藤大二朗33%で、社長が譲渡前に残りを買い取った/相手先の意向により非開示
買収理由:徳島県内トップクラスの会社を迎え、四国を含む広域展開を拡充する
売上11億8,500万円・営業利益1,700万円・純資産3億200万円。株主が2名いたため、社長がもう1人の持分33%を先に買い取り、100%にまとめてから譲渡しています。基本合意から株式譲渡契約までの間にこれを済ませる段取りが、開示に書かれています。株主が複数いる会社は、売る前に持分をまとめておくと話が進めやすくなります。
株式会社ダイトーセキュリティー
施設警備・交通誘導警備(東京都・神奈川県)/東京都台東区/1994年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億8,100万円
- 対象の営業利益
- 700万円
- 対象の純資産
- 2,400万円
決算期:2021年7月期/譲渡前の株主:渡邉 明彦40.0%ほか経営陣等/守秘義務履行のため非開示
買収理由:双方の顧客接点と人的資本をグループの事業戦略に反映し、事業を拡大する
売上3億8,100万円・営業利益700万円・純資産2,400万円。営業利益は1,500万円→900万円→700万円と細っていました。社長の持分は40%で、残りは他の経営陣が持っていました。それでも全員分をまとめて100%で譲渡しています。
公式サイトの沿革によると、2024年11月にKSS管財株式会社へ社名変更しています。グループ企業ページにも「KSS管材」(表記はページのまま)として掲載されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された6件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社太陽興産14億5,000万円(売上の0.94倍・営業利益の12.0倍)
- 株式会社アコードセキュリティ1億500万円(売上の0.32倍・営業利益の9.5倍)
- 株式会社デンツートラフィック9億8,700万円(売上の1.25倍・営業利益の11.5倍)
- 常総警備保障株式会社5億4,600万円(売上の2.50倍)※営業赤字での譲渡
- 中国警備保障株式会社1,300万円(売上の0.08倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社ネオ・アメニティーサービス1,400万円(売上の0.05倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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