6224東証グロース

株式会社JRCのM&A実績

コンベヤ部品の会社が、コンベヤや搬送装置、プラント工事を手がける地方の製造業・工事会社を毎年続けて買っています。開示文には「集客や後継者の課題を抱えるロボット関連企業をグループ化する」「将来的な事業承継ニーズを有する企業への戦略的な投資」と書かれており、後継者問題を抱えた中小メーカーを買うことを方針として公言しています。対象は資本金1,000万〜4,000万円、従業員10人前後の会社が中心で、売り手はほぼ全件が個人オーナーです。2026年8月には投資専門の「グロースM&Aカンパニー」を新設しました。

株式会社JRCが公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
大阪府大阪市西区
設立
1991年3月(創業1961年)
事業内容
屋外用ベルトコンベヤ部品の設計・製造・販売(国内シェア約52%と開示)を主軸に、コンベヤ設備のメンテナンス、環境プラント向けの設計・製造・工事、ロボットを使った工場の自動化設備(ロボットSI)を手がける
売上高
137億4,600万円(2026年2月期(連結))
営業利益
19億6,400万円
純資産
58億3,800万円

どんな会社を買っているか

買う業種
コンベヤ・搬送装置の設計・製作/ごみ処理・水処理など環境プラントの機器製造・据付・メンテナンス/発電所・工場の設備工事・保守/省力化機械・自動機械の設計・製造/水処理施設向け特殊ポンプの販売・保守
対象の規模
対象の売上 1.9億円〜18.8億円(業績非開示の案件が3件)
手法
株式譲渡(全株取得)が中心。子会社のJRC C&Mや株式会社JRC E&Eが買い手になる「孫会社化」も多い
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社を短期間で吸収合併することが多い会社です。東陽工業は取得から約2か月、三好機械産業は約2か月半で合併を決め、どちらも法人は消えました。セイコーテックも取得の翌年に合併されています。一方、高橋汽罐工業は合併の受け皿になり、社名を株式会社JRC E&Eに変えて環境・エネルギー事業の中核になりました。向井化工機は社名のまま残っています。社名を残したい売り手は、契約前に確かめておくべき買い手です。
  • 取得価額を開示した案件が3件あります。最小は東陽工業の5,550万円、最大は高橋汽罐工業の18億円。いずれも「第三者評価機関によるDCF法の算定の範囲内で相手先と協議の上決定」と説明されています
  • 純資産を下回る値段の案件があります。向井化工機は営業利益1億1,900万円・純資産4億4,900万円に対し、取得価額3億7,700万円でした。営業利益の約3.2倍、純資産の0.84倍です
  • 営業赤字の会社も買っています。東陽工業は直前期に営業損失380万円でしたが、純資産の約1.4倍の価格で取得されました
  • 業績も金額も開示義務のない小さな案件でも、「有用な情報と判断し任意開示を行う」として開示を出しています。ただしその場合、対象の業績や価格は載りません
  • 開示が出ていない買収もあります。2024年6月に子会社化した中村自働機械(埼玉県草加市、包装機械)は、2025年1月7日の合併の開示で初めて詳細が出ました。取得後最初の決算(2024年10月期)は売上4億4,800万円・営業損失8,200万円・純資産マイナス768万円で、2025年3月にJRC本体へ吸収合併されています
  • タイの鋳造機械メーカー(International Foundry Machinery)への出資など海外案件もありますが、ここでは国内の買収だけを載せています

買収の履歴8件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年9月14日株式譲渡(子会社の株式会社JRC E&Eが全株取得=孫会社化)

株式会社ナンヨートレイディング

水処理施設(し尿処理施設など)向け特殊ポンプの販売・設置・保守メンテナンス/東京都文京区/1965年3月設立

取得価額
―
対象の売上
3億3,500万円
対象の営業利益
7,000万円
対象の純資産
4億9,500万円

決算期:2025年10月期/譲渡前の株主:複数の個人(氏名は守秘義務により非公開)/当事者間の守秘義務により非開示。第三者評価機関によるDCF法の算定の範囲内で協議して決定

買収理由:し尿処理施設市場への参入と、下水・し尿処理施設での受注機会の拡大

業歴約60年、東日本の約100施設の保守・更新を担っている会社です。売上3億3,500万円・営業利益7,000万円(利益率21%)・純資産4億9,500万円。純資産が売上を上回るほど内部留保を積んだ会社でした。営業利益は2,000万円→8,200万円→7,000万円。「約100施設との安定した取引基盤」が評価の中心に置かれており、保守契約の積み上がった会社は、規模が小さくても買い手が付くことが読み取れます。

買収後存続2026年10月9日時点

2026年10月1日に株式譲渡実行予定と開示され、その後の合併や商号変更の開示はありません。ただし2026年10月9日時点で買い手のグループ会社一覧には未掲載のため、存続は推定です。

確認元:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

2026年8月25日株式譲渡(全株取得、子会社化)

株式会社トーカイコンベア

クリーニング・リネンサプライ向け衣類搬送・保管用コンベヤシステムの設計・製作・販売/神奈川県川崎市/1977年4月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/非開示。適時開示基準に該当しない規模の案件として任意開示

買収理由:新設した「グロースM&Aカンパニー」の第1号案件。リネンサプライ工場の省人化投資の取り込み

従業員11名(パート含む)、資本金1,000万円。この業界向けのコンベヤで国内トップクラスのシェアを持つ会社です。説明資料には「後継者不足等により競合メーカーは減少傾向」と書かれています。同業が後継者難で減っていく市場では、残っている会社の価値が上がるという見方を、買い手が自ら示した例です。業績は開示されていません。

買収後存続2026年10月9日時点

子会社化の決議が開示されていますが、株式譲渡の実行日は開示されていません。その後の合併や商号変更の開示もありません。2026年10月9日時点で買い手のグループ会社一覧には未掲載のため、存続は推定です。

確認元:株式会社トーカイコンベアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社トーカイコンベアの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2026年8月24日株式譲渡(全株取得、子会社化)

機電株式会社

熱炉・搬送設備など省力化機械のオーダーメイド設計・製造・販売・メンテナンス/大阪府高槻市/1971年4月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/非開示。適時開示基準に該当しない規模の案件として任意開示

買収理由:ロボットSI事業で受注した案件の設計・製造を担わせ、前後工程を含めたライン一括受注を広げる

従業員13名、資本金1,100万円の町工場規模のメーカーです。買い手の宇治工場と拠点が近いことが、シナジーの一つとして挙げられています。大手製造業との取引実績と、熱炉と搬送設備を組み合わせて提案できる技術が評価されました。従業員十数人でも、買い手の手が足りない工程を埋められる会社なら対象になります。業績は開示されていません。

買収後存続2026年10月9日時点

子会社化の決議が開示されていますが、株式譲渡の実行日は開示されていません。その後の合併や商号変更の開示もありません。2026年10月9日時点で買い手のグループ会社一覧には未掲載のため、存続は推定です。

確認元:機電株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:機電株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年9月18日株式譲渡(子会社のJRC C&Mが全株取得=孫会社化)

株式会社セイコーテック

ごみ処理・水処理施設のプラント機器の据付・更新・修繕、ボイラ清掃、配管工事/神奈川県横浜市/2003年5月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(豊島 一欽)が100%保有/非開示。適時開示基準に該当しない規模の案件として任意開示

買収理由:環境プラントでの現場施工力・動員力の補完

資本金500万円、設立22年の工事会社です。開示文は「現場工事業者の減少」をエンドユーザーの課題として挙げ、施工の人手そのものを取り込む目的で買っています。職人や施工班を抱えている工事会社は、それ自体が買われる理由になります。ただし取得の翌年には合併され、法人は残りませんでした。

買収後吸収合併2026年10月9日時点

2026年3月1日付で、高橋汽罐工業を存続会社とする吸収合併によりJRC C&Mとともに消滅しました(存続会社は株式会社JRC E&Eに商号変更)。取得から約5か月後です。

確認元:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

2024年9月18日株式譲渡(全株取得、子会社化)

三好機械産業株式会社

各種コンベヤ・搬送投入装置・製缶などの設計・製作/香川県東かがわ市/1976年11月設立

取得価額
―
対象の売上
1億9,200万円
対象の営業利益
3,500万円
対象の純資産
1億2,900万円

決算期:2024年7月期(後の吸収合併の開示による)/非開示。適時開示基準に該当しない規模の案件として任意開示

買収理由:「M&Aによるロボット自動化コンソーシアム」の一環。技術の取り込みと、未開拓だった四国エリアのカバー

売上1億9,200万円・営業利益3,500万円(利益率18%)・純資産1億2,900万円。この会社の案件でいちばん小さな買収です。大手メーカーからのリピート受注とメンテナンスが売上の大半を占めていた点が評価されました。一方で、取得から1か月足らずで吸収合併が決まり、約2か月半後に法人は消えています。買い手が欲しかったのは会社の器ではなく、技術と人と四国の拠点だったことが分かります。

買収後吸収合併2026年10月9日時点

2024年10月11日に合併を決議し、2024年12月1日付でJRC本体に吸収合併され、解散しました。

確認元:完全子会社(三好機械産業株式会社)の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

出典:三好機械産業株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年8月19日株式譲渡(全株取得、子会社化)

株式会社高橋汽罐工業

原子力・火力・バイオマス発電所や製紙・食品工場の設備工事・補修・保守/神奈川県横浜市/1963年10月設立

取得価額
18億円
対象の売上
18億7,600万円
対象の営業利益
4億3,600万円
対象の純資産
10億7,600万円

決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:個人(氏名・持株比率は守秘義務により非公開)/アドバイザリー費用等(概算)94百万円を加えた合計は1,894百万円。第三者評価機関によるDCF法の算定の範囲内で協議して決定。資金は金融機関からの借入

買収理由:発電所など現場の工事対応力の取り込みと、コンベヤ部品の販売網を使ったソリューション売上の拡大

売上18億7,600万円・営業利益4億3,600万円・純資産10億7,600万円。取得価額18億円は営業利益の約4.1倍、純資産の約1.7倍です。売上は10.9億円→13.0億円→18.8億円、営業利益は1.0億円→1.0億円→4.4億円と、直前期に利益が4倍に跳ねた年に売っています。開示文は高橋汽罐工業側の利点として「上場企業である当社の人材採用力」を挙げており、人を採れないことが成長の天井になっている工事会社には、上場企業の傘下に入る意味があると読めます。

買収後社名変更2026年10月9日時点

2026年3月1日付でJRC C&Mとセイコーテックを吸収合併する存続会社となり、商号を株式会社JRC E&Eに変更しました。合併の受け皿として残り、2026年にはナンヨートレイディングを買う側に回っています。

確認元:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:高橋汽罐工業の株式の取得(子会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

2024年6月18日株式譲渡(子会社のJRC C&Mが全株取得=孫会社化)

向井化工機株式会社

浄水場・下水処理場など水処理プラントの製作・据付・メンテナンス/神奈川県横浜市/1973年10月設立

取得価額
3億7,700万円
対象の売上
6億6,300万円
対象の営業利益
1億1,900万円
対象の純資産
4億4,900万円

決算期:2023年8月期/譲渡前の株主:向井一人72.2%、久保谷千里27.8%(個人2名)/アドバイザリー費用等(概算)38百万円を加えた合計は416百万円。第三者評価機関によるDCF法の算定の範囲内で協議して決定。資金は自己資金

買収理由:ごみ焼却・バイオマス施設に加え、水処理施設での製作・据付・メンテナンスへ営業を広げる

売上6億6,300万円・営業利益1億1,900万円(利益率18%)・純資産4億4,900万円。取得価額3億7,700万円は営業利益の約3.2倍で、純資産を下回っています(0.84倍)。営業利益は1億円→1.17億円→1.19億円と安定して伸び、毎期配当も出していた会社です。利益が出ていて内部留保が厚くても、純資産以上の値段が付くとは限らないことを示す例です。

買収後存続2026年10月9日時点

買い手のグループ会社一覧に、株式会社JRC E&Eの子会社として社名のまま掲載されています。

確認元:グループ会社一覧(株式会社JRC公式サイト)

出典:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

2023年12月28日株式譲渡(子会社のJRC C&Mが全株取得=孫会社化)

東陽工業株式会社

ごみ焼却設備・火力発電やバイオマス発電設備のボイラー関連品(煙道ダクト、ケーシング等)の製造販売/福島県本宮市/1945年10月(創業1920年)設立

取得価額
5,550万円
対象の売上
2億9,600万円
対象の営業利益
△400万円
対象の純資産
4,100万円

決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:齋藤久男45.0%、佐藤広明32.5%、岩井泉22.5%(個人3名)/アドバイザリー費用等(概算)10.45百万円を加えた合計は65.95百万円。第三者評価機関によるDCF法の算定の範囲内で協議して決定。資金は自己資金

買収理由:コンベヤ以外のボイラー関連製品・灰ホッパー・架台などの付帯設備まで製造領域を広げる

創業100年を超える会社で、売上2億9,600万円・営業損失380万円・純資産4,100万円。売上は3.4億円→3.8億円→3.0億円、営業利益は950万円→510万円→マイナス380万円と下り坂での譲渡でした。それでも取得価額は5,550万円と、純資産の約1.4倍が付いています。一方、アドバイザリー費用は1,045万円と取得価額の約2割にのぼりました。小さな案件ほど、仲介・助言の費用が値段に対して重くなります。従業員28人の工場は残りましたが、法人は約2か月で合併されています。

買収後吸収合併2026年10月9日時点

2024年3月1日付でJRC C&Mに吸収合併され解散しました。その後の開示では「現JRC C&M福島工場」と書かれており、工場として残っています。

確認元:特定子会社の異動に関するお知らせ

出典:当社連結子会社による株式の取得(孫会社化)及び特定子会社の異動に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社高橋汽罐工業18億円(売上の0.96倍・営業利益の4.1倍)
  • 向井化工機株式会社3億7,700万円(売上の0.57倍・営業利益の3.2倍)
  • 東陽工業株式会社5,550万円(売上の0.19倍)※営業赤字での譲渡

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社JRCが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日