Hmcomm株式会社のM&A実績
M&Aを「第2の成長エンジン」と位置づけ、AIプロダクトづくりに足りない機能を順番に買っている会社です。1号が戦略策定(ITコンサル)、2号がUI/UXデザイン、3号がシステム開発と、番号を振って何を買ったかを自ら説明しています。対象は売上2.5億円〜8.5億円のIT系の中小企業で、3件とも取得価額が開示されています。本体の売上が11億円規模のため、1件ごとの重みが大きい買い手です。
Hmcomm株式会社が公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 2012年7月
- 事業内容
- 「音×AI」の会社。コールセンター向け音声認識「Voice Contact」、対話型AIエージェント「Terry2」、異音検知「FAST-D」などのAIプロダクトと、企業向けのAI開発・コンサルティングを手がける
- 売上高
- 11億1,200万円(2025年12月期(単体))
- 営業利益
- 3,800万円
- 純資産
- 16億8,100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- ITコンサルティング/UI/UXデザイン・Webシステム開発/システムエンジニアリングサービス(SES)
- 対象の規模
- 対象の売上 2.5億円〜8.5億円
- 手法
- 初めの2件は事業譲受(事業だけを本体に取り込む)、3件目は株式譲渡(90%を取得して子会社化)。事業譲受では利益に応じた追加対価(アーンアウト)も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 事業譲受の2件は本体の事業部門に取り込まれ、法人は残っていません。ファンタラクティブでは、売り手の代表が新設の「Design & Engineeringセンター」のセンター長として本体に加わっています。株式で買ったコラボテクノは社名のまま子会社として残り、創業社長も10%を持ち続けています。
- 3件とも取得価額が開示されています。2,300万円、1億7,500万円(+追加対価)、1億3,500万円。数千万円〜1億円台の案件でも金額を出しています
- 営業赤字の事業も買っています。ファンタラクティブのDXパートナー事業は営業損失2,400万円でしたが、2,300万円で譲り受けました
- 追加対価(アーンアウト)を実際に払っています。IPパートナーズの案件では、譲受後の利益に応じた追加対価の一部が確定し、のれんが1億7,900万円増えました(2025年12月期決算短信)
- 本体は単体決算で、2025年12月期の営業利益は3,800万円です。買い手自身が大きな利益を出している会社ではない点は、交渉の前提として知っておくとよい情報です
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
コラボテクノ株式会社
Webシステム開発、システムエンジニアリングサービス/東京都中央区/2016年4月設立
- 取得価額
- 1億3,500万円
- 対象の売上
- 8億5,400万円
- 対象の営業利益
- 330万円
- 対象の純資産
- 5,450万円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:代表取締役の吉田光哉51%、株式会社シグマ・インターナショナル49%/90%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)25百万円を加えた合計は約160百万円。100%に引き直すと150百万円で、純資産(54百万円)の約2.8倍、当期純利益(5.7百万円)の約27倍
買収理由:AIプロダクトを顧客の現場で実装するエンジニアリング機能の獲得(同社のM&A第3号案件)
売上8億5,400万円に対し、営業利益は329万円(利益率0.4%)、純資産5,400万円。利益がほぼ出ていないSES・受託開発の会社に、1億3,500万円(90%分)の値段がついています。評価されたのは利益ではなく、すぐ動かせるエンジニアの人数と案件をやり切る体制でした。売り手は社長個人と取引先の事業会社の2者で、事業会社は全株を手放し、社長は10%を残して経営を続けます。「全部売って引退」以外の形が取れる例です。
2026年5月11日に株式取得が完了し、Hmcommが90%、吉田光哉氏が10%を持つ子会社になりました。その後の商号変更や合併の開示はありません。
ファンタラクティブ株式会社のDXパートナー事業
UI/UXデザイン、プロダクト戦略のコンサルティングからWebシステム開発まで/東京都中央区/譲渡元の会社は2014年7月設立設立
- 取得価額
- 2,300万円
- 対象の売上
- 2億5,200万円
- 対象の営業利益
- △2,400万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年6月期(対象事業)/譲渡前の株主:個人1名(井村 圭介)が売り手会社を100%保有/現金決済。譲り受けた資産は工具器具備品4百万円
買収理由:UI/UXデザインの技術・知見を取り込み、自社プロダクトのUI/UXを内製化する(同社のM&A第2号案件)
売上2億5,200万円・営業損失2,400万円の事業を、2,300万円で譲り受けています。売上の1割弱です。売り手会社は資本金100万円、純資産400万円。赤字の事業でも、大手企業向けの実績とデザインの腕があれば買い手はつきます。代表の井村氏は譲渡後、Hmcommで新設の「Design & Engineeringセンター」のセンター長に就いており、売った後もその事業の責任者として残る形が取られています。
事業譲受のため法人の取得はありません。2025年8月31日に譲受が完了し、2025年12月期決算短信ではAIソリューション事業の中で「DXパートナー事業の譲受による体制強化」に触れています。
株式会社IPパートナーズのITコンサルティング事業
ITコンサルティング、DX推進支援/東京都港区/譲渡元の会社は2008年11月設立設立
- 取得価額
- 1億7,500万円
- 対象の売上
- 3億3,000万円
- 対象の営業利益
- 6,000万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年4月期(概算)/譲渡前の株主:株式会社Joblabが売り手会社を100%保有/175百万円+条件付取得対価。現金決済。2025年12月期決算短信によると、追加対価の一部支払いが確定し、のれんが179百万円増加。追加対価を含めると少なくとも約354百万円で、対象事業の営業利益(60百万円)の約5.9倍と読める
買収理由:業界知見を持つコンサルタントを確保し、AIプロダクトの組成・製品化を進める(同社のM&A第1号案件)
売上3億3,000万円・営業利益6,000万円(利益率18%)の事業です。売り手会社は純資産マイナス1億2,600万円の債務超過でしたが、利益の出ている事業だけを切り出して売っています。価格は1億7,500万円の固定分に、譲渡後の利益に応じた追加対価を上乗せする形で、その追加分も実際に確定しています。最初の値段で折り合わなくても、利益が続けば後から受け取れるという仕組みが機能した例です。
事業譲受のため法人の取得はありません。2025年3月3日に譲受が実行され、2025年12月期決算短信で追加対価の一部支払い確定とのれんの増加が開示されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- コラボテクノ株式会社1億3,500万円(売上の0.16倍・営業利益の40.9倍)
- ファンタラクティブ株式会社のDXパートナー事業2,300万円(売上の0.09倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社IPパートナーズのITコンサルティング事業1億7,500万円(売上の0.53倍・営業利益の2.9倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
関連する記事
本ページはHmcomm株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日