株式会社ジェリービーンズグループのM&A実績
婦人靴の会社が、本業以外の収益の柱をつくるために2025年から買収を始めた会社です。1年半で4社を買い、4件とも取得価額を開示しています。対象は韓国食品の輸入商社、スポーツブランドの日本総代理店、化粧品のD2C、エスニック衣料・雑貨の小売と、業種はばらばらです。売り手も、創業者個人、インフルエンサーとその会社、事業会社と幅があります。債務超過の会社を2件買っているのも特徴です。
株式会社ジェリービーンズグループが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都中央区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 婦人靴「JELLY BEANS」の販売を祖業に、食品・スポーツ用品・化粧品・衣料雑貨のライフスタイル事業、エンターテインメント事業、系統用蓄電池などのサステナブル事業を束ねる持株会社
- 売上高
- 35億9,000万円(2026年1月期(連結))
- 営業利益
- △3,300万円
- 純資産
- 49億3,100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 食品の輸入・卸売(韓国食品)/スポーツ用品の輸入販売/化粧品の企画・D2C販売/エスニック衣料・雑貨の小売・卸売
- 対象の規模
- 対象の売上 0.84億円〜14億円(設立1年未満の361Sports Japanは7か月で1,080万円)
- 手法
- 株式譲渡で100%取得。4件中2件でアーンアウト(業績条件つきの後払い)を使う。株主が多い会社では少数株主をスクイーズアウトで集約する
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。公式サイトのグループ会社一覧(15社)に4社とも載っており、吸収合併の開示はありません。
- 4件とも取得価額が開示されています。4億円、1億円、1億8,000万円、そして1円です
- アーンアウトの条件が具体的に書かれます。Gold Starは「翌期の売上・営業利益が前期を下回らないこと」、361Sports Japanは「翌期の売上・営業利益が前期を上回ること」が残額支払いの条件でした。Gold Starは条件を満たし、2026年2月に残り2億円が支払われています
- 基本合意のあとで価格が下がった例があります。MAKE BEAUTUREは基本合意時の2億円から、協議の結果1億8,000万円で契約しました
- もともと取引のあった相手を買う傾向があります。361Sports Japanは総代理店契約、MAKE BEAUTUREは業務提携を結んだあとで子会社化しています
- Gold StarとMAKE BEAUTUREでは、売り手側が買い手の新株予約権の一部を譲り受けたことが開示されています
- アドバイザリー費用は3件で「発生していない」、チチカカでは25万円と開示されています
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社チチカカ
中南米など各国の生産者と組んだエスニック衣料・雑貨の企画・製造、店舗とECでの販売/東京都港区/1992年3月設立
- 取得価額
- 1円
- 対象の売上
- 14億300万円
- 対象の営業利益
- △1,900万円
- 対象の純資産
- △5億円
決算期:2026年2月期/譲渡前の株主:スターシーズ株式会社(衣料品、系統用蓄電池、GPUサーバー事業を営む事業会社)が100%保有/取得価額は1円。「直近の財政状態、収益状況及び今後の事業見通し等を総合的に勘案し、譲渡人との協議の上」決定。アドバイザリー費用は25万円/2025年2月26日に会社分割(吸収分割)を実施しており、2025年2月期は分割に伴う数日間の数値しかない。2024年2月期の売上は1,853百万円
買収理由:独自の商品企画力・ブランド力と、婦人靴・スポーツブランドを扱うライフスタイル事業との親和性。物流・マーケティングのノウハウを生かして事業を伸ばす
売上14億300万円、営業損失1,900万円、純資産マイナス5億円の債務超過。取得価額は1円でした。創業30年を超える店舗ブランドでも、債務超過が続くと株式の値段はつかないことを示す例です。一方で、売上14億円規模の事業そのものには引き受け手が現れています。値段がつかなくても、事業と従業員を引き継いでもらう出口として譲渡が成立することが読み取れます。売り手は個人ではなく、衣料品のほか蓄電池やGPUサーバーへ事業を広げている事業会社でした。
MAKE BEAUTURE株式会社
化粧品の企画・開発・製造、D2C販売(SNS・ライブコマース)/東京都渋谷区/2021年12月設立
- 取得価額
- 1億8,000万円
- 対象の売上
- 8,400万円
- 対象の営業利益
- △1,400万円
- 対象の純資産
- △6,600万円
決算期:2024年11月期/譲渡前の株主:朝倉未来55.37%、インフルエンサーZ株式会社34.14%、花房火月2.77%、その他個人株主98名7.72%/2025年10月10日の基本合意時は200百万円と公表されていたが、協議の過程で180百万円に引き下げ。第三者算定機関によるDCF方式で算定。アドバイザリー費用は発生していない
買収理由:靴と親和性の高い化粧品・ビューティ領域への参入。女性顧客データの相互活用と、TikTok・Instagram・ライブコマースの知見を靴事業へ取り込む
売上8,400万円、営業損失1,400万円、純資産マイナス6,600万円の債務超過。売上は1億1,700万円→1億3,300万円→8,400万円と落ちていました。それでも1億8,000万円の値段がついています。評価されたのはSNSでの発信力とD2Cの運用ノウハウで、決算書に載らない力が価格になった例です。一方で、基本合意で公表した2億円が、最終契約では1億8,000万円に下がりました。基本合意の金額は確定ではないことが分かります。また株主が100名を超えていたため、大株主3者の譲渡は予定どおり2025年10月31日に実行されたものの、少数株主のスクイーズアウトに時間がかかり、全株の取得日が11月下旬〜12月初旬に延びています。株主が散らばっている会社は、売却の手続きにも時間がかかります。
2026年1月期の決算短信(訂正後)で、新たに連結の範囲に含めた子会社として記載されています。公式サイトのグループ会社一覧にも社名のまま掲載されています。
株式会社361Sports Japan
スポーツブランド「361°」の輸入販売(香港上場の361度国際の日本展開)/東京都中央区/2025年1月設立
- 取得価額
- 1億円
- 対象の売上
- 1,100万円
- 対象の営業利益
- △1,700万円
- 対象の純資産
- △1,500万円
決算期:2025年12月期(2025年7月末まで)/譲渡前の株主:株式会社GLOCAL DOORが100%保有/外部の株価算定に基づき決定。取得時に一時金70百万円、残り30百万円は2027年2月28日に支払い。条件は「361Sports Japan単体の2026年12月期の売上・営業利益が2025年12月期を上回ること」と「売主に契約違反がないこと」。アドバイザリー費用はなく、株価算定費用0.5百万円が別途発生。資金は2025年8月の第三者割当増資による調達資金/2025年1月23日設立のため、2025年7月末までの約7か月分の数値
買収理由:国内総代理店として販売してきた「361°」を、グループのEC・店舗運営ノウハウと合わせて伸ばす
設立から8か月足らず、売上1,080万円、営業損失1,650万円、債務超過の会社に1億円の値段がついています。評価されたのは数字ではなく、世界70か国以上で展開するブランドの日本での販売権でした。買い手はもともと国内総代理店として取引しており、取締役2名が対象会社の取締役・監査役を兼ねていたため、この2名は決議に参加していません。1億円のうち3,000万円はアーンアウトで、翌期に売上と営業利益の両方が前期を上回らなければ支払われません。売り手にとっては、価格の3割が買収後の業績しだいという条件です。
公式サイトのグループ会社一覧に社名のまま掲載されています。アーンアウト残額3,000万円の支払期日は2027年2月28日で、支払いの有無はまだ開示されていません。
株式会社Gold Star
韓国食品の輸入・卸売・小売(アイスクリーム「クリーミーヨーグルトボール」など)、飲食店の経営/大阪府大阪市/2021年3月設立
- 取得価額
- 4億円
- 対象の売上
- 5億5,900万円
- 対象の営業利益
- 7,100万円
- 対象の純資産
- 6,000万円
決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:個人1名(尹 炯植)が100%保有/取得時の一時金200百万円以下と、アーンアウト対価200百万円の合計。アーンアウトの条件は「2025年12月期の売上・営業利益が2024年12月期の実績を下回らないこと」。条件を満たし、2026年2月27日に200百万円を現金で支払い済み。アドバイザリー費用は発生していない
買収理由:韓国食品メーカーとの独占権とコンビニ・量販店への卸売実績を取り込み、自社ECの活性化と若年層の獲得につなげる
従業員5名、売上5億5,900万円・営業利益7,100万円・純資産6,000万円。取得価額4億円は営業利益の約5.6倍、純資産の約6.7倍です。営業利益は前の期の950万円から7,100万円へ急伸した直後で、ヒット商品で伸びた直近1年の利益が評価の土台になっています。ただし半分の2億円はアーンアウトで、売り手の社長は買収後も経営に残り、翌期の業績で残額を受け取る形でした。結果は売上21億2,800万円・営業利益4億7,900万円と大きく伸び、残額2億円が支払われています。アーンアウトの額は2億円で固定されていたため、業績が条件を大きく上回っても売り手の受取額は増えていません。後払いを受け入れるなら、上限の決め方まで交渉の対象になることが分かる例です。
2026年2月にアーンアウト対価の支払い完了が開示され、代表者は売り手の尹炯植氏のままです。公式サイトのグループ会社一覧にも社名のまま掲載されています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社チチカカ1円(売上の0.00倍)※営業赤字での譲渡
- MAKE BEAUTURE株式会社1億8,000万円(売上の2.14倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社361Sports Japan1億円(売上の9.09倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社Gold Star4億円(売上の0.72倍・営業利益の5.6倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ジェリービーンズグループが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日