株式会社ミダックホールディングスのM&A実績
廃棄物処理の会社を、創業家の個人株主から買い続けている会社です。最終処分場、し尿・一般廃棄物の収集運搬、建設廃棄物の中間処理と、廃棄物処理の各段階の会社を買っています。開示文では「後継者問題を抱える」会社を「支援型M&A」で引き受けると書いており、10年ビジョン「Challenge 80th」でも積極的なM&Aを掲げています。2022年には保育園と果樹園も買っていますが、その後は本業の廃棄物処理に戻っています。
株式会社ミダックホールディングスが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 静岡県浜松市
- 設立
- 1964年7月
- 事業内容
- 静岡県浜松市を地盤に、産業廃棄物・一般廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分場の運営までを一貫して手がける廃棄物処理グループの持株会社
- 売上高
- 118億4,400万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 47億2,300万円
- 純資産
- 180億2,200万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 産業廃棄物の最終処分場(管理型・安定型)/し尿・一般廃棄物の収集運搬/建設廃棄物の中間処理・収集運搬/砕石製造(処分場工事の残土管理)/保育園・果樹園(2022年のみ)
- 対象の規模
- 対象の売上 0.66億円〜14.7億円(業績非開示が3件)
- 手法
- 株式譲渡で100%取得。個人株主が複数いる場合も全員から買い取る。基本合意書を結んでから約1か月で株式取得を完了させた例もある
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。2026年3月期の決算短信には遠州砕石、フレンドサニタリー、大平興産の名前が事業の説明に出てきます。遠州砕石はグループの処分場工事で出る残土の受け入れ先になるなど、買った会社にグループ内の役割を持たせています。
- 7件中3件で取得価額が開示されています。約4,500万円、約1億円、約1億3,000万円です。非開示の理由は「相手先が個人であるため」「先方の意向」と書かれています
- 債務超過で赤字の会社を買っています。遠州砕石は純資産マイナス1億円、3期連続の営業赤字でしたが、浜松市内に持つ土地が評価されて約4,500万円で買われています
- 帳簿の純資産より大幅に安い価格の案件があります。大平興産は純資産56億5,900万円に対し、取得価額は約1億円でした
- もともと取引のあった会社を買うことがあります。柳産業と大平興産は、買収前からミダックが廃棄物処理案件の仲介管理をしていた相手でした
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
有限会社エノケン工業
産業廃棄物の最終処分(安定型最終処分場の運営)/静岡県牧之原市/1995年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:榎田英治91.7%、榎田英明6.7%、榎田康宏1.6%(個人3名)/非開示(相手先が個人のため)。第三者機関の評価額を考慮して合意。取得対価は開示基準に該当しない規模と記載
買収理由:静岡県内の安定型埋立でのシェア向上と、処分場運営ノウハウの共有による処分場の長寿命化
資本金300万円の有限会社です。開示文に「後継者問題を抱えるエノケン工業」とはっきり書かれています。業績は「譲渡先の意向により公表を控え」とされており、売り手が希望すれば業績を伏せたまま上場企業に譲渡できることが分かります。処分場の新規設置も視野に入れるとしており、買った後に設備投資をする前提での取得です。
2026年3月期決算短信の重要な後発事象に、2026年4月3日に全株式を取得したと記載されています。その後の商号変更や合併の開示は手元にありません。
大平興産株式会社
産業廃棄物・一般廃棄物の最終処分(千葉県内の管理型最終処分場)、収集運搬/東京都千代田区/1971年7月設立
- 取得価額
- 1億円
- 対象の売上
- 14億6,600万円
- 対象の営業利益
- 2億5,800万円
- 対象の純資産
- 56億5,900万円
決算期:2024年6月期/譲渡前の株主:山上毅84.6%、山上昌孝3.4%、山上樹久子3.2%(個人3名)。残り8.8%は議決権のない株式でミダックHDが保有/「約100百万円」と開示。議決権株式78,629株(全株式の91.2%)の取得額。残る8.8%(議決権なし株式7,577株)は取得前からミダックHDが保有
買収理由:関東エリアへの事業拡大。千葉県内の管理型最終処分場を取り込み、将来の処分場拡張も視野に入れる
売上14億6,600万円・営業利益2億5,800万円・純資産56億5,900万円の会社が、約1億円で売られています。売上は18億5,600万円→14億6,600万円と落ちており、取得時点では搬入量を抑えていました(2025年11月に搬入再開)。開示文は「資産の再評価を予定しているため、特別利益の発生は見込んでいない」としています。決算短信を見ても負ののれん発生益は計上されておらず、最終処分場維持管理引当金が34億7,300万円増えています。処分場のように将来の管理費用がかかる資産は、帳簿の純資産がそのまま値段にはなりません。買収前から仲介管理の取引があった相手でもありました。
2026年3月期決算短信で新規連結子会社として記載され、今後は奥山の杜クリーンセンターとともに処分場事業の主体とされています。
株式会社フレンドサニタリー
し尿収集運搬、一般廃棄物収集運搬(津市からの委託)/三重県津市/1972年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 10億776万円
- 対象の営業利益
- 2億5,010万円
- 対象の純資産
- 22億5,320万円
決算期:2022年12月期/譲渡前の株主:田中正勝75.0%、泉信敬12.5%、泉陽子12.5%(個人3名)/非開示。「譲渡人の安全確保及び事業の安定的な運営を目的とした秘密保持条項」を先方の意向で契約に定めたため。第三者算定機関の株式価値算定を勘案して決定
買収理由:一般廃棄物の収集運搬事業の取り込みによる業容拡大と収益力向上
売上10億800万円・営業利益2億5,000万円(利益率約25%)・純資産22億5,300万円。売上は3期とも10億円台で横ばい、利益も安定していました。自治体の委託を受けるし尿収集という地味でも安定した事業に、上場企業の買い手がついています。価格を伏せた理由として「譲渡人の安全確保」を挙げているのは珍しく、売り手側が金額を表に出したくない事情を契約で守った例です。
2026年3月期決算短信の収集運搬事業の説明に「株式会社フレンドサニタリーは前期並みの売上を確保」と社名が出ています。
遠州砕石株式会社
砕石製造業(自社採掘場での原石の切り出し・加工・販売)/静岡県浜松市/1967年12月設立
- 取得価額
- 4,500万円
- 対象の売上
- 6,644万円
- 対象の営業利益
- △2,563万円
- 対象の純資産
- △1億13万円
決算期:2022年6月期/譲渡前の株主:清水孝之90.6%ほか2名(清水康志、武藤勝彦)/「約45百万円」と開示
買収理由:保有する土地を活用し、グループの処分場「奥山の杜クリーンセンター」工事で出る残土の管理を委託するため
売上6,600万円、営業損失2,600万円、純資産マイナス1億円の債務超過でした。売上は8,800万円→7,300万円→6,600万円と縮み、3期連続の営業赤字です。それでも約4,500万円の値段がついています。理由は事業そのものより、高速道路のICに近い浜松市内の土地を複数持っていたことでした。本業が傷んでいても、土地や設備に買い手側の使い道があれば売れます。
2026年3月期決算短信に、遠州砕石株式会社が奥山の杜クリーンセンター工事の残土受け入れで前期の収益に貢献したと社名入りで記載されています。
株式会社岩原果樹園
果樹(さくらんぼ等)の生産/山梨県北杜市/2021年1月設立
- 取得価額
- 1億3,000万円
- 対象の売上
- 8,346万円
- 対象の営業利益
- 2,751万円
- 対象の純資産
- 3,076万円
決算期:2021年12月期(初年度決算)/譲渡前の株主:岩原行彦56%、岩原和惠44%(個人2名)/「約130百万円」と開示
買収理由:サステナビリティと地方創生。果樹農業の高齢化・労働力不足への対応と、自治体との連携
売上8,300万円・営業利益2,800万円・純資産3,100万円。法人化して最初の決算しかない会社が、約1億3,000万円で買われています。営業利益の約4.7倍、純資産の約4.2倍です。日本農業大賞優秀賞の受賞歴など、法人の歴史は浅くても、積み上げてきた技術と評価が値段になった例です。本業の廃棄物処理とは関係のない買収でした。
2022年11月30日に取引実行予定として開示されました。2026年3月期決算短信に社名の記載は無く、その後の状況は手元の開示で確認できていません。
LOVE THY NEIGHBOR株式会社
認可外保育園(英語教育保育園「用賀インターナショナルスクール」)の運営/東京都世田谷区/2018年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(代表者)が100%保有/非開示(秘密保持のため)。第三者機関の評価額をもとに決定。取得対価は開示基準に該当しない規模と記載
買収理由:サステナビリティの視点からの社会課題解決。英語教育に加えて環境教育の導入も視野
資本金100万円、園1つの会社です。廃棄物処理とはまったく別の業種ですが、「SDGsへの貢献」という理由づけで上場企業が買っています。業績は秘密保持を理由に開示されていません。本業と関係が薄くても、買い手の掲げる方針に合えば買われることがある例です。
2022年5月26日に取引実行予定として開示されました。2026年3月期決算短信に社名の記載は無く、その後の状況は手元の開示で確認できていません。
株式会社柳産業
建設廃棄物の破砕・圧縮などの産業廃棄物中間処理、収集運搬/静岡県浜松市/1982年4月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(柳 正利)が100%保有/非開示(相手先が個人のため)。第三者機関の評価額をもとに決定。取得対価は開示基準に該当しない規模と記載
買収理由:東海地区の営業基盤強化と、既存施設の処理を同社の中間処理施設へ移すことによるコスト低減
地元浜松の建設廃棄物の中間処理会社です。買収前からミダックが廃棄物処理案件の仲介管理をしていた取引先でした。基本合意書の締結から株式取得の完了まで約1か月しかかかっていません。普段から取引のある相手は、話がまとまるのが速いことが分かります。業績は「当該会社の承諾が得られていない」として開示されていません。
2021年10月21日に株式取得の完了が開示されました。2026年3月期決算短信に社名の記載は無く、その後の状況は手元の開示で確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 大平興産株式会社1億円(売上の0.07倍・営業利益の0.4倍)
- 遠州砕石株式会社4,500万円(売上の0.68倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社岩原果樹園1億3,000万円(売上の1.56倍・営業利益の4.7倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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