株式会社cottaのM&A実績
小さな事業者向けのBtoB通販を、業界を変えて広げている会社です。最初は同じ製菓材料の地方卸(山口の周陽商事)、次に生協向けの雑貨卸(福岡のヒラカワ、東京のアスコット)、2024年からはIT人材のSESや理美容室向けカタログ通販まで買っています。売り手は家族で株を持つ地方の老舗から、投資ファンド、創業数年のスタートアップまで幅があります。
株式会社cottaが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 大分県津久見市
- 設立
- 1998年12月
- 事業内容
- 製菓・製パン用の食材と包装資材の通販サイト「cotta(コッタ)」を軸に、生協向けの雑貨卸、IT人材のSES、理美容室向けのカタログ通販を手がける会社
- 売上高
- 136億7,500万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 7億7,200万円
- 純資産
- 44億8,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 製菓・製パン用食材の卸売/生協向けの荒物雑貨卸/理美容室向け商材のカタログ通販/SES・システム受託開発/Webメディア
- 対象の規模
- 対象の売上 3.3億円〜45.3億円(立ち上げ直後のMedMargeは売上500万円)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。66.7%や51%だけを買って前経営陣を残す形、子会社が買い手になる孫会社化、Webメディアの事業譲受も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った事業会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。ただしワークス・グループでは、ファンドが作った持株会社(GCJG30、のちCOWA)を2025年10月にcotta本体へ吸収合併し、事業会社のワークスを直接の子会社にしています。グループ内の他2社も清算しています。
- 買収の開示では価格を出しませんが、翌年の決算短信で取得原価が出ています。TERAZは1億9,999万円、ワークス・グループは14億2,500万円でした
- 2016年以前の開示は旧社名の「株式会社タイセイ」名義です
- 赤字や純資産マイナスの会社も買っています。ヒラカワは3期連続の営業赤字、MedMargeは直前期まで債務超過でした
- 100%にこだわりません。TERAZは66.7%、MedMargeは51%だけを取得し、MedMargeでは「経営陣の継続的な関与」を理由に挙げ、追加取得は段階的に行う前提と開示しています
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社MedMarge(51%)
オンライン診療を使った美容医療(AGA等)の集客・運営支援/東京都新宿区/2022年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 500万円
- 対象の営業利益
- 300万円
- 対象の純資産
- △100万円
決算期:2025年4月期/譲渡前の株主:個人2名(氏名は非公開)/相手方の意向により非開示。外部専門家のデューデリジェンス結果をもとに資産状況等を考慮して決定。適時開示基準に該当しない任意開示
買収理由:ワークスの美容室ネットワークを使い、美容室を起点に美容医療サービスを提供する体制をつくる
資本金100万円、直前期の売上500万円・純資産マイナス100万円という立ち上げ直後の会社です。2025年6月に本格参入した事業の取扱高(約9.5億円の着地見込み)と、2026年4月期予想の売上1億9,100万円・営業利益7,700万円が評価の材料になっています。過去の決算がほとんど無くても、伸びている取引の実績と買い手の販路が噛み合えば買われます。51%だけを渡し、残りは「一定の条件のもと段階的に」追加取得する前提で、創業者が経営に残る形です。
2026年5月11日に株式譲渡を実行予定として開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
ワークス・グループ(持株会社GCJG30株式会社と株式会社ワークスほか)
理美容室向けのシャンプー・カラー剤など美容商材のカタログ通販/東京都千代田区(ワークス)/1987年4月(ワークス)設立
- 取得価額
- 14億2,500万円
- 対象の売上
- 45億2,900万円
- 対象の営業利益
- 2億5,900万円
- 対象の純資産
- 5億500万円
決算期:2024年3月期(簡易連結)/譲渡前の株主:GCJグロース5号投資事業有限責任組合(日本グロース・キャピタル)が持株会社を100%保有/買収時の開示では非開示(「直前期末の連結純資産額の30%以上」とのみ記載)。2025年9月期の決算短信で取得原価1,425,000千円(現金)と開示。アドバイザリー費用は別に1,150万円。発生したのれんは約20億1,800万円(暫定)/持株会社が連結決算をしていないため、各社の数値から内部取引を消去した簡易連結(参考値)
買収理由:理美容業界への新しい販路の確立。EC化率22%の業界で、cottaのEC・物流・SNSのノウハウを使えば伸ばせると判断
売上45億2,900万円・営業利益2億5,900万円・純資産5億500万円に対し、取得原価は14億2,500万円。営業利益の約5.5倍、純資産の約2.8倍です。売上は50億2,200万円→48億500万円→45億2,900万円と3期続けて減っていましたが、営業利益は黒字を保っていました。直前期に役員退職金7億200万円を払っており、純資産は15億3,600万円から5億500万円に減っています。売り手は創業家ではなく投資ファンドで、持株会社の設立(2023年3月)から1年8か月で事業会社に渡っています。ファンドが一度持った会社の、次の行き先が同じ「小口BtoB通販」の上場企業だった例です。
事業会社の株式会社ワークスは子会社として残り、2026年4月にはMedMargeを買う側になっています。一方、持株会社GCJG30(2024年12月にCOWAへ商号変更)は2025年10月1日付でcotta本体に吸収合併され、グループ内の他2社は清算されています。
株式会社TERAZ(66.7%)
リモート案件特化のSES(「Remoters Freelance」「Remoters Career」)、システム受託開発、人材紹介/東京都渋谷区/2020年12月設立
- 取得価額
- 2億円
- 対象の売上
- 8億3,000万円
- 対象の営業利益
- 4,200万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2023年9月期/譲渡前の株主:非開示/買収時の開示では相手方の意向により非開示。2025年9月期の決算短信で取得原価199,999千円(現金)と開示。アドバイザリー費用は別に1,346万円。のれんは1億3,818万円で5年償却。66.7%分の金額なので、全株に引き直すと約3億円
買収理由:製菓・製パン業界のEC化・DX化を進めるための技術力の取り込み
設立4年弱で売上8億3,000万円(前期5億2,900万円)・営業利益4,200万円。66.7%を約2億円で取得しており、全株換算で約3億円、営業利益の約7倍です。決算短信によると、受け入れた資産2億5,574万円・負債1億6,307万円で差額は約9,300万円でした。本業と関係の薄いIT会社でも、買い手の「業界のDX化」という目的に合えば買われます。3分の1を残したので、創業者側も株主として残る形です。
2024年10月1日に66.7%の取得が完了。2025年9月期の決算短信では「人材ソリューション事業」セグメントとして同社の業績が開示されています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社フレンバシーのVegewel事業
ベジタリアン向けレストラン情報メディア、プラントベース特化のWebメディア/東京都港区/譲渡会社は2015年2月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社フレンバシー(非上場の事業会社)/相手方の意向により非開示。対象事業の資産・負債の金額も非開示。適時開示基準に該当しない任意開示
買収理由:健康・環境に配慮した食の提案を広げるため、知名度のあるプラントベースのメディアを取り込む
業績も金額も一切開示されていない、Webメディア1本の事業譲受です。会社ごとではなく、事業の一部だけを切り出して上場企業に渡せることを示す例です。cottaは不二製油との資本業務提携で立ち上げた健康志向のEC事業と組み合わせる狙いを書いており、買い手の新しい事業に「足りない部品」としてはまる事業は、小さくても値がつきます。
2024年3月29日に事業譲受が完了したと開示されています。事業はcotta本体に移っており、その後の事業撤退や再譲渡の開示は確認できていません。
アスコット株式会社
生協向けの荒物雑貨卸/東京都台東区/2010年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 3億3,200万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2023年2月期/譲渡前の株主:非開示/相手方の意向により非開示。外部専門家のデューデリジェンス結果をもとに資産状況等を考慮して決定。適時開示基準に該当しない任意開示
買収理由:先に買ったヒラカワ(九州の生協が主な取引先)と、関東・東海・関西の生協を持つアスコットで、販路・仕入・配送拠点を共有する
資本金990万円・売上3億3,200万円。7年前に買ったヒラカワと同じ業種を、販売エリアが重ならない会社で買い足しています。九州と本州の生協という「取引先の地図」が補い合うことが買う理由でした。同じ業種の会社を持つ買い手には、自社の得意先の地域そのものが売り物になります。
2023年10月2日に全株式の取得が完了したと開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社ヒラカワ
家庭用雑貨品・食品の企画・卸売・小売(荒物雑貨卸)/福岡県福岡市/1962年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 9億3,100万円
- 対象の営業利益
- △200万円
- 対象の純資産
- 1億6,300万円
決算期:2016年2月期/譲渡前の株主:平川美子62.2%、平川潤一33.3%、その他個人1名(親族中心の個人株主)/相手方との合意により非公表。第三者機関の評価に基づき資産状況等を考慮して決定
買収理由:cottaの商品をヒラカワの顧客へ、ヒラカワの商品をcottaの通販サイトへ相互に売る。物流基盤の共用でコストも下げる
創業60年余り、売上9億3,100万円・純資産1億6,300万円。営業利益は△100万円→△1,900万円→△200万円と3期続けて赤字でした。それでも売上9億円台を保ち、純資産も1億6,000万円台を維持していたことで買い手がついています。本業で小幅な赤字が続いていても、取引先と商品の厚みがあれば売れます。7年後のアスコット買収の開示では、ヒラカワがグループの生協向け事業の中心と書かれています。
2023年8月のアスコット取得の開示で「株式会社ヒラカワを中心に生協向けの荒物雑貨商品群の企画・販売」と書かれており、買収から7年後もグループに残っています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
周陽商事株式会社
山口県内の菓子店・パン店向け製菓・製パン用食材の卸売(自社便での直接配送)/山口県下松市/1968年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億8,500万円
- 対象の営業利益
- 1円未満
- 対象の純資産
- 9,800万円
決算期:2014年5月期/譲渡前の株主:沖田新一郎41.5%、沖田安秀22.5%、沖田ひとみ20.1%、その他15.7%(同族中心)/相手方との合意により非公表。第三者機関の評価に基づき双方協議のうえ決定
買収理由:通販ではできない対面営業と、山口県内の配送拠点の獲得
売上6億8,500万円・純資産9,800万円。売上は7億6,000万円→7億4,100万円→6億8,500万円と減っており、営業利益は△300万円→△200万円→0円とほぼ収支トントンでした。買い手が欲しかったのは利益ではなく、自社配送車での対面営業と山口の配送拠点です。通販の会社にとって、地域密着の卸は「自分では作れない販路」になります。縮小気味の地方卸でも、通販や広域の同業者には価値があります。
取得後の商号変更・合併・再譲渡の開示は確認できていません。ただし近年の開示に社名は出てこないため、現在の状況は追い切れていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ワークス・グループ(持株会社GCJG30株式会社と株式会社ワークスほか)14億2,500万円(売上の0.31倍・営業利益の5.5倍)
- 株式会社TERAZ(66.7%)2億円(売上の0.24倍・営業利益の4.8倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社cottaが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日