株式会社ヒューマンクリエイションホールディングスのM&A実績
IT人材の会社を軸に、売上2億円前後〜15億円の非上場企業を1〜2年に1社のペースで買っている会社です。株式を買った5件の売り手は、社長が9割以上を持つ会社、共同代表2名が半々で持つ会社など、いずれも個人かその資産管理会社です。2025年の補足説明資料では「売上高5億円、利益率5-6%の企業を毎期1社買収」という想定を示しており、この規模の会社が今後も主な対象になると読めます。
株式会社ヒューマンクリエイションホールディングスが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 正社員ITエンジニアによるシステム開発・ITコンサルティング・技術者派遣(SES)を中心に、M&A仲介、介護・医療分野の人材派遣までを束ねる持株会社
- 売上高
- 89億4,500万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 7億8,100万円
- 純資産
- 15億3,000万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- システム開発・ITコンサルティング(ERP等)/ITヘルプデスク・BPO/AIカメラ・データ分析/M&A仲介/介護・医療分野の人材派遣・人材紹介
- 対象の規模
- 対象の売上 1.7億円〜15億円(TARAとGrowthixの事業は非開示)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得による子会社化)が中心。子会社が事業譲受で事業だけを引き取る形も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。2025年9月期の決算短信でも、ヒューマンベース、コスモピア、TARAが子会社別売上の欄に並んでいます。ただしペアキャピタルは取得と同時に「HCフィナンシャル・アドバイザー」へ商号を変え、取締役も入れ替えています。
- 中小規模の案件でも取得価額を開示しています。7件のうち4件で金額が出ており、3億円〜10億円でした
- アドバイザリー費用の概算も毎回並べて書いています。ヒューマンベースで37百万円(取得価額の約10%)、コスモピアで31百万円、ライフシールドで35百万円、ペアキャピタルで10百万円
- 調整後EBITDAを自分で出して開示することがあります。ペアキャピタルとライフシールドでは、役員報酬など買収後に変わる費用を足し戻した数字を載せています
- 金額を出さない案件でも「当社の取得対価の基準には該当せず軽微」と書かれるので、小さい案件だったことは分かります
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社ライフシールド
介護士・看護師・保育士など有資格者に特化した人材派遣・人材紹介/東京都中央区/2014年1月設立
- 取得価額
- 3億6,000万円
- 対象の売上
- 15億100万円
- 対象の営業利益
- 1,100万円
- 対象の純資産
- 1億7,600万円
決算期:2026年3月期/譲渡前の株主:個人2名(宮崎 宏二50.0%、日永田 達弘50.0%)。2名とも代表取締役/取得関連費用(概算)35百万円を加えた合計は395百万円。過去の実績、財政状態、経営計画、デューデリジェンスに基づき交渉して決定。直近期の調整後EBITDA 48百万円に対して約7.5倍、純資産176百万円に対して約2.0倍
買収理由:介護・医療分野の専門人材サービスへの進出。採用・営業・稼働管理のノウハウを展開し、顧客約400社にIT・DX支援も提供する
売上15億100万円・営業利益1,100万円・純資産1億7,600万円。営業損益は1億5,400万円の赤字→2,600万円の赤字→1,100万円の黒字と、黒字に戻した直後の譲渡です。それでも純資産の約2倍、3億6,000万円がつきました。営業利益だけで見ると30倍を超えますが、買い手は役員報酬などを足し戻した調整後EBITDA(4,800万円)を並べて開示しています。利益が薄くても、登録スタッフ約2万人・顧客約400社という基盤があれば値段はつきます。共同代表2名が50%ずつ持つ会社でも、2名そろって売る形で100%取得が成立しています。
2026年7月1日に株式取得の完了が開示されています。その後の商号変更や合併の開示はありません。
Growthix株式会社のM&A仲介事業
M&A仲介/東京都港区
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:Growthix株式会社(事業会社)/記載なし。連結業績への影響は軽微と想定
買収理由:M&A仲介の案件数・カバー範囲の拡大と、支援体制の高度化
前年に買ったM&A仲介会社が、さらに同業の仲介事業を引き取った案件です。会社ごとではなく事業だけを渡す形で、金額も業績も開示されていません。買われた会社が次の買い手になる流れがここにも出ています。
事業譲受のため法人は引き継いでいません。譲り受けた事業がその後どうなったかを示す開示は手元にありません。
株式会社ペアキャピタル
M&A仲介、M&Aマッチングプラットフォーム「AMAPE」の運営/東京都渋谷区/2020年10月設立
- 取得価額
- 10億円
- 対象の売上
- 10億7,100万円
- 対象の営業利益
- 5,100万円
- 対象の純資産
- 2億6,100万円
決算期:2024年9月期/譲渡前の株主:合同会社田中(代表者 田中 哲が100%保有)47.10%、合同会社MK・NJ・NHS 各12.00%ほか、役員の資産管理会社と個人/取得関連費用(概算)10百万円を加えた合計は1,010百万円。2025年3月31日時点の財政状態に応じて減額調整の可能性ありと開示。直前期の調整後EBITDA 239百万円に対して約4.2倍、純資産261百万円に対して約3.8倍。資金は自己資金+銀行借入
買収理由:経営コンサルティング事業の強化。DX支援からM&A仲介までを一体で提供する
売上10億7,100万円・営業利益5,100万円・純資産2億6,100万円で、この会社の案件で最大の10億円です。営業利益は1億7,900万円から5,100万円に落ちた期でしたが、買い手は役員報酬の減額分や一過性の訴訟費用などを足し戻した調整後EBITDA(2億3,900万円)を示しています。利益が一時的に落ちていても、理由を説明できれば足し戻して評価されます。一方で、取得と同時に社名は「HCフィナンシャル・アドバイザー」に変わり、代表を含む取締役は退任して執行に専念する形になりました。業務提携から3か月での子会社化です。
2025年4月1日に株式会社HCフィナンシャル・アドバイザーへ商号変更。2025年9月期の決算短信に子会社として載っており、半年分の売上は776百万円です。
株式会社TARA
人物検知AIカメラのサービス開発、AI分析によるマーケティングリサーチ、データ活用コンサルティング/神奈川県藤沢市/2018年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人4名(岩崎 祥大80.00%、平野 雅也10.00%、足立 晴彦5.00%、谷和 俊5.00%)/TARAの意向により非開示。「当社における取得対価の基準には該当せず軽微」
買収理由:データドリブン経営・経営コンサルティングのノウハウを取り込み、大手企業や官公庁に直接サービスを提供する体制をつくる
設立5年、資本金1,000万円の会社です。業績は「同社の意向により非開示、いずれも軽微基準に該当」とされています。売り手が望めば、業績も価格も伏せたまま上場企業に売れます。2025年9月期の子会社別売上は1億2,500万円でした。
株式会社コスモピア
ICT関連ヘルプデスクの運営、教育、マニュアル制作(BPO)/東京都千代田区/1986年12月設立
- 取得価額
- 3億円
- 対象の売上
- 4億2,400万円
- 対象の営業利益
- 4,700万円
- 対象の純資産
- 2億800万円
決算期:2021年9月期/譲渡前の株主:個人2名(小椋 みどり70.00%、武藤 雅葉子30.00%)。小椋氏は代表取締役社長/アドバイザリー費用等(概算)31百万円を加えた合計は331百万円。過去の実績、財政状態、経営計画、デューデリジェンスに基づき交渉して決定。営業利益の約6.4倍、純資産の約1.4倍
買収理由:システム納品後の運用支援を拡充し、運用の現場から次の開発需要を掘り起こす
創業35年、売上4億2,400万円・営業利益4,700万円・純資産2億800万円。価格は3億円で、営業利益の約6.4倍、純資産の約1.4倍でした。中央省庁や大手企業のヘルプデスクを請け負う、地味でも安定した事業です。純資産は3期で1億3,800万円→2億800万円と積み上がっていました。派手な成長がなくても、継続取引の顧客を持つ会社は純資産を上回る値段で売れます。
2025年9月期の決算短信に子会社別売上(624百万円)が社名つきで載っています。取得前の4億2,400万円から伸びています。
株式会社ヒューマンベース
システムコンサルテーション、システム設計・開発(ERP分野)/大阪府大阪市/1990年4月設立
- 取得価額
- 3億7,000万円
- 対象の売上
- 1億7,000万円
- 対象の営業利益
- 1,600万円
- 対象の純資産
- 8,500万円
決算期:2020年9月期/譲渡前の株主:個人2名(鷹野 敏章94.75%、矢信 雅也5.25%)。鷹野氏は代表取締役社長/アドバイザリー費用等(概算)37百万円を加えた合計は408百万円(開示どおり)。営業利益の約23倍、純資産の約4.4倍
買収理由:ERP分野のコンサルタント・エンジニアと顧客基盤を取り込み、上流工程を強化する
売上1億7,000万円・営業利益1,600万円・純資産8,500万円の小さなIT会社に、3億7,000万円がついています。営業利益の約23倍、純資産の約4.4倍です。売上は横ばいでしたが、ERPに強いコンサルタントという人材そのものが評価されました。人が採りにくい分野の技術者を抱えている会社は、利益の規模以上の値段で売れることがあります。
2025年9月期の決算短信に子会社別売上(395百万円)が社名つきで載っています。取得前の1億7,000万円から2倍強に伸びています。
株式会社グローステクノロジーズの事業の一部
ITコンサルティング、DXソリューション(営業先リスト自動収集AI、挿すだけVPNなど)/東京都港区/譲渡会社は2017年8月設立設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:株式会社グローステクノロジーズ(資本金10百万円の事業会社)/譲渡会社の意向により非開示。「当社投資基準の範囲内であり軽微」
買収理由:DX分野のソリューションを取り込み、コンサルティング・受託機能を強化する
この会社の開示で最も古い案件で、会社ではなく事業の一部と関連資産だけを引き取る形でした。業績も価格も譲渡会社の意向で非開示です。会社を丸ごと手放さず、一部の事業だけを渡す選択肢があることを示す例です。
事業譲受のため法人は引き継いでいません。譲受先のアセットコンサルティングフォースは2025年9月期の決算短信に子会社として載っていますが、譲り受けた事業がその後どうなったかは開示からは追えません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ライフシールド3億6,000万円(売上の0.24倍・営業利益の32.7倍)
- 株式会社ペアキャピタル10億円(売上の0.93倍・営業利益の19.6倍)
- 株式会社コスモピア3億円(売上の0.71倍・営業利益の6.4倍)
- 株式会社ヒューマンベース3億7,000万円(売上の2.18倍・営業利益の23.1倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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