UTグループ株式会社のM&A実績
製造派遣の最大手で、買収を繰り返して規模を作ってきた会社です。ただし買っている相手は、個人オーナーの会社より「大企業が持つ人材子会社」が中心です。日立、富士通、東芝のグループ会社を、親会社から51%ずつ取得するやり方が目立ちます。
UTグループ株式会社が公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月5日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都品川区
- 設立
- ―
- 事業内容
- 製造業向けの人材派遣・請負(正社員雇用型)、エンジニア派遣
- 売上高
- 1,668億5,500万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 106億1,300万円
- 純資産
- 321億4,100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 製造業向け人材派遣・請負/技術者派遣/設計・製造請負
- 対象の規模
- 対象の売上 7.9億円〜65億円
- 手法
- 株式譲渡。大企業の子会社は51%の部分取得、オーナー企業は持株会社ごと取得
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社の社名を変える傾向があります。水戸エンジニアリングサービスは「UT MESC株式会社」に、富士通アプリコは「FUJITSU UT株式会社」に商号変更されました。社名を残したい方には向きません。
- 売り手の多くが事業会社や投資ファンドです。個人オーナーからの買収は、この一覧ではスリーエム(愛知の派遣会社の持株会社)だけです
- 大企業からのカーブアウトでは51%だけを取得し、親会社に49%を残す形が繰り返されています。親会社との取引を続けるための設計です
- 取得価額は「相手先との協議により非公表」とする案件が多く、公表されるのは一部です
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
トゥエンティファースト株式会社
製造業向け人材派遣(日系ブラジル人材が中心)/東京都渋谷区/1984年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 22億6,500万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
非開示/合併前のトランスコーン社との2社合算。商号変更の経緯があるため単体の比較はできません
買収理由:外国人材の採用力・育成定着支援体制の強化と、顧客企業への人材供給力の拡充
売上22億6,500万円。外国人材に特化した派遣会社です。買い手が自前で作るのに時間がかかる領域に特化していることが、評価につながっています。
取得が2026年9月1日で、その後の商号や統合に関する開示はまだありません。同社は買収先の商号を変更する傾向があるため、次回の確認時に見直します。
株式会社日立茨城テクニカルサービス
電気機械器具・金属加工製品の設計・製造請負、人材派遣/茨城県日立市/1996年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 43億4,900万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 10億3,000万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:株式会社日立パワーソリューションズなど日立グループ/相手先との協議により非公表。第三者機関のデューデリジェンスと価格算定を経て決定
買収理由:日立グループとの連携強化。2020年の水戸エンジニアリングサービス取得に続く取引
売上43億4,900万円の会社の51%だけを取得し、49%は日立側に残す形です。親会社との取引を維持したまま、経営を移す設計になっています。
商号変更や合併の開示は確認できていません。同社の前例(水戸エンジニアリングサービス→UT MESC)からは商号変更の可能性があります。
富士通エフサス・クリエ株式会社
人材派遣、システム運用・ヘルプデスクの請負/神奈川県川崎市/1996年6月設立
- 取得価額
- 1億7,800万円
- 対象の売上
- 60億700万円
- 対象の営業利益
- 6,200万円
- 対象の純資産
- 7億4,200万円
決算期:2021年3月期/譲渡前の株主:株式会社富士通エフサスが100%保有/51%分の金額。ほかにアドバイザリー費用等が概算12百万円。合計190百万円
買収理由:ITサービス領域での人材事業の拡大
売上60億700万円の会社ですが、51%の取得価額は1億7,800万円でした。単純に100%換算しても約3億5,000万円で、純資産7億4,200万円を下回ります。大企業のカーブアウトでは、親会社との取引条件や退職給付債務などを織り込んで、純資産より低い価格になることがあります。
株式会社スリーエム(愛知県豊橋市)
人材派遣会社グループの持株会社/愛知県豊橋市/1987年1月設立
- 取得価額
- 30億5,400万円
- 対象の売上
- 7億8,900万円
- 対象の営業利益
- 3,300万円
- 対象の純資産
- 16億1,800万円
決算期:2020年5月期/譲渡前の株主:個人株主が中心(50%、30%、17.3%など)/ほかにアドバイザリー費用等が概算290百万円。合計3,344百万円。決済は2回に分割/持株会社単体の数字。傘下の事業会社の売上は含みません
買収理由:地域の職場での安定的な雇用環境の整備と、地域を網羅したキャリアプラットフォームの構築
この一覧で唯一、個人オーナーから買った案件です。持株会社の純資産16億1,800万円に対して、株式の取得価額は30億5,400万円。傘下に複数の事業会社を抱える構造なので、単体の数字だけでは評価できません。アドバイザリー費用が2億9,000万円かかっている点も、規模の大きさを示しています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 富士通エフサス・クリエ株式会社1億7,800万円(売上の0.03倍・営業利益の2.9倍)
- 株式会社スリーエム(愛知県豊橋市)30億5,400万円(売上の3.87倍・営業利益の92.5倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはUTグループ株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月5日