日本ヒューム株式会社のM&A実績
創業100年を超えるコンクリート会社が、2026年に入って基礎杭の製造・施工会社を半年で2社続けて買いました。どちらも愛知県の会社で、売り手は創業家・社長個人です。中期経営計画では「従来の自前主義による緩やかな拡張だけでは」成長に必要なスピードを確保できないとして、M&Aを成長戦略の柱に置いています。狙いは工場と施工の担い手で、人手不足の建設業界で、職人と施工実績を持つ会社そのものが買われています。
日本ヒューム株式会社が公表した適時開示2件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 1925年10月
- 事業内容
- コンクリートパイル(基礎杭)、下水道用のヒューム管、プレキャスト製品の製造・施工を手がける総合コンクリート会社
- 売上高
- 402億3,900万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 25億2,300万円
- 純資産
- 527億2,700万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- コンクリートパイルの製造・販売/杭打工事・基礎工事/土木工事
- 対象の規模
- 対象の売上 4.9億円〜59.9億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。親族に株が分かれている会社では「90%以上を取得できること」を条件にして、まとめて買い取る
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。2件とも、売り手の創業者・社長は取締役会長として残り、社長には日本ヒュームから人が送られる形で、取得の当日に新体制が開示されました。
- 取得価額は2件とも非開示です。理由は「相手先の要望」。開示文には「公正なプロセスを経て決定しており、企業価値に見合った価額」とだけ書かれています
- 対象の業績は3期分きちんと開示されています。売上・純資産・当期純利益が並ぶので、どんな会社が買われたかは具体的に分かります
- 2件とも、買う前から製品の売買や杭打工事の取引がある会社でした。取引先がそのまま買い手になるパターンです
- このほか2026年3月にドローン点検の株式会社Liberawareと資本業務提携をしていますが、会社を買う案件ではないため一覧には入れていません
買収の履歴2件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社中部基礎
杭打工事・土木工事、コンクリート製品の販売工事、総合リース/愛知県一宮市/1981年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 4億9,100万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- 14億1,000万円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:個人1名(幸田 隆弘)が100%保有/相手先の要望により非開示。「公正なプロセスを経て決定しており、企業価値に見合った価額」と記載
買収理由:大型基礎工事の施工能力を全国規模で確保し、杭抜き工事や地盤改良など周辺事業へ広げる
売上4億9,100万円・純資産14億1,000万円。売上は6億9,100万円→5億4,900万円→4億9,100万円と3期続けて減っていました。当期純利益も700万円→1億5,800万円→2,400万円と年ごとに振れています(営業利益は開示されていません)。それでも買われたのは、「高度な施工技術を有する施工会社が限られる」大型基礎工事を担える会社だったからです。買い手とはもともと杭打工事の取引があり、仕事を出していた元請けがそのまま買い手になった形です。純資産は売上の約3倍、総資産18億9,800万円の7割以上を占めており、売上が減っていても財務は厚い状態での譲渡でした。
2026年8月3日開示の「株式会社中部基礎の株式取得(子会社化)完了および当該子会社役員人事に関するお知らせ」で、同日付の100%取得完了が開示されています。幸田隆弘氏は取締役会長として残り、社長には日本ヒュームの早川剛志氏が就きました。日本ヒュームのグループ会社一覧にも社名のまま掲載されています。
マナック株式会社
コンクリートパイルの製造・販売、杭打工事一式/愛知県清須市/1962年12月(創業1956年)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 59億8,700万円
- 対象の営業利益
- 1億2,900万円
- 対象の純資産
- 27億2,500万円
決算期:2024年12月期/譲渡前の株主:高橋 脩12.0%、高橋 健夫11.2%、川上 まや子10.9%、高橋 真理子10.1%(上位4名の個人。株式取得の相手先として開示されたのもこの4名)/相手先の要望により非開示。「公正なプロセスを経て決定しており、企業価値に見合った価額」と記載。なお、2026年3月期の決算短信では連結貸借対照表に前期は無かったのれん688百万円が計上されており(同期の新規連結はマナック1社)、純資産を上回る金額で取得したことがうかがえます
買収理由:中部地域での基礎事業(既製コンクリート杭)のシェア拡大。製造拠点を現場の近くに持ち、輸送効率と大型案件への対応力を高める
売上59億8,700万円・営業利益1億2,900万円・純資産27億2,500万円。営業利益率は2%台で、売上も73億5,900万円から59億8,700万円へ減っていました。それでも買い手は「製造拠点と施工現場の距離は利益率と供給競争力に直結する」と書いており、利益の大きさより工場の場所と人・設備が評価されています。株主は上位4名でも44%ほどで、親族などに株が分かれていましたが、「90%以上を取得できること」を条件にして99.7%まで集めています。株が散っていても、まとめて売る段取りが組めれば会社ごと売れます。創業家の高橋脩氏は取締役会長として残りました。
2026年2月27日開示の「マナック株式会社の株式取得(子会社化)完了および当該子会社役員人事に関するお知らせ」で、同日付の取得完了(議決権99.7%)が開示されています。社長は日本ヒューム執行役員の横井昇氏に交代し、高橋脩氏は取締役会長に就きました。日本ヒュームのグループ会社一覧にも社名のまま掲載されています。
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本ページは日本ヒューム株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日