株式会社パワーソリューションズのM&A実績
中期経営計画で「M&Aやアライアンス提携によるBtoBのIT分野でのサービスの幅の拡大」を掲げ、売上2億〜10億円規模のIT受託開発・SES・クラウド構築の会社を続けて買っている会社です。売り手は7件中6件が創業者などの個人オーナーで、取得価額とアドバイザリー費用を毎回ほぼ必ず開示しています。営業赤字の会社や、売上が落ちている局面の会社も買っています。
株式会社パワーソリューションズが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 2002年1月
- 事業内容
- 金融機関向けの業務コンサルティング・DX推進、システムの受託開発と運用保守、RPA関連サービスを手がけるIT企業
- 売上高
- 80億9,900万円(2025年12月期(連結))
- 営業利益
- 7億1,300万円
- 純資産
- 38億200万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- システムエンジニアリングサービス(SES)・受託開発/クラウド基盤・ITインフラの構築と運用保守/RPAの導入支援/業務プロセスのコンサルティング/データ活用・BI(Tableau等)
- 対象の規模
- 対象の売上 2.2億円〜9.7億円
- 手法
- 株式譲渡が中心。100%取得のほか、51%だけ取得して創業者に株を残す形(2件)、まず31.8%を取得して持分法適用会社にし、1年後に100%へ引き上げる2段階の形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本で、公式サイトのグループ会社一覧には、買った会社が社名のまま並んでいます。例外はミニコンデジタルワークで、取得の翌年に事業をすべて新設の子会社OLDEへ移し、一覧から名前が消えています。
- 取得価額は7件中6件で開示されています。最小は6,400万円(ウィズ・テックの51%)、最大は3億6,500万円(アゼスト)。対象の3期分の業績もそろって出ています
- アドバイザリー費用の概算まで書かれています。300万円〜2,930万円で、取得価額の1%台から15%近くまで幅があります。小さい案件ほど費用の比率が重くなることが数字で読めます
- 算定方法は毎回「第三者機関によるデューデリジェンスを実施し、公正な方法で算出した金額にて、売主と協議のうえ決定」という書き方です
- 取引先を買うことがあります。ウィズ・テックとは業務委託・労働者派遣の取引が、アゼストとは業務委託の取引が、買収前からありました
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社キャッツ
ITコンサルティング、システムの設計・開発・保守、労働者派遣/神奈川県横浜市/1982年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 7億4,000万円
- 対象の営業利益
- 5,800万円
- 対象の純資産
- 1億3,200万円
決算期:2025年6月期/非開示。開示基準には該当しないが「有用な情報と判断し任意開示」とされている。2025年5月の31.8%取得時の金額は、この開示には記載がない
買収理由:持分法適用会社として1年協業したうえで連結子会社化し、企画力・提案力を高め、金融分野以外への展開を図る
売上7億4,000万円・営業利益5,800万円・純資産1億3,200万円。創業1982年の会社です。いきなり全部ではなく、まず3割強を売って1年一緒に仕事をし、そのあと残りを売るという2段階の形でした。買い手側も開示で「良好な協業を進めて参りました」と書いており、相性を確かめてから全部を渡す進め方が実際に使われています。2024年6月期は最終赤字6,100万円でしたが、翌期は5,800万円の黒字に戻しています。
株式会社アゼスト
BI(Tableau)の販売・導入支援、クラウドデータ基盤の構築、アプリケーション開発/東京都千代田区/1989年9月設立
- 取得価額
- 3億6,500万円
- 対象の売上
- 8億9,600万円
- 対象の営業利益
- 7,700万円
- 対象の純資産
- 8,000万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:個人2名(香取 徹 49.0%、小森 敬介 47.1%)。残り3.9%は自己株式/アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は369百万円。第三者機関のデューデリジェンスを踏まえ売主と協議して決定
買収理由:クラウド・データ基盤とBIの専門性を取り込み、グループのAI搭載SaaSや人材と組み合わせて付加価値を高める
売上8億9,600万円・営業利益7,700万円。売上は6億3,200万円→8億3,000万円→8億9,600万円と伸びていましたが、直前期は最終損益が1億8,100万円の赤字になり、純資産が2億6,200万円から8,000万円に減っていました。それでも価格は3億6,500万円で、純資産の4倍以上、営業利益の約4.7倍です(いずれも計算値)。最終赤字で純資産が減った年でも、営業利益が伸びていれば値段は純資産に引きずられないことが、この数字から読み取れます。株主は2名でほぼ半々を持っており、2人そろって売っています。
株式会社ウィズ・テック
業務システムの要件定義・設計・開発と保守運用、Web制作、クラウドインフラ構築/東京都目黒区/2005年7月設立
- 取得価額
- 6,400万円
- 対象の売上
- 4億3,200万円
- 対象の営業利益
- 1,000万円
- 対象の純資産
- 1億3,900万円
決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:小俣 一之 80.0%、その他個人2名 20.0%(譲渡したのは小俣氏と個人1名)/51%分の金額。アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は68百万円。第三者機関のデューデリジェンスを踏まえ売主と協議して決定。100%に引き直すと約1億2,500万円で、直前期の純資産1億3,900万円を下回る(計算値)
買収理由:両社の人材の連携と経験・ノウハウの共有によるサービスの付加価値向上
売上4億3,200万円・営業利益1,000万円・純資産1億3,900万円。この会社の案件で最小の6,400万円です。取得したのは51%だけで、創業社長は株を残しています。売上は5億1,600万円→5億200万円→4億3,200万円と減っており、100%に引き直した値段は純資産を下回ります。売上が落ちている局面では、純資産があっても額面どおりの値段にはならないことが読み取れます。もともと業務委託・派遣の取引があった相手で、取引先がそのまま買い手になった例でもあります。健康経営優良法人の認定を受けていたことも、取得理由の中で触れられています。
株式会社八興システムズ
サーバー・ネットワークの設計構築と運用保守、Web系・組込み系・汎用機系のシステム開発/東京都千代田区/2013年6月設立
- 取得価額
- 1億7,000万円
- 対象の売上
- 5億4,200万円
- 対象の営業利益
- △1,000万円
- 対象の純資産
- 8,100万円
決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:個人1名(熊澤 隆之)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)25百万円を加えた合計は195百万円。第三者機関のデューデリジェンスを踏まえ売主と協議して決定
買収理由:ITインフラ分野の充実と、幅広いシステム開発領域に対応できる人材の拡充
直前期は営業損失1,000万円の赤字でした。売上は5億9,700万円→6億4,600万円→5億4,200万円と落ち、営業利益も1,100万円→300万円→マイナス1,000万円と下がり続けている局面です。それでも1億7,000万円、純資産8,100万円の約2倍で売れています。インフラやシステム開発のエンジニアを抱えていること自体が評価される業種だと読み取れます。資本金1,000万円・発行済株式20株という小さな会社で、社長1人が全株を持っていました。
株式会社イノベーティブ・ソリューションズ
業務プロセスのコンサルティング、開発支援ツールの開発・導入/神奈川県横浜市/2014年6月設立
- 取得価額
- 3億1,110万円
- 対象の売上
- 7億2,500万円
- 対象の営業利益
- 7,600万円
- 対象の純資産
- 1億6,800万円
決算期:2023年5月期/譲渡前の株主:細江 浩 83.00%、その他個人3名 17.00%/51%分の金額。アドバイザリー費用等(概算)29.3百万円を加えた合計は340.4百万円。第三者機関のデューデリジェンスを踏まえ売主と協議して決定。100%に引き直すと約6億1,000万円で、営業利益の約8倍、純資産の約3.6倍(計算値)
買収理由:業務プロセス効率化のコンサルティング力と、開発工数を短縮するソリューションを取り込む
売上7億2,500万円・営業利益7,600万円・純資産1億6,800万円。売上は4億5,800万円→5億5,800万円→7億2,500万円と伸び続けていました。51%で3億1,110万円、100%に引き直すと約6億1,000万円で、この会社の案件ではいちばん高い評価です。同じ51%取得でも、売上が減っていたウィズ・テックとは倍率がまったく違います。伸びている局面で売ると評価が上がることが、同じ買い手の数字の比較で読めます。
ミニコンデジタルワーク株式会社
中堅・中小企業向けのRPA導入支援、システムエンジニアリングサービス、受託開発/大阪府大阪市/1976年6月設立
- 取得価額
- 1億3,000万円
- 対象の売上
- 2億1,800万円
- 対象の営業利益
- 100万円
- 対象の純資産
- 4,600万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:個人1名(田淵 正信)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は134百万円。第三者機関のデューデリジェンスを踏まえ売主と協議して決定
買収理由:RPAの人材とノウハウを相互に補完し、RPA関連サービスを拡大する
売上2億1,800万円・営業利益100万円・純資産4,600万円。この会社が買った中でいちばん売上の小さい会社です。営業利益は1,900万円→マイナス1,500万円→100万円と、前々期に赤字を出し、直前期もほぼ収支トントンでした。それでも純資産の約2.8倍にあたる1億3,000万円がついています。創業1976年の老舗で、RPAという伸びている分野の人材を持っていたことが評価されました。
2024年1月1日付の吸収分割で、事業のすべてが新設の子会社OLDEへ移されました(同時にパワーソリューションズ本体のRPA事業もOLDEへ)。2023年11月時点で代表者は田淵氏から加藤秀和氏(OLDE社長と同一)に替わっています。公式サイトのグループ会社一覧にミニコンデジタルワークの名前は無く、法人がどうなったかを示す開示は確認できていません。事業はOLDEの中で続いていると見られます(推定)。
株式会社エグゼクション
システムエンジニアリングサービス(クラウド基盤の構築・運用保守が中心)/東京都千代田区/2003年7月設立
- 取得価額
- 3億1,500万円
- 対象の売上
- 9億7,400万円
- 対象の営業利益
- 400万円
- 対象の純資産
- 1億4,100万円
決算期:2020年12月期/譲渡前の株主:株式会社日本創発グループ(事業会社)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)3百万円を加えた合計は318百万円。専門家の意見を参考に、財務・資産の状況や将来の見通しを総合的に勘案して売主と協議のうえ決定
買収理由:クラウド基盤のコンサルタント・エンジニアを強化し、自社のMD制などの人事制度を適用して定着率を高める
売上9億7,400万円・営業利益400万円・純資産1億4,100万円。この会社の案件で売上がいちばん大きい会社です。営業利益は4,400万円→3,800万円→400万円と落ちていましたが、3億1,500万円(純資産の約2.2倍)で売れています。売り手は個人ではなく、傘下グループ会社の経営管理を行う持株会社(日本創発グループ)でした。事業会社が持っていた子会社を、同じ業種を本業とする会社に渡した形です。利益が細っていた年でも、売上規模とクラウド基盤のエンジニアがいることが評価の土台になったと読み取れます。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された6件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社アゼスト3億6,500万円(売上の0.41倍・営業利益の4.7倍)
- 株式会社ウィズ・テック6,400万円(売上の0.15倍・営業利益の6.4倍)
- 株式会社八興システムズ1億7,000万円(売上の0.31倍)※営業赤字での譲渡
- 株式会社イノベーティブ・ソリューションズ3億1,110万円(売上の0.43倍・営業利益の4.1倍)
- ミニコンデジタルワーク株式会社1億3,000万円(売上の0.60倍・営業利益の130.0倍)
- 株式会社エグゼクション3億1,500万円(売上の0.32倍・営業利益の78.8倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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