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株式会社東陽テクニカのM&A実績

計測機器の専門商社が、自社の事業分野に隣接するメーカーや試験会社を買っている例です。中期経営計画では資金の50%以上を「M&A含む成長投資」に回す方針を掲げています。国内の案件は3件とも取得価額が開示されており、売上5億〜11億円規模の会社を3億3,000万円〜7億7,000万円で買っています。

株式会社東陽テクニカが公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都中央区
設立
―
事業内容
海外の先端計測機器の輸入販売と自社開発製品を軸に、脱炭素/エネルギー、先進モビリティ、情報通信、EMC、防衛、ライフサイエンスなどの計測ソリューションを提供する技術商社
売上高
325億5,900万円(2025年9月期(連結))
営業利益
19億1,400万円
純資産
281億1,900万円

どんな会社を買っているか

買う業種
EMC試験の受託・計測器校正/燃料電池評価装置向けの流体制御装置製造/官公庁・自治体向けの監視・録音録画装置製造
対象の規模
対象の売上 5.2億円〜10.8億円(国内案件)
手法
株式譲渡による100%取得(子会社化)。対象外の事業(不動産)を会社分割で切り離してから取得する形も使う
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残しています。エル・テールは2025年9月期の決算短信でも「水素関連事業の製造子会社」として名前が出ており、生産能力の増強に投資されています。
  • 国内の3件はすべて取得価額が開示されています。3億3,000万円、4億6,000万円、7億7,000万円
  • 純資産に対する値段はどれも1.0〜1.3倍程度です。営業利益に対しては3.4倍〜7.5倍で、利益の大きさより純資産を基準にした価格に近い水準です
  • 取引実績のある相手を買う傾向があります。エル・テールは東陽テクニカの燃料電池評価システムの製造協力会社、トーキンEMCも取引実績のある会社でした
  • 海外ではスウェーデンのRototest社(約14億5,700万円)、米国の持分法適用会社の追加取得もありますが、読者との関係が薄いためこの一覧には載せていません

買収の履歴3件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年1月22日株式譲渡(子会社化)。譲渡前に不動産事業を会社分割で切り離すことが取得の条件

ソニックガード株式会社

官公庁・自治体向けの遠隔監視システム、録音・録画装置などの電子装置の設計・開発・製造・販売/神奈川県横浜市/2002年3月設立

取得価額
7億7,000万円
対象の売上
10億7,900万円
対象の営業利益
2億900万円
対象の純資産
6億2,700万円

決算期:2025年11月期(決算確定前)/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/取得価額770,000千円。算定方法の記載はなし/不動産事業を分離する前の会社全体の数値(2025年11月期、決算確定前)

買収理由:官公庁・自治体向けの顧客基盤と製品開発力を取り込み、情報通信/情報セキュリティ分野のソリューションを広げる

売上10億7,900万円・営業利益2億900万円。純資産は不動産事業を切り離した後の概算で6億2,700万円(分離前は9億1,100万円)で、7億7,000万円はその約1.2倍です。業績は売上17億2,500万円→6億1,700万円→10億7,900万円と大きく振れ、前々期は営業損失9,600万円でした。一度赤字を出していても、翌期に戻していれば買い手はつきます。また、会社の中にあった不動産を先に切り離し、本業だけを渡しています。本業と関係の薄い資産は、譲渡の前に分けておく手があるという実例です。

買収後存続2026年10月13日時点

2026年1月28日付で子会社化したと同日のニュースリリースで公表されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:東陽テクニカ、ソニックガード株式会社を子会社化

出典:ソニックガード株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年3月4日株式譲渡(子会社化)

株式会社エル・テール

流体制御装置の製造、制御装置の設置工事、電気工事/兵庫県川西市/1997年12月設立

取得価額
3億3,000万円
対象の売上
5億2,000万円
対象の営業利益
9,700万円
対象の純資産
2億5,800万円

決算期:2023年9月期/譲渡前の株主:個人12名(氏名・持株比率は非公開)/取得価額330,000千円。算定方法の記載はなし

買収理由:燃料電池評価システムの製造協力会社を取り込み、水素関連事業の量産体制を整える

売上5億2,000万円・営業利益9,700万円・純資産2億5,800万円。3億3,000万円は純資産の約1.3倍、営業利益の約3.4倍です。売上は3億100万円→3億7,800万円→5億2,000万円、営業利益は3,900万円→6,200万円→9,700万円と伸びている途中での譲渡でした。もともと買い手の装置製造を請け負っていた協力会社で、取引先がそのまま買い手になった形です。株主は個人12名に分かれていましたが、全員から買い取っています。

買収後存続2026年10月13日時点

2025年9月期の決算短信で「水素関連事業の製造子会社であるエル・テール社」として言及され、生産能力の増強が進められています。商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:2025年9月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:株式会社エル・テールの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2023年12月19日株式譲渡(子会社化)

株式会社トーキンEMCエンジニアリング

EMC試験・電磁環境測定の受託、計測器校正、海外認証取得支援/神奈川県川崎市/1983年11月設立

取得価額
4億6,000万円
対象の売上
7億2,400万円
対象の営業利益
6,100万円
対象の純資産
4億4,500万円

決算期:2022年12月期/譲渡前の株主:株式会社トーキン(電子部品メーカー、米KEMET社の100%子会社)が100%保有/取得価額460,000千円。2023年11月8日の公表時点では「未定」で、契約締結日(12月19日)に確定・開示

買収理由:EMC分野で両社の知見と電波無響室などの施設を合わせ、試験・校正サービスを拡大する

売上7億2,400万円・営業利益6,100万円・純資産4億4,500万円。4億6,000万円は純資産とほぼ同額(約1.03倍)、営業利益の約7.5倍です。2020年12月期は営業損失1億5,900万円の赤字でしたが、1,700万円→6,100万円と2期続けて戻していました。売り手は電子部品メーカーの子会社で、親会社の本業から外れた試験事業を、同じ分野の専業に渡した形です。国内3か所の電波無響室という設備そのものが評価されたと読めます。

買収後存続2026年10月13日時点

2024年1月1日に株式譲渡実行予定として開示されています。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。

確認元:[開示事項の経過]株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

出典:[開示事項の経過]株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約締結のお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • ソニックガード株式会社7億7,000万円(売上の0.71倍・営業利益の3.7倍)
  • 株式会社エル・テール3億3,000万円(売上の0.63倍・営業利益の3.4倍)
  • 株式会社トーキンEMCエンジニアリング4億6,000万円(売上の0.64倍・営業利益の7.5倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社東陽テクニカが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日