株式会社クリーク・アンド・リバー社のM&A実績
クリエイターや専門家を派遣・紹介する会社で、テレビ制作、IT開発、人材紹介サイトなど「人のネットワーク」を持つ会社を買い足してきました。対象は売上1億円台のIT開発会社から、売上76億円の老舗出版グループまで幅があります。2025年には「事業承継ニーズに応える」として、創業1948年の高橋書店グループを95億円で取得しています。
株式会社クリーク・アンド・リバー社が公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 1990年3月
- 事業内容
- 映像・ゲーム・Web・出版・医療・IT・会計・法曹など18分野のプロフェッショナルを企業に派遣・紹介し、制作も請け負うエージェンシー事業
- 売上高
- 613億9,300万円(2026年2月期(連結))
- 営業利益
- 49億1,400万円
- 純資産
- 193億9,500万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- テレビ番組制作・制作スタッフの派遣/システム開発・SES/VR・メタバース機器の開発/ゲーム開発/業界特化の求人サイト・人材紹介/出版(手帳・書籍)
- 対象の規模
- 対象の売上 1.05億円〜76.6億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。売り手の会社が新設分割で切り出した事業会社を買う形、子会社のC&Rインキュベーション・ラボを通じた取得(孫会社化)、株式の買い取りと増資の引受を組み合わせる形も使う。75〜90%だけ取得して売り手に株を残すこともある
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。ただし、新設分割で生まれた会社は取得直後に社名を変え(スタジオリボルバー→クレイテックワークス)、広告業界の人材会社は取得から約10年後に本体へ吸収合併しています。シナジーが出なかった会社を、2年ほどで創業者側に売り戻した例もあります(Grune)。
- 取得価額はほとんどの案件で非開示です。理由は「秘密保持契約」または「相手先の意向」。そのうえで毎回「第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定」と書かれており、外部の評価を通していることは読めます
- 近年の開示では「取得価額は開示基準には該当しておりません」と添えられることが多く、規模の小さい買い物であることが分かります
- 金額が出たのは3件です。高橋書店グループ95億円、スタジオリボルバー(90%)1億5,000万円、プロフェッショナルメディア(80%)1億円
- 買った会社を手放すことも開示しています。2020年に75%を取得したGruneは2022年に創業者と取締役へ、2012年設立のエコノミックインデックス(持分27.6%)は2021年に創業者へ、それぞれ「十分な効果を発揮するに至らず」として譲渡しています
買収の履歴8件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社リンクテック
システムの受託開発、SES(エンジニアの常駐・派遣)/東京都台東区/2017年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億7,600万円
- 対象の営業利益
- 800万円
- 対象の純資産
- 2億200万円
決算期:2026年2月期/譲渡前の株主:株式会社アクロフロンティア53.33%、株式会社アクロホールディングス26.67%、その他20.00%(うち個人2名)/秘密保持契約により非開示。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定。「取得価額は開示基準には該当しておりません」
買収理由:グループのクリエイティブ・IT分野の顧客基盤と、AIを使った開発技術・エンジニアを組み合わせ、企業のDXやシステム刷新を請け負う
売上6億7,600万円・営業利益800万円・純資産2億200万円。売上は8億5,900万円→7億9,100万円→6億7,600万円、営業利益は6,600万円→4,100万円→800万円と、3期続けて下がっている局面での譲渡です。売り手は30社以上のIT企業を抱えるグループで、その中の1社を外に出した形です。利益が細っていても、AIを使った開発のやり方とエンジニアという人の資源が評価の対象になっています。
2026年8月3日に株式譲受を実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社T&Wオフィス(高橋書店グループ5社)
手帳・日記・カレンダー・書籍(児童書、就職・資格書、生活書等)の企画・編集・出版/東京都豊島区/2022年3月(持株会社。高橋書店グループは1948年創業)設立
- 取得価額
- 95億円
- 対象の売上
- 76億5,500万円
- 対象の営業利益
- 6億8,100万円
- 対象の純資産
- 63億6,500万円
決算期:2024年6月期(5社の簡易連結)/譲渡前の株主:相手先の要望により非開示/取得関連費用等(概算)15百万円を加えた合計は9,515百万円/対象5社の財務諸表から算出した簡易連結の数値
買収理由:高橋書店グループの事業承継ニーズに応え、同グループの事業基盤とプロフェッショナルのネットワークを組み合わせる
売上76億5,500万円・営業利益6億8,100万円・純資産63億6,500万円で、取得価額は95億円。営業利益の約14倍、純資産の約1.5倍です。売上は83億500万円→79億4,300万円→76億5,500万円と下がり続けていましたが、純資産は41億4,000万円→63億6,500万円と厚くなっていました。開示文には「事業承継ニーズに応える」と明記されています。翌期の決算短信では、この会社の連結で現金や売掛金が増え、連結キャッシュ・フロー上は子会社株式の取得が21億400万円の「収入」になったとされています。取得時に引き継いだ現金が、支払った現金を上回ったということです。「手帳は高橋」のブランドと手元資金の厚い会社が、事業承継の文脈で上場企業に渡った例です。
2026年2月期の決算短信で、T&Wオフィスと高橋書店が新たに連結子会社になったこと、高橋書店グループの業績が好調に推移したことが記載されています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社Shiftall
VR・メタバース・IoT機器の企画・開発・販売・サポート/東京都中央区/2018年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:パナソニックホールディングス株式会社(上場企業)が100%保有/秘密保持契約により非開示。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定。「取得価額は開示基準には該当しておりません」
買収理由:VR・メタバース向けのコンテンツ開発、システム開発、ハードウェア販売とのシナジー
開示された業績は総資産と当期純利益だけで、当期純利益は1,206万円→2,645万円→3,495万円と伸びていました(総資産3億9,054万円)。売り手はパナソニックホールディングスです。大企業の中で生まれた小さな製品会社が、その分野に近い会社に渡った案件です。代表者の知見と自社開発の製品(モーショントラッキング装置、VRヘッドセット)が取得理由に挙げられています。
2024年2月1日に株式譲受を実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社シオングループ
テレビ番組の企画・制作(シオン)、テレビ制作関連の人材サービス(シオンステージ)。シオングループはその持株会社/東京都千代田区/2006年9月(中核子会社シオンは1991年3月)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 15億6,100万円
- 対象の営業利益
- 400万円
- 対象の純資産
- 6億800万円
決算期:2022年7月期(中核子会社シオン単体)/譲渡前の株主:伊藤慎一60%ほか個人2名/秘密保持契約により非開示。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定。「取得価額は開示基準には該当しておりません」/中核子会社シオン単体(2022年7月期)の数値。持株会社シオングループ単体の売上は27百万円、人材サービスのシオンステージ(2022年3月期)は780百万円
買収理由:テレビ・映像分野の人材ネットワークの強化と、番組企画・開発力でのシナジー
中核のシオンは売上15億6,100万円・純資産6億800万円。ただし営業利益は1億600万円→9,800万円→370万円と、直前期に大きく落ち込んだところでの譲渡です。人材サービスのシオンステージも営業損益は小幅な赤字(△148万円)でした。それでも、多くの人気番組を手がけた知名度とテレビ局とのつながりが評価されています。買い手はもともとシオンに映像クリエイターを派遣していた取引先でした。取引のある会社が、そのまま買い手候補になる例です。
2023年1月31日に株式譲受を実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社Grune(75%)
Web制作、システム・アプリ開発、3D・VR・AR開発、ITコンサルティング/福島県南相馬市/2016年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 1億500万円
- 対象の営業利益
- 2,100万円
- 対象の純資産
- 5,200万円
決算期:2019年10月期/譲渡前の株主:山下 敏義99%、伴 明彦1%(個人2名)/相手先の意向により非開示。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定
買収理由:VR・Web関連の技術力を建築・Web事業に活かし、買い手側の顧客基盤で事業を広げる
売上1億500万円・営業利益2,100万円・純資産5,200万円で、この会社の案件でいちばん小さい対象です。設立3年で売上が3,100万円→5,600万円→1億500万円と伸び、利益も出ていました。福島県の会社でも、技術力があれば東京の上場企業が買いに来ます。ただし取得後の営業利益は44万円、次の期は△5万円と伸びず、約2年後に創業者側へ全株が売り戻されました。
2022年10月、買い手が持つ75%の全株を、創業者で代表取締役の山下敏義氏と取締役の伴明彦氏に譲渡しました。理由は建築・Web事業でのシナジーが「十分な効果を発揮するに至らず」。譲渡価額は非開示です。売った会社が、創業者の手に戻った例です。
株式会社ウイング
NHKと関連会社の番組制作・編集部門へのスタッフ派遣、気象キャスターの派遣、番組制作/東京都渋谷区/2005年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 7億700万円
- 対象の営業利益
- 300万円
- 対象の純資産
- 9,200万円
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:個人1名(及川 哲也)が100%保有/相手先の意向により非開示。第三者による株式価値の算定結果を勘案して決定
買収理由:NHK向けの派遣ネットワークと、映像分野にとどまらない買い手側のネットワークの融合
売上7億700万円・営業利益290万円・純資産9,200万円。売上は5億9,800万円→6億4,400万円→7億700万円と伸びていた一方、営業利益は520万円→1,800万円→290万円と薄いままでした。利益が小さくても、特定の放送局に人を送り込んでいる取引の土台そのものが買われています。NHK出身の創業者が1人で全株を持っていた会社です。
2020年7月3日に株式譲受を実行予定として開示されました。その後の商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社スタジオリボルバー(90%)
ゲームコンテンツの開発・運営/東京都渋谷区/2018年7月(新設分割で設立)設立
- 取得価額
- 1億5,000万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:新設会社のため業績なし/譲渡前の株主:シリコンスタジオ株式会社(事業会社)が100%保有。買い手は同社株式の2.10%を保有/取得日の新設会社の貸借対照表と、その後に見込まれる費用を基準に調整する予定で、取得後に変動すると開示
買収理由:ゲームコンテンツ開発の技術力を取り込み、ゲーム領域の事業を加速する
会社ごとではなく、事業の一部だけを新しい会社に移して売った案件です。取得価額は90%分で1億5,000万円。ただし、引き継ぐ資産と今後の費用に応じて後から調整する条件がついていました。事業の切り出しでは、価格を固定せず「中身が確定してから精算する」形もあることが分かります。
取得完了日の2018年7月4日に「株式会社クレイテックワークス」へ商号を変更し、代表者も買い手側の人物に交代しました。2019年にはこの会社が他社の3DCGアバター・VR事業を譲り受ける側になっています。その後の合併の開示は確認できていません。
株式会社プロフェッショナルメディア(80%)
広告業界特化の求人サイト「広告転職.com」「クリエイティブ派遣.com」、人材紹介・派遣/東京都千代田区/2015年4月(新設分割で設立)設立
- 取得価額
- 1億円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:新設会社のため業績なし/譲渡前の株主:株式会社トータルブレーン(分割会社)が100%保有/株式取得50百万円(5,000株、1株1万円)と第三者割当増資の引受50百万円(5,000株、1株1万円)の合計。増資分は会社に払い込まれる資金
買収理由:広告分野の人材事業の強化。会員4万人超・利用企業約2千社の求人サイトを取り込む
売り手は求人サイトの事業だけを新会社に移し、その株を売りました。代金のうち5,000万円が売り手へ、残り5,000万円は増資として新会社の運転資金に入る形で、売り手側にも株が20%残りました。サイトの会員数と利用企業数という数字が、業績の代わりに評価の材料として示されています。
のちに完全子会社となり、2025年9月8日付で買い手本体に吸収合併されて解散しました(合併直前の2025年2月期単体は売上1億2,900万円・営業利益300万円・純資産2,900万円)。取得から約10年半で法人が消えています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社T&Wオフィス(高橋書店グループ5社)95億円(売上の1.24倍・営業利益の14.0倍)
- 株式会社スタジオリボルバー(90%)1億5,000万円
- 株式会社プロフェッショナルメディア(80%)1億円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社クリーク・アンド・リバー社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日