日本エコシステム株式会社のM&A実績
愛知県一宮市から、東海・北陸の設備工事会社と建設コンサルタントを毎年のように買っている会社です。売り手は創業家の個人株主がほとんどで、株が親族や役員など5〜7名に分かれている会社も100%まとめて買っています。2024年のベニクスでは「M&A仲介会社を介さずに自社内で実行した」と書き、開示文に事業承継の相談窓口まで載せています。
日本エコシステム株式会社が公表した適時開示8件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月13日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 愛知県一宮市
- 設立
- 1998年11月
- 事業内容
- 空調衛生設備などのファシリティ事業、環境事業、高速道路の点検・保守などの交通インフラ事業を手がける社会インフラサービス企業
- 売上高
- 112億6,100万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 4億3,700万円
- 純資産
- 56億7,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 空調衛生・給排水設備工事/建設コンサルタント・測量/電気通信工事/鉄道・道路施設の保守点検/防炎合板の製造
- 対象の規模
- 対象の売上 5.97億円〜16.38億円(業績非開示の案件を除く)
- 手法
- 株式譲渡(100%取得)が中心。売り手の会社から事業だけを新設分割で切り出し、新会社の株式を買う形も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。ただし村川設備工業は、親会社の空調衛生部門を吸収分割で受け入れたうえで、2025年10月に「JESファシリティーズ」へ社名を変えています。グループの中核会社に育てるときは、社名も変えることがある会社です。
- 取得価額が出たのは2件です。ベニクスの10億8,000万円と、葵電気工業の2億8,300万円。どちらも対象会社の純資産額を下回る金額でした
- 非開示の案件でも、多くは「連結純資産額及び純資産の額の15%未満」と書かれ、上限が読めます。理由は「相手先の意向により」と書かれることが多く、金額を伏せたいという売り手の希望は通っています
- 対象の業績も「相手先の意向により」非開示にした案件が多くあります(村川設備工業、テッククリエイト、エコベン)
- 取引先や協業相手を買う形もあります。東海通建とは事前に請負契約・業務委託契約で協業しており、その実績を踏まえてグループ化しています
買収の履歴8件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
大鐘測量設計株式会社
測量・設計の建設コンサルタント(静岡県中心、横浜にも拠点)/静岡県島田市/1974年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億500万円
- 対象の営業利益
- 9,600万円
- 対象の純資産
- 7億1,700万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:大鐘祥太郎50.0%、ほか個人株主6名および自己株式50.0%/相手先の意向により非開示
買収理由:交通インフラ事業のエンジニアリングサービス拡大。岐阜県の建設コンサル子会社(日新ブリッジ、三進)との連携
売上6億500万円・営業利益9,600万円・純資産7億1,700万円。業歴50年を超える測量会社です。売上は6億9,400万円→5億9,500万円→6億500万円と横ばいで、2024年6月期は最終赤字500万円でしたが、翌期には営業利益を9,600万円まで戻しています。純資産が売上を上回るほど内部留保を積んだ会社で、ドローン測量や3次元データの技術も評価されています。代表者と大株主が別の人で、株主は個人7名と自己株式に分かれていました。
株式会社三進
建設コンサルタント・補助コンサルタント(河川・道路設計、維持管理、UAV測量、橋梁点検)/岐阜県大垣市/1972年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8億1,900万円
- 対象の営業利益
- 1億1,800万円
- 対象の純資産
- 9億8,700万円
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:佐竹建二(代表取締役)67.7%、ほか個人株主6名32.3%/相手先の意向により非開示
買収理由:交通インフラ事業のエンジニアリングサービス拡大。総合建設コンサルタント業務への参入
売上8億1,900万円・営業利益1億1,800万円・純資産9億8,700万円。営業利益は2億1,400万円→1億9,800万円→1億1,800万円と下がっている局面での譲渡でしたが、純資産は7億1,300万円→9億8,700万円と積み上がっていました。技術士・測量士などの有資格者を多く抱えている点が評価の中心で、人材そのものが売り物になる業種の例です。
2026年4月の大鐘測量設計の取得の開示で、岐阜県で建設コンサルタント業を行うグループ会社として名前が挙がっています。
株式会社東海通建の電気通信工事業(Jes東海通建株式会社)
エンジニアリング会社向けの電気通信工事業/愛知県豊橋市/分割会社は1983年6月設立(創業1972年4月)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:新設会社のため確定した業績なし/譲渡前の株主:株式会社東海通建(呉栄新67.5%、ほか個人株主3名32.5%)/相手先の意向により非開示。「連結純資産額及び純資産の額の15%未満」。直前期末(2024年9月期)の連結純資産54億7,300万円の15%=約8.2億円を下回ると読める
買収理由:交通インフラ事業の電気通信部門の拡大と、資格を持つ技術者の確保
分割元の東海通建は、電気通信工事のほかに美容業も営んでいました。買い手が欲しい電気通信工事業だけを新会社に移して売り、美容業は手元に残す形です。両社は以前から請負契約・業務委託契約で協業しており、取引先として付き合ってきた相手が、そのまま買い手になった例でもあります。
ベニクス株式会社
防炎用合板・各種合板の加工製造(愛知・三重に自社工場)/愛知県名古屋市/1972年3月設立
- 取得価額
- 10億8,000万円
- 対象の売上
- 16億3,800万円
- 対象の営業利益
- 2億1,900万円
- 対象の純資産
- 13億1,300万円
決算期:2023年11月期/譲渡前の株主:水越隆之(代表取締役)33%、ほか個人株主4名67%/付帯費用1百万円は別
買収理由:防炎合板と環境事業の新素材を組み合わせた製品開発。ファシリティ事業の川上の取り込み
取得価額10億8,000万円。売上16億3,800万円・営業利益2億1,900万円・純資産13億1,300万円で、営業利益の約4.9倍、純資産の約0.8倍の値段でした。売上は14億1,400万円→15億3,100万円→16億3,800万円、営業利益も1億4,600万円→2億1,900万円と伸びている最中の譲渡です。業績が伸びていても、純資産を上回る値段がつくとは限らないことが分かる数字です。社長の持分は33%で、残りの67%を個人4名が持っていました。開示前の2024年9月から買い手の従業員が非常勤取締役に入っており、仲介会社を通さず直接まとめた案件です。
2025年9月期の決算短信で、新たに連結子会社になった会社としてベニクス株式会社が挙がっています。商号変更や合併の開示は確認できていません。
株式会社エコベン
全熱交換器の製造・販売、保守点検、更新・設備工事(首都圏の空港・公共施設・オフィスビル)/東京都武蔵野市/1996年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:ハウスリンクマネジメント株式会社が100%保有/相手先の意向により非開示。独立した第三者の評価に基づく価格。「連結純資産額及び純資産の額の15%未満」
買収理由:全熱交換器メンテナンスの商圏を中部へ広げ、関東で空調工事事業を展開する足がかりにする
全熱交換器のメンテナンスに特化した会社で、「希少性と参入障壁の高さから高いシェアと収益力を持つ」と評価されています。売り手は個人ではなく法人株主でした。買収後は経理・財務・労務を親会社側に集約する方針が書かれており、小さな専門会社の管理部門の負担を買い手が引き取る形です。業績は相手先の意向で非開示です。
株式会社テッククリエイト
北陸三県の鉄道線路・施設の保守点検、給排水衛生・空調設備の設計施工/石川県金沢市/2001年11月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:山森洋一(代表取締役)83.3%ほか/相手先の意向により非開示。独立した第三者の評価に基づく価格。「連結純資産額及び純資産の額の15%未満」
買収理由:鉄道業界の維持修繕業務への参入と、北陸エリアでの電気・空調衛生設備分野の拡大
資本金1,200万円の地方の設備会社です。評価されたのは、JR西日本グループとの長年の取引実績でした。買い手は高速道路の仕事が中心で、鉄道の仕事に入る足がかりとしてこの会社を買っています。大手との取引口座そのものが、買い手にとっての価値になる例です。業績は相手先の意向で非開示です。
村川設備工業株式会社
空調衛生設備・給排水衛生設備の請負工事(官公庁・建設会社からの元請受注)/愛知県一宮市/1963年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人株主1名54.7%、ほか個人株主4名45.3%/相手先の意向により非開示。独立した第三者の評価に基づく価格。「連結純資産額及び純資産の額の15%未満」
買収理由:電気・空調衛生設備分野の技術者増員と事業拡大
買い手と同じ一宮市の、創業60年の設備工事会社です。取得時の業績は非開示ですが、2025年の会社分割の開示に2024年9月期の数字が出ており、売上4億2,800万円・営業利益600万円・純資産6億400万円でした。買収後、親会社の空調衛生部門(売上8億5,600万円)をこの会社に移し、社名を「JESファシリティーズ」に変えています。買われた会社が、グループの同じ事業をまとめる受け皿になった例です。
2025年10月1日付で村川設備工業株式会社からJESファシリティーズ株式会社に商号変更する予定と開示されました。同日に親会社の空調衛生サービス部の事業を吸収分割で承継しています(いずれも予定として開示)。
葵電気工業株式会社
マンション・大型商業施設の空調衛生設備、電気設備、給排水衛生設備の設計施工管理/愛知県名古屋市/1946年5月設立
- 取得価額
- 2億8,300万円
- 対象の売上
- 5億9,700万円
- 対象の営業利益
- 2,700万円
- 対象の純資産
- 3億1,500万円
決算期:2022年2月期/譲渡前の株主:間瀬英貴(代表取締役)83%、間瀬美智子17%/アドバイザリー費用等(概算)31百万円を加えた合計は315百万円
買収理由:ファシリティ事業でのサービス提供範囲の拡大と新規取引先の開拓
取得価額2億8,300万円。売上5億9,700万円・営業利益2,700万円・純資産3億1,500万円で、純資産の約0.9倍の値段でした。売上は4億5,300万円→3億2,000万円→5億9,700万円、営業利益は2,400万円→300万円→2,700万円と、コロナ期に大きく落ちた年を挟んでいます。営業利益に対しては約10.5倍ですが、値段は純資産に近い水準に収まっています。アドバイザリー費用が3,100万円と、取得価額の1割を超えている点も目安になります。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- ベニクス株式会社10億8,000万円(売上の0.66倍・営業利益の4.9倍)
- 葵電気工業株式会社2億8,300万円(売上の0.47倍・営業利益の10.5倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは日本エコシステム株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月13日