トーヨーカネツ株式会社のM&A実績
主力2事業の周辺を、中小企業の買収で広げている会社です。環境調査・計測の会社と、物流向けソフトウェアの会社という2つの系統で続けて買っています。売り手は創業者などの個人オーナーが中心で、大手メーカーの子会社を引き取った例もあります。物流ソフトでは、先に買ったスクラムソフトウェアを受け皿にして、小さなソフト会社の事業を次々と迎え入れる形になっています。
トーヨーカネツ株式会社が公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都江東区
- 設立
- 1941年5月
- 事業内容
- 物流センター向けのマテリアルハンドリングシステム(搬送・仕分け設備)と、LNGなどの貯槽タンクを手がけるプラント事業が主力。環境調査・計測などの周辺事業も持つ
- 売上高
- 596億1,700万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 35億8,100万円
- 純資産
- 403億100万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 環境調査・分析(アスベスト、シックハウス、騒音・振動)/環境計測機器の保守・環境アセスメント/物流・倉庫向けシステム開発(WMS等)/システム開発・常駐型開発
- 対象の規模
- 対象の売上 4.2億円〜26.6億円(事業承継のバーネットは非開示)
- 手法
- 株式譲渡(完全子会社化)が中心。子会社を承継会社にした吸収分割で、小さな会社の事業だけを引き取る形も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残すのが基本です。2018年に買った環境リサーチ、2021年に買った環境計測も、2026年時点でグループ会社一覧に社名のまま載っています。小さなソフト会社の事業は、既存の子会社スクラムソフトウェアに吸収分割で取り込んでいます。
- 取得価額は全件で非開示です。理由は「個人に対する秘密保持義務」「相手先との守秘義務」と書かれ、代わりに「第三者機関の株式価値算定を基に協議」「適切なデューディリジェンスを実施の上」と決め方だけが説明されます
- 開示義務のない小さな案件でも任意で開示しています。環境計測とバーネットの開示には「適時開示基準には該当しませんが、有用な情報と判断し任意開示を行う」とあります
- このほか坂田電機(2025年)、マックスプル工業(2024年、子会社経由)、スクラムソフトウェア(2023年)も取得し、いずれもグループ会社一覧に載っていますが、開示本文を確認できていないため下の一覧には入れていません
- 2027年4月1日に持株会社体制へ移行する予定と開示されています(物流・プラントの各事業を子会社へ分割)
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社ワールドリンク
システムコンサルティング、システム開発・保守管理(常駐型開発が主軸)/埼玉県さいたま市/2008年6月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 4億1,900万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年5月期/譲渡前の株主:村田新一50%、村田道子50%(個人2名)/相手先との守秘義務により非開示。「適切なデューディリジェンスを実施の上、公正妥当と考えられる金額」と説明
買収理由:倉庫管理システム(WMS)の開発体制強化。生協業界向けの開発実績、オフショア開発や協力会社網による人材確保の知見を取り込む
資本金1,000万円、売上4億1,900万円。買い手とは資本・人的・取引のいずれの関係もなかった会社です。開示では、生協業界での実績、既存の主要顧客との安定した取引、協力会社を使った人材確保のノウハウが評価点として挙げられています。エンジニアの頭数だけでなく、得意先と人を集める仕組みが値段の材料になることが読み取れます。株主は個人2名で、50%ずつ持っていました。
株式会社バーネットのシステム開発事業
物流領域などの業務改善システムの企画・開発・保守(クラウド、スマートデバイス活用)/東京都新宿区/2013年10月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名(高橋 達)が100%保有/対価の記載なし。適時開示基準に該当しない案件の任意開示
買収理由:物流向けシステムの開発体制を増強し、開発リードタイムの短縮とソリューションパッケージの拡充を図る
資本金100万円の会社です。会社ごとではなく、事業だけを既存の子会社に移す形で引き取られています。開示には、バーネットが「当社との取引も豊富に有して」いたと書かれており、もともと取引していた発注元が、そのまま引き受け手になった例です。開示義務のない規模でしたが、任意で開示されています。
2026年1月7日効力発生予定の吸収分割で、事業は子会社スクラムソフトウェアに取り込まれる形です。スクラムソフトウェアはグループ企業一覧に載っていますが、バーネットの名前はありません(分割会社のバーネット自体は売り手側に残ります)。
環境計測株式会社
環境計測機器の保守管理・点検・修理、環境調査、環境アセスメント、テレメータシステム販売/京都府京都市/1971年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 26億5,700万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2020年3月期/譲渡前の株主:富士通株式会社(上場企業)が100%保有/記載なし。適時開示基準に該当しない任意開示で、一部の事項を省略と明記
買収理由:環境領域での事業展開の強化・拡大。主力2事業に次ぐ新規事業の創出
創立50年、従業員173名、売上26億5,700万円(総資産19億9,700万円)。売り手は富士通で、大手メーカーが持っていた子会社を、事業会社が丸ごと引き取った案件です。買い手は3年前に環境リサーチを買っており、同じ環境分野で2社目の取得になります。一度ある分野で買った会社は、その分野の次の売り手にとっても有力な候補になります。
環境リサーチ株式会社
アスベスト、シックハウス、騒音・振動、臭気などの調査・分析/東京都八王子市/1989年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8億5,000万円
- 対象の営業利益
- 9,200万円
- 対象の純資産
- 7億7,900万円
決算期:2017年12月期/譲渡前の株主:個人(詳細は秘密保持のため非開示)/相手先が個人で秘密保持義務を負うため非開示。独立した第三者機関の株式価値算定報告書等を基に、当該個人と協議して決定
買収理由:アスベスト調査など高度な調査・分析技術を、新規事業の研究開発に生かす
売上8億5,000万円・営業利益9,200万円・純資産7億7,900万円。売上は3期で10億3,700万円→9億3,500万円→8億5,000万円と減っていましたが、営業利益は直近期に9,200万円へ戻し、純資産は6億7,300万円→7億7,900万円と毎年積み上がっていました。売上が下がっている局面でも、利益を出して資産を積んでいる会社は買われています。開示では、老朽建物の改修・解体でアスベスト調査の需要が続くという事業環境も評価されています。
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本ページはトーヨーカネツ株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日