株式会社ラバブルマーケティンググループのM&A実績
SNSマーケティング支援の周辺領域を、売上1億〜6億円規模の小さな会社や事業ごと買い足している会社です。中期経営計画で「M&Aによる非連続的成長」を柱に掲げ、2024年8月から1年半で5件を実行しました。売り手はWeb制作会社の2代目社長、創業3年目の共同創業者3名といった個人から、事業の一部を切り出した事業会社や上場企業まで幅があります。
株式会社ラバブルマーケティンググループが公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都港区
- 設立
- 2014年7月
- 事業内容
- SNSアカウントの運用支援を中核に、運用支援ツール、Web制作・広告運用、インフルエンサーマーケティング、訪日客向けプロモーションなどを手がけるマーケティング会社の持株会社
- 売上高
- 26億3,000万円(2025年10月期(連結))
- 営業利益
- 1億6,000万円
- 純資産
- 4億6,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- SNSマーケティング支援・インフルエンサーマーケティング/LINE公式アカウントの運用支援/Webサイト制作・Web広告運用/訪日客向けインバウンドメディア
- 対象の規模
- 対象の売上 0.26億円〜6.4億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。事業の一部だけを子会社に事業譲渡させる形や、分割で切り出された新設会社の株式取得も使う。業績連動の追加支払い(アーンアウト)を2件で採用
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。2026年2月の開示資料のグループ会社一覧には、ユニオンネット、インバウンド・バズ、エルマーケ、ライスカレーLSがそのままの社名で並んでいます。事業だけを買う場合は、既存の子会社(コムニコ)に取り込むか、受け皿の新会社を作って移しています。
- 5件すべてで取得価額が開示されています。中小規模の案件でも金額を出す会社です
- アーンアウト(将来の業績に応じた追加支払い)をよく使います。エルマーケは固定1億8,000万円+最大1億5,600万円、ライフインザキッチン事業は固定5,000万円+最大5,000万円でした
- 仲介手数料の額まで開示した案件があります。ライスカレーLSでは株式代金7億円に対し、仲介手数料4,500万円(概算)と書かれています
- 2026年3月期は決算期変更のため5か月決算(売上13億200万円・営業利益5,700万円)で、上の業績は直前の12か月決算です。同期末の純資産は9億8,600万円に増えています
買収の履歴5件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社ライスカレーLS
SNSマーケティング支援(アパレル、化粧品、商業施設などライフスタイル分野に特化)、インフルエンサーマーケティング/東京都渋谷区/2026年2月(分割による新設会社)設立
- 取得価額
- 7億円
- 対象の売上
- 6億4,300万円
- 対象の営業利益
- 2億7,500万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年3月期(分割会社の対象事業・参考値)/譲渡前の株主:株式会社MUSCAT GROUP(上場企業)が100%保有/デューデリジェンス費用等3百万円、仲介手数料45百万円(いずれも概算)を加えた合計は748百万円。クロージングまでの運転資本等の増減で後日価格調整を行う予定。配賦前営業利益275百万円に対して約2.5倍。資金は自己資金と金融機関からの借入れ/分割会社ライスカレープラスの2025年3月期における対象事業の売上高(参考値)。新設会社のため確定した決算はない
買収理由:主力のSNSマーケティング支援のソリューション強化とシェア拡大。インフルエンサーマーケティング領域の取り込み
売上6億4,300万円の事業に7億円。営業利益は「配賦前」、つまり親会社が請求していた管理費を差し引く前の数字で2億7,500万円と開示されています。グループの中の一事業を売るときは、本社経費を抜いた利益で語られることがある、という実例です。決算短信ではのれん5億700万円(暫定)が計上されており、引き継いだ純資産は2億円弱と計算できます。開示文は「市場の成熟に伴い事業の選択と集中による業界再編が加速する」と書いており、同業の事業を引き取る姿勢をはっきり示しています。
2026年3月19日に取得を完了。2026年3月期の決算短信で連結子会社の新規追加として社名が挙がっており、結合後の名称も「変更はありません」とされています。
株式会社エルマーケ
LINE公式アカウントのAPIツール導入支援・運用代行・コンサルティング、友だち数増加支援、補助金申請代行/東京都渋谷区/2022年11月設立
- 取得価額
- 1億8,000万円
- 対象の売上
- 1億6,326万円
- 対象の営業利益
- 3,770万円
- 対象の純資産
- 2,541万円
決算期:2025年9月期/譲渡前の株主:共同代表の関口大地34%、本田修平33%、羽田傑33%(個人3名)/デューデリジェンス費用等2百万円(概算)を加えた合計は182百万円。このほか将来の業績に応じて最大156百万円を追加で支払う条件付取得対価(アーンアウト)あり。満額なら336百万円。固定部分だけで営業利益の約4.8倍、満額で約8.9倍
買収理由:LINEマーケティング領域のソリューション強化と、相互送客によるクロスセル
設立から3年、売上1億6,300万円の会社に固定1億8,000万円。売上は1,900万円(11か月)→1億100万円→1億6,300万円と急成長中で、純資産は2,500万円しかありません。純資産の7倍を固定で払い、さらに最大1億5,600万円を後払いにしています。伸びている若い会社は、今の利益ではなく今後の成長に値段がつき、その分をアーンアウトで分け合う形になりやすい例です。なお経常利益は1,500万円と、営業利益3,800万円を大きく下回っています。
2026年1月13日に取得を完了。2026年3月期の決算短信で連結子会社の新規追加として社名が挙がっており、結合後の名称も「変更はありません」とされています。
TALONTRAVEL CO., LTD.のインバウンドメディア事業「Talon Japan」
訪日タイ人観光客向けメディア(Facebookグループ・Webサイト)の運営、インバウンドプロモーション支援/タイ・プーケット
- 取得価額
- 7,206万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示(相手先の意向。「金額は僅少」)/譲渡前の株主:TALONTRAVEL CO., LTD.(タイ法人、2024年10月設立)/15,664,800タイバーツ(1バーツ=4.60円で72,058千円)。約72百万円ののれんが計上される見込みと開示されており、ほぼ全額がのれん
買収理由:東南アジア展開とインバウンド市場への参入。フォロワー100万人のコミュニティの取り込み
海外の事業者からの事業譲受で、国内の売り手には参考になりにくい案件です。業績も資産も「僅少」なのに約7,200万円で、ほぼ全額がのれんとされています。値段の根拠は売上ではなく、Facebookグループ100万フォロワーという集客基盤でした。
2025年3月31日に事業譲受を完了。受け皿のインバウンド・バズは2026年2月の開示資料のグループ会社一覧に載っており、2026年3月期の決算短信でも「Talon Japan」を軸にした事業展開が報告されています。
株式会社アーティザンの「ライフインザキッチン」事業
全国2,000の料理教室・食インフルエンサーと組んだ、食関連に特化したマーケティング支援/東京都港区
- 取得価額
- 5,000万円
- 対象の売上
- 2,600万円
- 対象の営業利益
- 890万円
- 対象の純資産
- ―
決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:株式会社アーティザン(事業会社。大株主は未開示)/固定50百万円。このほか将来の業績に応じて最大50百万円を追加で支払う条件付取得対価(アーンアウト)あり。固定部分だけで営業利益の約5.6倍、満額で約11倍
買収理由:コムニコのインフルエンサーマーケティング領域のサービス強化
売上2,600万円・営業利益890万円の小さな事業でも、上場企業が開示を出して買っています。本業がヘルスケア・DX推進の会社が、本業から外れた一事業だけを専業側に渡した形です。固定分は営業利益の5.6倍、アーンアウト満額なら11倍。規模が小さいほど、値段の半分を「この先の実績次第」にされやすいことも読み取れます。
2024年12月20日に子会社コムニコへの事業譲受を完了。事業の一部としてコムニコに取り込まれており、その後この事業単独での状況を示す開示は確認できていません。
株式会社ユニオンネット
Webサイトの企画・制作、Web広告運用、Webコンサルティング(取引先の42%が学校・教育関連)/大阪府大阪市/2004年9月設立
- 取得価額
- 1億2,500万円
- 対象の売上
- 6億2,800万円
- 対象の営業利益
- 9,700万円
- 対象の純資産
- 1億3,100万円
決算期:2024年5月期/譲渡前の株主:代表取締役の丸山享伸氏が100%保有(個人1名)/デューディリジェンス費用等2百万円(概算)を加えた合計は127百万円。営業利益97百万円の約1.3倍、純資産131百万円とほぼ同額
買収理由:教育業界・採用ブランディングの顧客基盤とSNSマーケティングの連携、相互顧客へのクロスセル
売上6億2,800万円・営業利益9,700万円・純資産1億3,100万円で、取得価額は1億2,500万円。純資産とほぼ同じ金額です。ただし営業利益は3,100万円→3,600万円→9,700万円と直前期に急増しており、3期平均で見れば5,500万円ほどです。補足資料によると従業員41名、売り手の社長は2017年に事業承継者として社長に就いた2代目でした。承継した会社を、さらに上場企業へ引き継いだ例です。
2024年11月1日に取得を完了。2026年2月の開示資料のグループ会社一覧に、株式会社ユニオンネットの社名のまま載っています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された5件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ライスカレーLS7億円(売上の1.09倍・営業利益の2.5倍)
- 株式会社エルマーケ1億8,000万円(売上の1.10倍・営業利益の4.8倍)
- TALONTRAVEL CO., LTD.のインバウンドメディア事業「Talon Japan」7,206万円
- 株式会社アーティザンの「ライフインザキッチン」事業5,000万円(売上の1.92倍・営業利益の5.6倍)
- 株式会社ユニオンネット1億2,500万円(売上の0.20倍・営業利益の1.3倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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