矢作建設工業株式会社のM&A実績
建設会社を買う建設会社です。件数は多くありませんが、2件とも売上20億〜60億円規模の地方の建設会社で、対象の業績をきちんと開示しています。狙いははっきりしていて、北和建設では「京都・関西の営業基盤」、海昌では「自社にない法面工法(SD工法)」と、エリアか技術のどちらかを足す買い方です。売り手は個人オーナーではなく、大手不動産グループの子会社と投資ファンドでした。
矢作建設工業株式会社が公表した適時開示2件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 愛知県名古屋市
- 設立
- ―
- 事業内容
- 名古屋を地盤とする総合建設会社。マンション・耐震補強などの建築工事、官庁工事や鉄道工事などの土木工事、不動産事業を手がける。名古屋鉄道が議決権の19.08%を持つ筆頭株主
- 売上高
- 1,693億9,900万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 137億4,200万円
- 純資産
- 760億1,000万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 総合建設業(建築)/法面工事・特殊土木工法
- 対象の規模
- 対象の売上 20.5億円〜62.3億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。ファンドが持株会社を通じて保有していた会社は、その持株会社ごと取得
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。海昌は2026年の決算短信でも「結合後企業の名称:変更ありません」とされています。一方で同じ2026年1月には、子会社の分譲マンション事業を名鉄グループへ譲渡しており、建設の技術・エリアを買い、本業から外れる事業は手放すという方向が見えます。
- 取得価額が開示されたのは海昌の1件で、25億円です。アドバイザリー費用は概算9,000万円と開示され、決算短信では1億100万円で確定しています
- 北和建設は「適時開示基準に該当しない」規模でしたが、任意で開示を出しています。金額は非開示で、「連結純資産・単体純資産の15%未満」とだけ書かれています
- どちらも創業オーナーからではなく、上場企業グループの子会社とPEファンドから買っています。オーナー経営の会社が一度ファンドや大手の傘下に入った後でも、同業の上場企業が次の買い手になる流れが出ています
買収の履歴2件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社海昌(持株会社アクエリアスインベスコごと取得)
法面工事のSD工法・NSS工法の設計・施工、各種削孔機の設計・製作/高知県高知市/2004年5月設立
- 取得価額
- 25億円
- 対象の売上
- 20億4,800万円
- 対象の営業利益
- 1億3,100万円
- 対象の純資産
- 6億1,900万円
決算期:2025年4月期/譲渡前の株主:KKTH3投資事業有限責任組合(トライハード・インベストメンツが運営するPEファンド)が持株会社を通じて100%保有/アクエリアスインベスコ(持株会社)株式の取得価額。アドバイザリー費用等は概算90百万円で合計2,590百万円と開示、2026年3月期決算短信ではアドバイザリー費用等101百万円で確定。なお持株会社は2025年4月期に総資産3,181百万円・純資産754百万円で、約24億円の負債を抱えた状態での取得
買収理由:土木事業の技術商品の拡充。自社のパンウォール工法と競合せず技術的に近いSD工法を加え、法面工事での競争力と商圏を広げる
売上20億4,800万円・営業利益1億3,100万円・純資産6億1,900万円。売上は11億3,900万円→19億2,200万円→20億4,800万円と伸びていますが、営業利益は1億5,100万円→3億700万円→1億3,100万円と振れ、直近期は最終赤字(9,200万円)でした。それでも持株会社株式だけで25億円がついています。全国で施工実績のある独自工法という「他社が持っていない技術」が値段の根拠になった例です。売り手は創業者ではなくPEファンドで、ファンドが出口として上場建設会社に渡した形です。
2026年4月1日に取得を実行。2026年3月期決算短信の企業結合注記で「結合後企業の名称:変更ありません」とされ、アクエリアスインベスコ・海昌とも社名のまま子会社になっています。
北和建設株式会社
総合建設業(マンション工事を中心に、ホテル・福祉施設等の建築工事)、一級建築士事務所、宅地建物取引業/京都府京都市/1979年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 62億3,300万円
- 対象の営業利益
- 5,300万円
- 対象の純資産
- 22億6,000万円
決算期:2022年3月期/譲渡前の株主:株式会社学生情報センター(東急不動産ホールディングスの100%子会社)が100%保有/相手方との協議により非開示。第三者機関の株価算定で妥当性を検証。「直前連結会計年度末の連結純資産額および直前事業年度末の純資産額の15%未満」で開示基準に非該当(手元の開示では当時の連結純資産額が確認できず、上限額は計算していません)
買収理由:京都を中心とした関西圏の営業基盤を取り込み、東海圏の外へ商圏を広げる
売上62億3,300万円・営業利益5,300万円・純資産22億6,000万円。営業利益は1億8,900万円→3億3,300万円→5,300万円と、直前期に大きく落ちた局面での譲渡です。売上も80億3,800万円から62億3,300万円へ減っていました。それでも純資産が22億円以上あり、京都でマンション工事を続けてきた地域の営業基盤そのものが買われています。大手不動産グループの中で建設会社が浮いていた形で、本業の違う親会社から同業の会社へ移った案件です。
2023年3月31日に取引実行予定として開示されました。手元の後続開示に商号変更や合併の記載はありません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社海昌(持株会社アクエリアスインベスコごと取得)25億円(売上の1.22倍・営業利益の19.1倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは矢作建設工業株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日