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マブチモーター株式会社のM&A実績

2030年までの「経営計画2030」で、モーター単体からポンプ・ギア・制御まで含めた「ユニット」で売る方針を掲げ、その足りない部品や技術をM&Aで埋めている会社です。国内で買った4社はいずれも創業50年前後の老舗メーカーで、売り手は創業家の個人株主か、事業承継を手がけた投資ファンドでした。対象の規模は売上30億円〜140億円と、中堅どころが中心です。

マブチモーター株式会社が公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
千葉県松戸市
設立
1954年1月
事業内容
小型直流モーターの専業メーカー。自動車電装、家電・工具、医療機器向けにモーターを供給し、近年はポンプ・ギア・制御機器・食品機械まで「動き」を提供する領域に広げている
売上高
2,004億1,700万円(2025年12月期(連結))
営業利益
254億6,700万円
純資産
3,342億3,600万円

どんな会社を買っているか

買う業種
小型ポンプ(医療機器・自動車・家電向け)/精密樹脂ギア・金型/ステッピングモーター・モーションコントロール機器/食品機械(菓子製造ライン)・菓子のOEM製造
対象の規模
対象の売上 31.8億円〜142.2億円(グループ単純合算を含む)
手法
現金による株式譲渡で100%取得が基本。取得の前に、売り手側で株主の集約や持株会社の整理を済ませてから引き取る形が続いている
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は法人として残しますが、社名は「マブチ」を冠したものに変えるのが基本です(応研精工→マブチモーターオーケン、オービー工業→マブチオービーギアシステム、日本パルスモーター→マブチモーターNPM)。代表者も取得完了時に交代しています。異業種の食品機械メーカーであるマスダックだけは、取得完了後も社名と会長・社長がそのままです。
  • 国内案件では、最近の2件で取得価額が開示されています。日本パルスモーターは66億円、マスダックは155億円。それより前の応研精工とオービー工業は「相手先との取り決め」で非開示でした
  • 取得の前に、売り手側で株主を整理させています。応研精工では株主だった関係会社を組み替えて個人3名に、オービー工業では社長が少数株主22%を買い集めて2名に、日本パルスモーターでは持株会社を事業会社に吸収合併させてから譲渡しました。株主が散らばっている会社でも、先に整えれば売れるという実例です
  • 応研精工はもともとマブチからモーターを仕入れていた取引先でした。取引先がそのまま買い手になるケースです
  • 海外では2021年にスイスの医療機器用モーターメーカー(Electromag SA)を買っていますが、この一覧には国内案件だけを載せています。マスダックの説明資料の沿革には、2025年の「沖マイクロ技研」「マブチエンジニアリング」の名前もありますが、個別の適時開示が見当たらないため載せていません

買収の履歴4件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年4月23日株式譲渡(投資ファンド等から100%取得、子会社化)

株式会社マスダック

食品機械(全自動どら焼き機、シュークリーム専用ライン等)の開発・製造・販売・メンテナンス、菓子のOEM製造/埼玉県所沢市/1957年3月設立

取得価額
155億円
対象の売上
142億2,000万円
対象の営業利益
8億8,100万円
対象の純資産
62億5,400万円

決算期:2025年3月期(連結)/譲渡前の株主:BCM-V投資事業有限責任組合(ベーシック・キャピタル・マネジメントが運営)84.1%、その他株主15.9%/アドバイザリー費用等(概算)132百万円を加えた合計は15,632百万円

買収理由:食品機械分野への本格参入。マブチの海外拠点と生産技術を使い、マスダックの海外展開と省人化を進める

連結売上142億2,000万円・営業利益8億8,100万円・純資産62億5,400万円に対し、取得価額は155億円。営業利益の約17.6倍、純資産の約2.5倍です。売上は97億円→135億円→142億円、営業利益は1億7,900万円→8億3,800万円→8億8,100万円と、ファンドの保有期間中に大きく伸びていました。売り手は国内中堅中小企業の事業承継を目的に組成されたファンドで、一度ファンドに渡った会社が、次は上場企業に引き継がれる流れです。主力のどら焼き機は国内シェア9割超(同社調べ)と説明されており、モーターとは畑違いの業種でも、ニッチで一番の会社には高い値段がつくことが分かります。

買収後存続2026年10月9日時点

2026年6月11日に取得完了。社名はそのままで、マブチモーター公式サイトの拠点一覧に国内グループ会社「マスダック」として掲載されています。

確認元:マブチモーター 主な拠点

出典:食品機械メーカー株式会社マスダックの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年10月23日株式譲渡(93%以上を現金で取得し、残りはスクイーズアウトで100%化する予定。取得完了時点の保有は97.9%)

日本パルスモーター株式会社

精密小型モーター(ステッピングモーター等)、モータードライバー・コントローラーの製造販売、自動化機器の設計製作/東京都文京区/1952年5月設立

取得価額
66億円
対象の売上
38億9,400万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2025年4月期(単体)/譲渡前の株主:NPMホールディングス株式会社が100%保有。譲渡前に持株会社を吸収合併し、個人3名(橋立弘紀、増田松敏、橋立藍子)で93%以上を持つ形に整理/スクイーズアウト手続き完了までの取得価額の総額。アドバイザリー費用等の記載はなし/日本パルスモーター単体の数値。国内外のグループ会社10社との単純合算は10,419百万円(内部取引の相殺前)

買収理由:モーターと制御系を組み合わせたモーションコントロール技術と、医療・産業機器分野の顧客基盤の獲得

創立1952年、国内外14拠点を持つ老舗です。単体の売上は59億1,600万円→50億3,700万円→38億9,400万円と、3期で3割以上減っている中での譲渡でしたが、取得価額は66億円と開示されています。単体売上の約1.7倍です(グループ合算売上の約0.6倍)。譲渡の前に、株主側の持株会社を事業会社へ吸収合併させ、個人株主に持分を寄せてから売っています。持株会社を挟んでいる会社が売るときの段取りとして参考になります。

買収後社名変更2026年10月9日時点

2026年1月8日に取得完了と同時に「マブチモーターNPM株式会社」へ商号変更。代表取締役会長・社長とも交代し、会長にはマブチの取締役専務執行役員(伊豫田忠人氏)が就いています。公式サイトの拠点一覧に同社名で掲載されています。

確認元:マブチモーター 主な拠点(マブチNPM)

出典:精密小型モーター及びモーションコントロール製品メーカー日本パルスモーター株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年2月7日株式譲渡(現金で100%取得、子会社化)

オービー工業株式会社

高精度樹脂ギアなど工業用プラスチック製品、金型・治工具の製造販売/大阪府大阪市/1968年4月設立

取得価額
―
対象の売上
40億1,600万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2024年3月期(単純合算)/譲渡前の株主:大村佳也子61.5%、大村達也16.4%、その他株主22.0%。譲渡前に社長がその他株主の分を買い集め、個人2名に集約/相手先との取り決めにより非開示。連結業績への影響は「軽微」/オービー工業と、連結決算をしているグループ会社6社の単純合算

買収理由:モーターと一体で設計できるギアの技術と、日本・中国・ベトナム・フィリピンでの一貫生産体制の獲得

創業70年の樹脂ギアメーカー。単純合算で売上40億1,600万円(40億6,300万円→44億3,400万円→40億1,600万円)。株主の2割強が親族以外に散っていましたが、譲渡の前に社長が自分で買い集めてから100%を渡しています。買い手は「全株を一度に」取れる状態を求めるので、少数株主の整理を売り手側で先に済ませる、という段取りの実例です。海外工場を持つ中堅メーカーでも、単独で売り先を見つけています。

買収後社名変更2026年10月9日時点

2025年4月1日に取得完了と同時に「マブチオービーギアシステム株式会社」へ商号変更。代表者も交代しています。公式サイトの拠点一覧に同社名で掲載されています。

確認元:マブチモーター 主な拠点

出典:高精度樹脂ギアメーカーオービー工業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2022年12月22日株式譲渡(現金で100%取得、子会社化)

応研精工株式会社

健康・医療機器(血圧計等)、自動車電装、家電向けの小型ポンプ(ローリングポンプ)の製造販売/東京都稲城市/1975年12月設立

取得価額
―
対象の売上
31億7,900万円
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:2022年9月期(単純合算)/譲渡前の株主:柿澤秀宏67.5%、柿澤スゞ子6.1%、株式会社オーケン26.4%。譲渡前の組織再編で個人3名(柿澤秀宏、柿澤スゞ子、赤峰一枝)の保有に整理/相手先との取り決めにより非開示。連結業績への影響は「軽微」/応研精工と関係会社3社の単純合算

買収理由:ローリングポンプの技術・製品群を取り込み、モーターとポンプを一体にしたユニットで提案する

単純合算で売上31億7,900万円(30億2,100万円→32億1,600万円→31億7,900万円)。もともとマブチからモーターを仕入れていた取引先で、長年のパートナーがそのまま買い手になった案件です。株主に関係会社(オーケン)が入っていたため、譲渡前に株式交付と現物配当で個人株主だけの形に組み替えています。仕入先や販売先との長い取引関係が、そのまま譲渡先の候補になることを示す例です。

買収後社名変更2026年10月9日時点

2023年3月14日に取得完了と同時に「マブチモーターオーケン株式会社」へ商号変更し、代表者も交代しています。公式サイトの拠点一覧に「マブチオーケン」として掲載されています。

確認元:マブチモーター 主な拠点(マブチオーケン)

出典:小型ポンプメーカー応研精工株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社マスダック155億円(売上の1.09倍・営業利益の17.6倍)
  • 日本パルスモーター株式会社66億円(売上の1.69倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページはマブチモーター株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日