195A東証グロース

株式会社MUSCAT GROUPのM&A実績

SNSで売れる消費者向けブランドを持つ会社を買い集めている会社です。対象はコスメ、ヘアケア、子ども向け服飾雑貨、電動アシスト自転車、歯科クリニックと幅広く、売り手はほぼ全員が創業者個人です。売上5,000万円の事業から30億円のコスメ会社まで買っており、取得価額をすべての案件で開示しているのが特徴です。

株式会社MUSCAT GROUPが公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
東京都渋谷区
設立
2016年4月
事業内容
SNSマーケティングとデータ活用を軸に、オーラル美容「MiiS」、コスメ、ヘアケアなどの自社ブランド運営と、M&Aによるブランド拡充を行う持株会社(旧商号:株式会社ライスカレー)
売上高
41億2,900万円(2026年3月期(連結))
営業利益
△3億9,900万円
純資産
10億8,600万円

どんな会社を買っているか

買う業種
コスメ・ヘアケアなどの自社ブランド(EC・通信販売)/子ども向け服飾雑貨の企画・製造(OEM)/電動アシスト自転車ブランド/SNSマーケティング・ショート動画/歯科クリニック(医療法人)
対象の規模
対象の売上 5,000万円〜30.8億円
手法
株式譲渡(子会社化)が中心。子会社のWinCが買う「孫会社化」、事業譲受、医療法人の出資持分の譲受も使う。代金の一部を翌年以降の業績で決める2段階の形を2件で使っている
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
大きめの会社(松村商店、かならぼ)は社名のまま子会社として残しています。一方、小さなブランド会社は子会社のWinCに吸収合併させることがあり、MOVEは取得の3か月後に合併が決まり、4か月半後に法人が消えています。注力分野から外れた事業は売却もしており、取得したNADESIKOは約1か月半後に別の会社へ譲渡されています。
  • 取得価額を7件すべてで開示しています。金額のほか、アドバイザリー費用の概算まで毎回書かれています
  • 営業利益の何倍で買ったかが計算できます。事業譲受のHADO事業で約2.9倍、HaDで約4.4倍、MOVEで約4.9倍、かならぼで約5.6〜6.1倍(全株換算)、松村商店で約8.1倍、NADESIKOで約9.1倍でした
  • 代金を2回に分けて払う形を使います。NADESIKOは「1年後の半年間の営業利益」で、かならぼは「2027年3月期の営業利益」で残りの代金が決まる仕組みでした。売り手は最初の譲渡のあとも業績の結果を背負うことになります
  • 譲渡の直前に、売る事業以外を別会社に切り出してから株式を渡す形(HaD)も受け入れています。オーナーが手元に残したい事業がある場合の参考になります
  • 代金の後払い分がある場合は、買い手側の財務状況も確認の対象になります。2026年3月期は連結で営業損失3億9,900万円となり、決算短信(訂正後)には営業キャッシュ・フローの2期連続マイナスに関する「継続企業の前提に関する重要事象等」が記載されています(同社は重要な不確実性は認められないと判断)

買収の履歴7件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年3月23日医療法人の出資持分100%の譲受(グループの一般社団法人透花会が取得し、実質的支配で連結子会社化)

医療法人春樹会

歯科クリニックの運営/大阪府岸和田市/1997年12月設立

取得価額
3,500万円
対象の売上
5,300万円
対象の営業利益
1円未満
対象の純資産
6,100万円

決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:個人2名(米谷 英樹 70%、米谷 亜紀 30%)/出資持分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)4百万円を加えた合計は39百万円。同日に透花会と春樹会の間で100百万円の金銭消費貸借契約も締結/医業収益

買収理由:グループのクリニック支援事業による収益拡大と、オーラル美容ブランド「MiiS」とのクロスセル

医業収益5,300万円、医業利益はほぼゼロ(500万円→0→0)。直近の決算では純資産6,100万円でしたが、その後の歯科クリニックの新規譲受けで、取得時点では債務超過になっていたと開示されています。それでも出資持分は3,500万円で売れています。買い手側のグループは取得前から合計1億7,600万円を貸し付けていた取引先で、資金面のつながりがある相手への譲渡でした。理事長は譲渡日に退任しています。

買収後存続2026年10月9日時点

推定です。公式サイトのグループ会社一覧は直接の子会社のみの掲載で、春樹会は載っていません。2026年3月25日の実行後、合併や譲渡の開示は確認できていません。

確認元:連結子会社による医療法人春樹会の連結子会社化に関するお知らせ

出典:連結子会社による医療法人春樹会の連結子会社化に関するお知らせ

2025年10月16日株式譲渡(2段階で100%取得。1回目68%、2回目32%は2027年5月末頃予定)

株式会社かならぼ

コスメブランドの企画・販売/東京都渋谷区/2015年2月設立

取得価額
7億5,000万円
対象の売上
30億7,900万円
対象の営業利益
1億9,600万円
対象の純資産
4億9,400万円

決算期:2024年9月期/譲渡前の株主:個人1名(和田 佳奈)が100%保有/1回目(68%)の金額。アドバイザリー費用等(概算)8百万円。残り32%は2027年3月期の営業利益に応じて算定し、350〜450百万円を想定。合計すると1,100〜1,200百万円。DCF法と類似会社比較法で算定

買収理由:コスメブランド「Fujiko」「b idol」の取得によるブランドポートフォリオの拡充

売上30億7,900万円・営業利益1億9,600万円。この一覧で最大の案件です。営業利益は1,800万円→1億1,900万円→1億9,600万円と伸びている局面での譲渡でした。代金は先に68%分で7億5,000万円、残り32%分は2年後の営業利益次第で3億5,000万〜4億5,000万円という形です。創業者が代表のまま残り、残りの株の値段を自分の経営成績で決める設計になっています。

買収後存続2026年10月9日時点

公式サイトのグループ会社一覧に社名のまま掲載されています。2025年10月31日に1回目の取得が完了。残り32%の取得は2027年5月末頃の予定です。

確認元:MUSCAT GROUP 会社概要

出典:株式会社かならぼの株式の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年8月29日株式譲渡(子会社のライスカレープラスが取得=孫会社化)。2024年8月に契約し、1年後に取得する2段階の形

株式会社NADESIKO

バーチャルインフルエンサーを使った縦型ショート動画マーケティング/東京都渋谷区/2023年5月設立

取得価額
6億8,400万円
対象の売上
1億3,100万円
対象の営業利益
7,500万円
対象の純資産
4,900万円

決算期:2025年4月期/譲渡前の株主:個人1名(田中 大雅)が100%保有/2024年8月14日の契約時点では「未定」。2025年2月〜7月の営業利益等を勘案して最終決定する条件で、水準によっては代金が発生せず解約金を払う取り決めだった。アドバイザリー費用等は0百万円

買収理由:バーチャルインフルエンサー型TikTokメディアと、そのノウハウを使った縦型ショート動画マーケティング事業の取得

設立2年の会社で、売上は600万円→1億3,100万円、営業利益は200万円→7,500万円と1年で急伸していました。契約は2024年8月、代金は1年後の半年間の利益で決めるという条件で、結果は6億8,400万円(直近期の営業利益の約9.1倍)。ただし買い手の注力分野が変わり、取得と同じ日に別の会社への売却が決議されています。業績連動で代金を決める形は、待っている間に買い手の方針が変わりうることも示しています。

買収後再売却2026年10月9日時点

美容カテゴリーの一部事業をグループの新設会社に切り出したうえで、2025年10月15日にAnyMind Japan株式会社へ全株式を4億2,000万円で譲渡しました。

確認元:[開示事項の経過]連結子会社による会社分割(吸収分割)、孫会社による会社分割(新設分割)及び孫会社の異動の完了に関するお知らせ

出典:[開示事項の経過]株式会社NADESIKOの株式の取得(孫会社化)、連結子会社による吸収分割、孫会社による新設分割及び孫会社の異動に関するお知らせ

2025年8月13日株式譲渡(子会社のWinCが取得=孫会社化)。譲渡の直前に、bialne以外の事業を新設分割で別会社に移している

株式会社HaD

ファミリー向けシャンプー「bialne」の通信販売/東京都渋谷区/2020年3月設立

取得価額
3億1,000万円
対象の売上
1億9,400万円
対象の営業利益
7,100万円
対象の純資産
2,400万円

決算期:2025年2月期(bialne事業)。純資産は2025年7月31日時点/譲渡前の株主:個人1名(金 俊太)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)5百万円、合計315百万円。2025年2月期の実績と2026〜2028年2月期の業績予想を参考に、DCF法等の算定の範囲内で協議して決定/取得対象のbialne事業の2025年2月期の数字。開始約1年のため1期分のみ開示

買収理由:ヘアケアというマス市場の中で急成長するニッチブランドの取得(ニッチトップ戦略)

開始からわずか1年のブランドが、営業利益7,100万円の約4.4倍の3億1,000万円で売れています。純資産は2,400万円しかありませんでした。売り手は、bialne以外の事業を譲渡の当日付で新会社に移し、売るブランドだけを会社に残して株式を渡しています。会社の中に残したい事業と売りたい事業が混ざっていても、切り分けてから売る方法があります。

買収後存続2026年10月9日時点

推定です。公式サイトのグループ会社一覧は直接の子会社のみの掲載で、孫会社のHaDは載っていません。2025年11月に純資産・総資産を追加開示しており、その後の合併や譲渡の開示は確認できていません。

確認元:[開示事項の経過]連結子会社による株式会社HaDの株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

出典:連結子会社による株式会社HaDの株式取得(孫会社化)に関するお知らせ

2024年11月14日株式譲渡(子会社化)

MOVE株式会社

電動アシスト自転車ブランド「MOVE.eBike」の販売/東京都墨田区/2021年9月設立

取得価額
2億2,000万円
対象の売上
1億6,600万円
対象の営業利益
4,500万円
対象の純資産
2,100万円

決算期:2024年8月期/譲渡前の株主:個人2名(冨田 大揮 80%、柴田 基宏 20%)/アドバイザリー費用等(概算)21百万円、合計241百万円。第三者機関の算定に基づき決定

買収理由:富裕層向けE-Bikeブランドの取得によるブランドポートフォリオの拡充

前の期まで2期連続の営業赤字・債務超過(純資産マイナス1,400万円)でした。黒字化した最初の期(売上1億6,600万円・営業利益4,500万円)の直後に、営業利益の約4.9倍の2億2,000万円で売れています。設立3年、広告費をあまりかけずに伸ばしてきたブランドで、赤字の時期が直前まであっても、黒字化が数字で示せれば値段はつく例です。開示の時点で、子会社WinCへの吸収合併予定が書かれていました。

買収後吸収合併2026年10月9日時点

2025年4月1日付で、子会社の株式会社WinCを存続会社とする吸収合併により解散しました。ブランド「MOVE.eBike」はWinCの中で続いています。

確認元:完全子会社間の合併に関するお知らせ

出典:MOVE株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年9月26日株式譲渡(子会社化)

株式会社松村商店

キッズ・ティーンズ向け財布・ポーチ・バッグなど服飾雑貨の企画・製造・卸(OEM・ODM)/東京都墨田区/1979年11月設立

取得価額
9億1,500万円
対象の売上
9億200万円
対象の営業利益
1億1,300万円
対象の純資産
7億9,500万円

決算期:2024年2月期/譲渡前の株主:個人2名(松村 要 68.3%、松村 和江 31.7%)/アドバイザリー費用等(概算)35百万円、合計950百万円。デューデリジェンスのうえ、第三者機関のDCF法による算定で決定。銀行借入で調達

買収理由:OEM・ODM(商品企画・製造)領域への本格参入と、企画から販売促進までの一気通貫体制の構築

創業45年、売上9億200万円・営業利益1億1,300万円・純資産7億9,500万円。営業利益の約8.1倍、純資産の約1.15倍の9億1,500万円で売れています。中国の複数工場とのつながりと大手小売・問屋との取引が評価されました。取得の完了日に創業家の代表が退任し、買い手の取締役が代表に就いています。譲渡後も経営を続けたいかどうかは、早めに条件として出しておく必要があります。

買収後存続2026年10月9日時点

公式サイトのグループ会社一覧に社名のまま掲載されています。

確認元:MUSCAT GROUP 会社概要

出典:株式会社松村商店の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年8月14日事業譲受

株式会社HADOのバーチャルインフルエンサー事業

バーチャルインフルエンサーのTikTokメディア運営/東京都渋谷区/譲渡会社は2020年11月設立設立

取得価額
1億2,000万円
対象の売上
5,000万円
対象の営業利益
4,200万円
対象の純資産
―

決算期:2023年10月期(譲受事業)/譲渡前の株主:株式会社HADO(田中 大雅 96%、ほか個人2名)/第三者機関によるDCF法等の評価を踏まえ協議して決定。銀行借入による現金決済

買収理由:バーチャルインフルエンサー型TikTokメディアを自社の資産に加えるため

会社ではなく事業だけを売った例です。売上5,000万円・営業利益4,200万円の事業が、営業利益の約2.9倍の1億2,000万円で売れています。売上ではこの一覧で最も小さい案件です。同じオーナーが持つ関連会社NADESIKOの株式も、1年後に業績連動の価格で買う契約を同時に結んでいます(上のNADESIKOの行)。

買収後再売却2026年10月9日時点

2025年10月、譲り受けた事業はグループ内の吸収分割でNADESIKOに移され、NADESIKOごとAnyMind Japan株式会社へ譲渡されました。美容カテゴリーの一部はグループ内の新設会社に移されています。

確認元:[開示事項の経過]連結子会社による会社分割(吸収分割)、孫会社による会社分割(新設分割)及び孫会社の異動の完了に関するお知らせ

出典:事業の譲受及び株式会社NADESIKOの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された7件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 医療法人春樹会3,500万円(売上の0.66倍)※営業利益ほぼゼロでの譲渡
  • 株式会社かならぼ7億5,000万円(売上の0.24倍・営業利益の3.8倍)
  • 株式会社NADESIKO6億8,400万円(売上の5.22倍・営業利益の9.1倍)
  • 株式会社HaD3億1,000万円(売上の1.60倍・営業利益の4.4倍)
  • MOVE株式会社2億2,000万円(売上の1.33倍・営業利益の4.9倍)
  • 株式会社松村商店9億1,500万円(売上の1.01倍・営業利益の8.1倍)
  • 株式会社HADOのバーチャルインフルエンサー事業1億2,000万円(売上の2.40倍・営業利益の2.9倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社MUSCAT GROUPが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日