株式会社ディ・アイ・システムのM&A実績
売上72億円規模のシステム会社が、売上1〜2億円台の小さなIT会社を、個人オーナーから買い続けています。買う目的ははっきりしていて、拠点のない地域に足場を作る(静岡、山口)か、自社に無いサービスを足す(セキュリティ製品、非IT研修)かのどちらかです。開示文では毎回「既に事業実績を持つ企業が当社グループに合流することによって」と、自前で作るより早いことを理由に挙げています。
株式会社ディ・アイ・システムが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都
- 設立
- ―
- 事業内容
- 業務システムの設計・開発・運用保守(システムインテグレーション)と、IT研修・セキュリティ製品(教育サービス・セキュリティソリューション)
- 売上高
- 72億2,200万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 3億5,600万円
- 純資産
- 16億3,500万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- システム開発の受託・技術者派遣/セキュリティソフトウェアの開発・販売/組織人事コンサルティング・研修
- 対象の規模
- 対象の売上 0.29億円〜2.28億円
- 手法
- 株式譲渡(100%取得による子会社化)。研修会社は子会社のアスリーブレインズが買う形(孫会社化)
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 手元の開示では、買った会社を吸収合併した例は出てきません。ウイーズ・システムズは買収から3年後の決算短信でも「連結子会社」として名前が出ており、自社製品の開発元として残っています。
- 4件中3件で取得価額を開示しています。さらにアドバイザリー費用等の概算額まで毎回分けて書いています
- 仲介・助言などの費用が、小さな案件ほど重く見えます。クエストコンサルティングでは株式38百万円に対して費用25百万円、エム・アイ・シーでは200百万円に対して26百万円でした。費用は案件の大きさにあまり比例しないことが読み取れます
- 価格が出ている3件は、いずれも営業利益の10倍以上、純資産を上回る金額がついています。売上は1倍前後です
- 対象はすべて資本金500万〜2,000万円の会社で、売り手は代表者本人や創業家の個人が中心です(クエストコンサルティングのみ40%を有限会社が保有)
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社クエストコンサルティング
組織人事コンサルティング(研修・人材アセスメント・研修講師養成ほか)/東京都港区/2006年5月設立
- 取得価額
- 3,800万円
- 対象の売上
- 2,880万円
- 対象の営業利益
- 60万円
- 対象の純資産
- 1,080万円
決算期:2025年4月期/譲渡前の株主:代表取締役(増田 崇行)60.0%、クエストマネジメント有限会社40.0%/アドバイザリー費用等(概算)25百万円を加えた合計は概算63百万円。前期実績で営業利益の約67倍、純資産の約3.5倍、売上の約1.3倍
買収理由:IT研修が中心のグループに、人材アセスメント・組織人事コンサルティングといった非IT分野の研修を加える
売上2,879万円、営業利益57万円の会社に3,800万円がついています。利益ではなく、20年続けてきた人材アセスメントのノウハウと顧客基盤が買われた形です。営業利益は△240万円→113万円→57万円と、3期前は赤字でした。一方で仲介・助言などの費用が概算2,500万円と、株式の値段の3分の2に達しています。小さな会社を売るときは、費用がどちらにどれだけかかるかを先に確かめておく必要があります。
2026年5月1日に株式譲渡実行予定として開示されています。手元の開示には、その後の商号変更や合併の開示はありません。
株式会社エム・アイ・シー
技術者派遣、情報システムのコンサルティング・構築開発/山口県下松市/1991年4月設立
- 取得価額
- 2億円
- 対象の売上
- 1億3,100万円
- 対象の営業利益
- 1,700万円
- 対象の純資産
- 1億6,000万円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:個人1名(又野 芳里)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)26百万円を加えた合計は概算226百万円。前期実績で営業利益の約11.8倍、純資産の約1.25倍、売上の約1.5倍
買収理由:拠点のなかった山口県に足場を作り、大阪・福岡の事業所と結んで山陽エリアを広げる。隣の広島県への展開も視野
売上1億3,100万円・営業利益1,700万円・純資産1億6,000万円。創業34年の地方のIT会社に、純資産を上回る2億円がついています。営業利益は600万円→900万円→1,700万円と伸びている局面での譲渡でした。買い手は「山口に拠点が無かった」ことを理由に挙げており、買い手が手薄な地域で実績を持っていること自体が、値段の根拠になる例です。
2026年1月1日に株式譲渡実行予定として開示されています。手元の開示には、その後の商号変更や合併の開示はありません。
ウイーズ・システムズ株式会社
ソフトウェア製品の開発・販売(セキュリティソリューション)/東京都港区/2003年1月設立
- 取得価額
- 1億8,000万円
- 対象の売上
- 2億500万円
- 対象の営業利益
- 1,800万円
- 対象の純資産
- 5,000万円
決算期:2021年12月期/譲渡前の株主:個人2名(高見 康夫50.0%、高見 正幹50.0%)/アドバイザリー費用等(概算)20百万円を加えた合計は概算200百万円。前期実績で営業利益の10倍、純資産の約3.6倍、売上の約0.9倍
買収理由:セキュリティソリューションの開発実績を取り込み、提供サービスと顧客層を広げる
売上2億500万円・営業利益1,800万円・純資産5,000万円。純資産5,000万円の会社に1億8,000万円、純資産の3.6倍がついています。売上は1億3,500万円→1億4,000万円→2億500万円と、直前期に大きく伸びたところでの譲渡でした。自社製品を持つソフト会社は、純資産が薄くても製品の価値で評価されます。
2025年9月期の決算短信で「当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社」として、同社が企画・開発したセキュリティ製品とともに名前が出ています。
株式会社ステップコム
Web・オープン系システム開発の受託、人材派遣/静岡県静岡市/2004年9月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 2億2,800万円
- 対象の営業利益
- 400万円
- 対象の純資産
- 5,300万円
決算期:2020年8月期/譲渡前の株主:石本光子50.0%、創業者(石本 功)37.5%、その他3名12.5%(個人5名)/非開示(売主との協議による)。第三者機関による評価等を基に決定
買収理由:静岡に事業拠点を増やし、システム開発体制を強化する
売上2億2,800万円・営業利益400万円・純資産5,300万円。営業利益は3期続けて400万円と薄い会社でしたが、買い手は大手企業との取引実績と、経験を積んだエンジニアが在籍していることを評価しています。利益が小さくても、人と取引先がそろっていれば買い手は付きます。開示文には、売り手の側にも「財務基盤が安定する」という理由があったと書かれています。創業者は買い手と時間をかけて意見交換を続けたうえで合意しています。
2021年10月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。2025年9月期の決算短信には社名の記載がなく、その後の存続・合併は開示で確認できていません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された3件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社クエストコンサルティング3,800万円(売上の1.32倍・営業利益の63.3倍)
- 株式会社エム・アイ・シー2億円(売上の1.53倍・営業利益の11.8倍)
- ウイーズ・システムズ株式会社1億8,000万円(売上の0.88倍・営業利益の10.0倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社ディ・アイ・システムが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日