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株式会社ヴィッツのM&A実績

名古屋の組込みソフトウェア会社が、売上1億〜6億円台の小さな会社を、ほぼ毎年1社ずつ買っています。最初はソフト開発の人手を増やすための同業(札幌・大阪の受託開発会社)、その後は「労働力提供型から知財提供型へ」という方針のもと、X線検査装置メーカー、予約システムの運営会社、農業機械の制御装置メーカーと、自社技術と組み合わせられる会社に広げています。売り手は5件中4件が個人オーナーです。

株式会社ヴィッツが公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
愛知県名古屋市
設立
1997年6月
事業内容
自動車・産業機器向けの組込み・制御ソフトウェアの受託開発を本業に、安全性・セキュリティのコンサルティング、シミュレーション技術、X線検査装置(子会社テスコ)を手がける
売上高
57億9,000万円(2026年8月期(連結))
営業利益
6億7,300万円
純資産
32億9,100万円

どんな会社を買っているか

買う業種
組込みソフトウェアの受託開発/X線透過・CT装置の製造・保守/インターネット予約システム(ストック型サービス)/農業機械向けGPS・レーザー制御装置
対象の規模
対象の売上 0.57億円〜6.7億円
手法
株式譲渡で100%取得(子会社化)が基本。一部だけ持っていた子会社(アトリエ)は、残りの株式を株式交換で取得して完全子会社化している
赤字でも買うか
買っている(実績あり)
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社として残しています。2026年8月期の決算短信では、テスコ、リザーブマート、アグコントロールシステムがそれぞれの事業の担い手として名前を挙げられており、グループは連結子会社8社の体制です。
  • 5件すべてで取得価額が開示されています。開示が任意に近い小さな案件でも金額を出しており、売り手にとっては相場を知る材料になります
  • 倍率には幅があります。営業利益に対してテスコは約12倍、リザーブマートは約7.6倍、アグコントロールシステムは約9.8倍。一方、利益がほとんど出ていなかったスクデット・ソフトウェアは純資産の約10倍の1億円で、技術者の人数そのものに値段がついた形です
  • 債務超過で赤字の会社を600円で買った例があります(イーガー、2023年)。もともと取引先として技術者を派遣していた会社でした
  • 取得価額とは別に、アドバイザリー費用等として1,000万〜2,500万円を払ったことも開示しています

買収の履歴5件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年2月17日株式譲渡(子会社化)

株式会社アグコントロールシステム

農業機械向けのレーザー・GPS制御装置(ほ場の均平化)の開発・販売・レンタル/東京都大田区/2015年12月設立

取得価額
5億3,000万円
対象の売上
2億6,800万円
対象の営業利益
5,400万円
対象の純資産
4億6,700万円

決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:代表取締役の岸 惠純氏が94.3%、ほか1名/株式取得関連費用25百万円を加えた合計は555百万円。営業利益(54百万円)の約9.8倍、純資産(467百万円)の約1.1倍

買収理由:GPSセンシング技術とソフトウェア実装力を組み合わせ、農業の自動化から建設機械・インフラ保全などへ応用する

売上は4億9,900万円→3億4,100万円→2億6,800万円と3期続けて減っていました。それでも営業利益5,400万円(利益率20%)と純資産4億6,700万円を保っており、売上が落ちている局面でも純資産をやや上回る5億3,000万円で売れています。買い手が評価したのは足元の売上ではなく「ほ場を高精度に均平化できるGPS技術」で、ほかの産業への応用まで開示文に書かれています。技術に転用先がある会社は、業績の山を過ぎてからでも値段がつきます。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年8月期の決算短信で、第3四半期から連結子会社となり「その他」セグメントを構成する会社として社名が挙げられています。

確認元:2026年8月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

2025年4月16日株式譲渡(子会社化)

株式会社リザーブマート

公共施設・音楽スタジオ向けインターネット予約システムの運用・管理/愛知県名古屋市/2000年4月設立

取得価額
1億2,685万円
対象の売上
5,700万円
対象の営業利益
1,700万円
対象の純資産
5,800万円

決算期:2024年3月期/譲渡前の株主:井川 勝江氏66.7%、井川 武氏33.3%(個人2名。いずれも代表取締役)/株式取得関連費用(概算)10百万円を加えた合計は約137百万円。営業利益(17百万円)の約7.6倍、純資産(58百万円)の約2.2倍

買収理由:自社開発の予約システムによるストック型の収益を、知財提供型サービス事業の柱として取り込む

資本金300万円、売上5,700万円の小さな会社に1億2,685万円がついています。売上の2倍以上、純資産の2倍以上です。評価されたのは「システム導入後に継続的・安定的に収益を得るストック型ビジネス」と開示されています。規模が小さくても、毎月入ってくる収益の仕組みを持っている会社は高く見られます。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年8月期の決算短信で、「その他」セグメントの会社として社名と事業内容が挙げられています。

確認元:2026年8月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

2024年3月25日株式譲渡(子会社化)

テスコ株式会社

X線透過・CT装置の製造・販売・保守、X線による非破壊検査サービス/神奈川県横浜市/1975年12月設立

取得価額
3億8,000万円
対象の売上
6億7,000万円
対象の営業利益
3,200万円
対象の純資産
3億100万円

決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:丸紅情報システムズ株式会社が100%保有/営業利益(32百万円)の約11.9倍、純資産(301百万円)の約1.3倍。アドバイザリー費用の記載はなし

買収理由:国内でも数少ないX線透過装置メーカーの技術と、自社の仮想空間・組込みソフト技術を組み合わせる

創業1975年、売上6億7,000万円・営業利益3,200万円(利益率4.8%)。利益は薄くても、国内に数少ないX線装置メーカーという希少性で、営業利益の約12倍がついています。売り手は丸紅グループのIT会社で、本業から外れた製造子会社を手放した形です。買われた後はヴィッツの「センシング事業」として独立したセグメントになっています。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年8月期の決算短信で、センシング事業を担う連結子会社として社名が挙げられています。

確認元:2026年8月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

2023年10月20日株式譲渡(子会社化)

株式会社イーガー

製品向け組込みソフトウェア開発の請負・労働者派遣/大阪府大阪市/1994年7月設立

取得価額
600円
対象の売上
1億6,200万円
対象の営業利益
△500万円
対象の純資産
△4,900万円

決算期:2023年6月期/譲渡前の株主:代表取締役の穴釜 敬志氏が100%保有/取得価額600円(600株)。債務超過の会社をほぼゼロで引き取った形

買収理由:組込みソフトの開発体制強化と人材不足の解消。大阪支社との連携

営業赤字が3期続き、純資産マイナス4,886万円の債務超過で、値段は600円でした。ただ赤字幅は2,651万円→1,366万円→542万円と縮んでおり、買い手は「経営管理とファイナンス面の支援で十分業績の回復を図れる」と書いています。もとはヴィッツに技術者を派遣していた取引先です。債務超過でも、技術者と取引の実績があれば会社と雇用を引き継いでもらえます。

買収後不明2026年10月12日時点

2023年12月1日に株式取得が完了したことは開示されていますが、その後の合併・社名変更の開示はなく、手元の資料ではグループに残っているかを確認できていません。

確認元:(開示事項の経過)株式会社イーガーの株式取得の完了に関するお知らせ

出典:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

2022年2月22日株式譲渡(子会社化)

株式会社スクデット・ソフトウェア

ソフトウェアの開発・評価/北海道札幌市/2015年3月設立

取得価額
1億円
対象の売上
1億7,100万円
対象の営業利益
200万円
対象の純資産
1,000万円

決算期:2021年2月期/譲渡前の株主:創業者の小谷 歩氏が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)21.4百万円を加えた合計は約121百万円。純資産(10百万円)の約10倍、営業利益(2百万円)の約47倍

買収理由:札幌でのソフト開発体制と人員の強化。札幌拠点・関連会社との連携

設立7年、資本金300万円、営業利益は200万円前後とほぼ収支トントンの会社に1億円がついています。利益や純資産では説明できない金額で、技術者のチームと札幌という拠点に値段がついたと読めます。開示文には、グループに入ることで「財務基盤が安定し人員体制の拡大が容易になる」と、売り手側の動機も書かれています。

買収後不明2026年10月12日時点

2022年3月1日に取引実行予定として開示されました。その後の合併・社名変更の開示はなく、手元の資料ではグループに残っているかを確認できていません。

確認元:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

出典:子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された5件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 株式会社アグコントロールシステム5億3,000万円(売上の1.98倍・営業利益の9.8倍)
  • 株式会社リザーブマート1億2,685万円(売上の2.23倍・営業利益の7.5倍)
  • テスコ株式会社3億8,000万円(売上の0.57倍・営業利益の11.9倍)
  • 株式会社イーガー600円(売上の0.00倍)※営業赤字での譲渡
  • 株式会社スクデット・ソフトウェア1億円(売上の0.58倍・営業利益の50.0倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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本ページは株式会社ヴィッツが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日