株式会社オープンハウスグループのM&A実績
戸建分譲の会社が、建設の手、営業エリア、営業の人材を足すために同業を買っている会社です。対象は年商百億円から数百億円の創業者オーナー企業が中心で、住宅業界の中では大きめの会社が相手です。売り手は創業社長とその親族、従業員持株会など。プレサンスコーポレーションや三栄建築設計のような上場企業へのTOBも行っていますが、この名鑑では非上場企業の買収だけを載せています。
株式会社オープンハウスグループが公表した適時開示4件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 1997年9月
- 事業内容
- 首都圏を中心とした戸建分譲(用地仕入から建設・販売までの製販一体)、マンション、収益不動産、注文住宅などを束ねる住宅・不動産の持株会社
- 売上高
- 13,364億6,800万円(2025年9月期(連結))
- 営業利益
- 1,459億3,300万円
- 純資産
- 5,388億3,400万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 戸建住宅の建築請負・設計施工/戸建分譲住宅/地域密着型の住宅メーカー・リフォーム/投資用マンションの販売
- 対象の規模
- 対象の売上 94.9億円〜639億円(新成トラストは業績非開示)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。ホーク・ワンでは株式譲渡と簡易株式交換を組み合わせ、創業者には現金と自社株の両方を渡している。近年は傘下のメルディアやプレサンスが買い手になる「孫会社化」
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は子会社として残し、前の社長も役員として残る形が見られます。アサカワホームは創業社長が取締役会長に、ホーク・ワンは創業社長が代表取締役社長のまま続投しました。一方でアサカワホームは「オープンハウス・アーキテクト」へ社名が変わっており、グループの名前に揃えることもあります。
- 古い2件は取得価額が開示されています。アサカワホームは79億2,000万円、ホーク・ワンは株式の約7割で約200億円。どちらも純資産の約1.4倍、営業利益の約5〜6倍の水準でした
- 取得価額の算定に第三者を使ったことを毎回書いています。ホーク・ワンでは算定機関の名前と、DCF法・類似会社比較法を使ったことまで開示されています
- 近年の2件は「相手方が個人であるため」「守秘義務により」金額非開示です。売り手が個人だと金額が伏せられる傾向が読み取れます
- 新成トラストの開示では、取得の狙いを「時間と人材を獲得する」と明言しています。業績より営業の人材そのものが評価対象になることがあります
買収の履歴4件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社新成トラスト
投資用ワンルームマンション(自社ブランド「スワンズマンション」)の販売、賃貸管理/大阪府大阪市/2002年8月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:開示に記載なし/相手先との守秘義務により非開示。外部の専門家による株価算定に基づき、当事者間の協議で決定
買収理由:投資用マンションの経験豊富な営業スタッフを迎え入れて育成負荷を減らすこと、販売用不動産の情報共有とクロスセル
資本金1億円。業績は開示されていません。買い手は取得の理由を「時間と人材を獲得する」と書いています。投資用ワンルームの営業は育てるのに時間とコストがかかるため、経験のある営業部隊がいること自体が買う理由になっています。数字が目立たなくても、育った営業チームを持っていれば、それが売り物になります。
2026年6月30日に株式取得を完了したと開示されています。その後の商号変更や合併の開示は手元の資料にありません。
株式会社永大ホールディングス
埼玉県南部・東京都北部の地域密着型の戸建住宅メーカー、リフォーム、不動産の売買・賃貸・管理・仲介(持株会社と子会社3社)/埼玉県さいたま市/1986年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 94億8,700万円
- 対象の営業利益
- 8億3,100万円
- 対象の純資産
- 135億1,500万円
決算期:2024年3月期(簡易連結の参考値)/譲渡前の株主:永森 勝 82.35%、その他個人株主3名 17.65%/株式取得の相手方が個人であるため非開示/持株会社と子会社3社(永大、永大ハウス、永大プランニング)を簡易的に連結した参考値
買収理由:永大グループの顧客・取引先との関係と、良質な商品不動産を仕入れるネットワークを取り込み、首都圏の戸建事業の基盤を強化する
売上94億8,700万円・営業利益8億3,100万円・純資産135億1,500万円。純資産が売上を上回る、資産の厚い会社です。売上は113億円→77億円→95億円と上下していましたが、営業利益は3期とも黒字でした。社長が8割強を持ち、残りを個人3名が持つ形で、全株がそろって譲渡されています。買い手が欲しがったのは地元で長年築いた顧客・取引先とのつながりと、土地の仕入れ網です。
2025年4月16日に株式譲渡実行予定と開示されました。その後の決算短信(2025年9月期)に社名の記載がなく、存続・合併を確認できる資料が手元にありません。
株式会社ホーク・ワン
首都圏・名古屋地区の準都心部での戸建分譲(年間約2,000棟)、建設工事・リフォーム、不動産売買・仲介/東京都杉並区/1995年5月設立
- 取得価額
- 200億円
- 対象の売上
- 639億100万円
- 対象の営業利益
- 45億1,700万円
- 対象の純資産
- 206億7,200万円
決算期:2017年10月期/譲渡前の株主:平塚 寛之 47.98%、自己株式 14.47%、従業員持株会 10.65%、取締役 3.27%、その他の少数株主 23.64%/約200億円は株式譲渡で取得した26,224株(議決権の69.68%)の取得価額。残る11,411株は1株あたり754,000円と評価して自社株と交換(約86億円相当)しており、100%に換算すると約284億円。第三者算定機関(株式会社クリアコンサルティング)がDCF法と類似会社比較法で算定
買収理由:準都心部のベッドタウンを持つ会社を加えて首都圏の営業エリアを広げ、合わせて年7,000棟規模にして開発・建設のスケールメリットを得る
売上639億円・営業利益45億1,700万円・純資産206億7,200万円。売上は477億円→522億円→639億円と伸びている局面での譲渡でした。100%換算の約284億円は、純資産の約1.4倍、営業利益の約6.3倍です。創業社長の持株の一部は現金ではなく買い手の株式と交換しており、売った後も買い手の株主として成長の果実を受け取る形を取っています。譲渡後も創業社長が代表取締役社長として残りました。
2018年10月1日に完全子会社化が完了し、2021年11月の持株会社移行の開示でも「株式会社ホーク・ワン」の社名で言及されています。それ以降の存続・合併を確認できる資料は手元にありません。
株式会社アサカワホーム
戸建建売業者からの建築請負、設計・施工(三多摩エリア中心、年間2,200棟以上)/東京都立川市/1991年3月設立
- 取得価額
- 79億2,000万円
- 対象の売上
- 308億5,800万円
- 対象の営業利益
- 16億7,100万円
- 対象の純資産
- 57億6,900万円
決算期:2013年12月期/譲渡前の株主:細渕 弘之 64.95%、その他株主 35.05%(譲渡したのは細渕氏と親族計5名で96.06%、従業員14名で3.94%)/アドバイザリー費用等(概算)20百万円を加えた合計は7,940百万円。資金は自己資金と借入金
買収理由:買い手の営業力とアサカワホームの建築・施工能力を組み合わせ、首都圏での事業拡大と共同購買によるスケールメリットを得る
売上308億5,800万円・営業利益16億7,100万円・純資産57億6,900万円。取得価額79億2,000万円は、純資産の約1.4倍、営業利益の約4.7倍です。もともと買い手から工事を請け負う取引先で、取引先がそのまま買い手になった例です。株主には従業員14名も入っていましたが、1か月ほどで全員から譲渡の同意を得ています。創業社長は代表権のない取締役会長として残りました。
2021年11月の持株会社移行の開示で「株式会社オープンハウス・アーキテクト(旧社名株式会社アサカワホーム)」と書かれており、社名が変わったことが分かります。その後の状況を確認できる資料は手元にありません。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ホーク・ワン200億円(売上の0.31倍・営業利益の4.4倍)
- 株式会社アサカワホーム79億2,000万円(売上の0.26倍・営業利益の4.7倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは株式会社オープンハウスグループが公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日