ニューラルグループ株式会社のM&A実績
AIの会社ですが、買っているのは創業40年前後のイベント会社やゲーム開発会社です。2025年に「M&A推進チーム」を新設し、事業承継を望むオーナー企業を迎え入れる方針を公式サイトで掲げています。売り手は5件中4件が創業者や社長などの個人で、資本金1,000万〜7,000万円規模の会社が中心です。
ニューラルグループ株式会社が公表した適時開示5件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都千代田区
- 設立
- 2018年1月
- 事業内容
- 画像解析・生成AIの技術開発を本業に、デジタルサイネージ、イベント企画、ゲーム開発などの子会社を束ねる持株会社(旧ニューラルポケット)
- 売上高
- 32億9,900万円(2025年12月期(連結))
- 営業利益
- △600万円
- 純資産
- 18億8,500万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- イベントの企画・運営、セールスプロモーション/ゲーム・アプリ・遊技機向け映像の開発/屋外LED電子看板の販売・設置/マンション向けサイネージ広告
- 対象の規模
- 対象の売上 5,300万円〜17.9億円
- 手法
- 株式譲渡(100%取得による子会社化)。社長の資産管理会社ごと買う形や、取得後の売上に応じて追加で払うアーンアウト(条件付対価)も使う
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は法人として残すのが基本です。2021〜2022年に買ったフォーカスチャネルは社名のまま、ネットテンは「ニューラルマーケティング」に商号を変えて、いずれもグループに残っています。2026年に買った3社も社名のまま並んでいます。
- 初期の2件は取得価額を開示しています。ネットテンが24億円、フォーカスチャネルが2億5,000万円(アーンアウト込みで最終4億円)でした
- 2026年以降の3件は非開示です。理由は「相手先の要望及び守秘義務契約」。ただし毎回「外部の専門家による株価評価額の範囲内」で決めたと書かれています
- アーンアウト(条件付対価)を実際に満額払った実績があります。フォーカスチャネルでは取得後6か月の売上が条件を超え、上限の1億5,000万円が追加で支払われました
- 直近期は黒字の会社を買っていますが、ポマト・プロは2期前に債務超過(純資産マイナス2,000万円)、カクタスは前期に営業赤字でした。一時的に落ち込んだ年があっても、立て直していれば対象になります
買収の履歴5件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
魔法株式会社(資産管理会社の株式会社ペガサスを含む)
ゲームソフト・スマートフォンアプリの企画制作、遊技機液晶部の企画制作、カジノゲーミング開発/兵庫県神戸市/1985年5月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億2,900万円
- 対象の営業利益
- 4,500万円
- 対象の純資産
- 2億4,700万円
決算期:2025年3月期/譲渡前の株主:株式会社ペガサス75.4%、箕作孝行20.9%、自己株式3.6%。ペガサスは箕作孝行が100%保有(社長個人と資産管理会社)/相手先の要望及び守秘義務契約により非開示。「外部の専門家による株価評価額の範囲内」で、評価額を参考に協議して決定/魔法の単体の数値。ペガサスは売上1,300万円・営業利益800万円・純資産1億6,800万円(2025年3月期)
買収理由:ゲーム・アプリ開発と液晶映像制作のノウハウにAI技術を組み合わせ、エンタメ領域を拡大する
創業40年、売上6億2,900万円・営業利益4,500万円・純資産2億4,700万円。営業利益は2,400万円→1,300万円→4,500万円と持ち直した局面での譲渡です。社長が自分の会社の株を資産管理会社に持たせていたため、買い手はその資産管理会社ごと買っています。開示には「魔法を早期に完全子会社化するため」とあり、資産管理会社があっても譲渡の妨げにはならず、まとめて引き取る形で進められることが分かります。
2026年6月1日に株式譲渡を実行予定として開示されました。公式サイトの会社一覧に魔法株式会社が掲載されています。ペガサスは沿革に記載がありますが会社一覧には無く、開示では「組織再編を検討」とされています。
株式会社カクタス
イベント・プロモーションの企画制作運営、グラフィック・Webデザイン、商業施設や自治体の賑わいづくり/大阪府大阪市/1996年2月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 8億1,100万円
- 対象の営業利益
- 1億3,100万円
- 対象の純資産
- 1億9,400万円
決算期:2025年6月期/譲渡前の株主:個人1名(畚野信恒、代表取締役社長)が100%保有/相手先の要望及び守秘義務契約により非開示。「外部の専門家による株価評価額の範囲内」で、評価額を参考に協議して決定
買収理由:イベント領域に特化したAI技術の開発・販売を加速する
売上8億1,100万円・営業利益1億3,100万円・純資産1億9,400万円。前の期(2024年6月期)は営業損失3,000万円の赤字でした。そこから売上を3億6,800万円→8億1,100万円と倍以上に伸ばし、利益率16%まで戻した直後の譲渡です。赤字の翌年でも、回復がはっきり数字に出ていれば売れます。同じ日にポマト・プロと並べて開示されており、買い手がイベント会社を東西で揃えにいったことが読み取れます。
株式会社ポマト・プロ
式典・展示会・スポーツイベントの企画運営、映像・Web制作、店舗巡回などのセールスプロモーション/東京都千代田区/1983年3月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 16億700万円
- 対象の営業利益
- 6,800万円
- 対象の純資産
- 1億1,300万円
決算期:2025年2月期/譲渡前の株主:山田剛53%、飯島髙尚(代表取締役社長)47%(個人2名)/相手先の要望及び守秘義務契約により非開示。「外部の専門家による株価評価額の範囲内」で、評価額を参考に協議して決定
買収理由:イベント領域に特化したAI技術の開発・販売を加速する
創業40年超、売上16億700万円・営業利益6,800万円・純資産1億1,300万円。2023年2月期は純資産マイナス2,000万円の債務超過でした。そこから2期で黒字を積み、純資産をプラスに戻したうえでの譲渡です。売上は17億7,100万円→22億5,400万円→16億700万円と上下しており、イベント業のように年ごとの波が大きい業種でも買い手はつきます。株主が2名に分かれていても、2名とも売ることで100%の譲渡が成立しています。
株式会社ネットテン
屋外向けLED電子看板の販売・設置、ホームページ制作/大阪府大阪市/2003年8月設立
- 取得価額
- 24億円
- 対象の売上
- 17億8,500万円
- 対象の営業利益
- 1億9,500万円
- 対象の純資産
- 9億300万円
決算期:2021年7月期/譲渡前の株主:個人1名(上田貴志、代表取締役社長)が100%保有/アドバイザリー費用等(概算)19百万円を加えた合計は2,419百万円。このほか、株式譲渡契約に定める対応事項の完了を条件に100百万円を追加の対価として社長に支払う予定と開示。退職金として有価証券・貸金債権(概算10百万円)を譲渡し、金銭の支給はしない
買収理由:全国の営業網と電子看板の設置ノウハウを使い、AIを搭載したサイネージを普及させる
売上17億8,500万円・営業利益1億9,500万円・純資産9億300万円で、取得価額は24億円。営業利益の約12倍、純資産の約2.7倍です。全国9拠点・約7,000社への販売実績という顧客網が評価されました。コロナで売上が横ばいになった期の数字で交渉していますが、開示では直近6か月の売上(年換算19億円相当)も添えて回復ぶりを示しています。退職金を現金ではなく会社が持つ有価証券や貸付金で受け取る形も、オーナーの手取りの組み立て方として参考になります。
公式サイトの沿革に、子会社の組織再編に伴い「ニューラルマーケティング株式会社」へ商号変更したと記載されています。同社の大阪本社はネットテンと同じ所在地(大阪市住吉区千躰)で、会社一覧に掲載されています。
株式会社フォーカスチャネル
都心の大型マンションのエントランスに設置したサイネージでの広告事業/東京都豊島区/2017年設立
- 取得価額
- 4億円
- 対象の売上
- 5,300万円
- 対象の営業利益
- 600万円
- 対象の純資産
- 3,400万円
決算期:2021年8月期(見込)/譲渡前の株主:株式会社Wiz(非上場の事業会社)が100%保有/当初の対価は250百万円で、取得後6か月の売上が一定額を超えた場合に0〜150百万円のアーンアウトを追加で支払う条件。2022年6月30日に上限の150百万円の発生が確定し、取得価額は400百万円に確定。アドバイザリー費用等(概算)17百万円を加えた合計は417百万円
買収理由:サイネージ機器にAIカメラを載せて広告価値を高め、営業力と設置ノウハウを取り込む
売上5,300万円・営業利益600万円・純資産3,400万円という設立4年の小さな会社に、当初2億5,000万円、最終的に4億円がついています。売上は1,600万円→2,700万円→5,300万円と毎年ほぼ倍増していました。利益がまだ小さくても、伸びている事業は伸びしろで値段がつきます。しかも6か月後の売上条件を満たしてアーンアウトの上限1億5,000万円が満額支払われました。「後払い分は結局もらえないのでは」という不安に対し、実際に払われた例です。
2021年11月1日に子会社化。公式サイトの会社一覧に社名のまま掲載されています。アーンアウトの確定は2022年6月30日開示の「(開示事項の経過)株式会社フォーカスチャネルの株式の取得に関するお知らせ」で確認できます。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ネットテン24億円(売上の1.34倍・営業利益の12.3倍)
- 株式会社フォーカスチャネル4億円(売上の7.55倍・営業利益の66.7倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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