4826東証プライム

株式会社CIJのM&A実績

受託開発のソフトウェア会社を、数年おきに1社ずつ買っている会社です。買う理由は毎回ほぼ同じで、「IT人材の確保」と「技術者のスキルアップ・顧客層の拡大」。金融、組込み・通信、電力、公共と、自社に足りない分野の技術者を抱えた会社を選んでいます。売り手は創業社長などの個人オーナーが中心で、対象は売上4億円台から16億円規模までです。

株式会社CIJが公表した適時開示6件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)

会社概要

本社
神奈川県横浜市
設立
1976年1月
事業内容
大手顧客向けを中心とするシステム開発およびシステム開発に関連するサービス(公共、金融、エネルギー、組込み・制御など)
売上高
294億2,400万円(2026年6月期(連結))
営業利益
26億1,900万円
純資産
150億円

どんな会社を買っているか

買う業種
ソフトウェア受託開発(金融機関向け)/組込み・制御系、通信系のソフトウェア開発/電力会社向けシステム開発/官公庁・社会インフラ向けシステム開発
対象の規模
対象の売上 4.45億円〜16億円(直近2件は売上非開示)
手法
株式譲渡(100%取得による子会社化)が中心。一部だけ先に買い、残りを自社株を渡す簡易株式交換で取得した例もある(アドバンスソフト)
赤字でも買うか
黒字の会社のみ
買収後の扱い
買った会社は社名のまま子会社にするのが基本です。少数株主が残った場合は、自己株式を使った株式交換で完全子会社にしています。手元の開示の範囲では、買収した会社を吸収合併した例は確認できていません。
  • 取得価額が開示されたのは日伸ソフトウェアの1件だけです(22億8,000万円)。それ以外は「第三者機関の株式価値算定を参考に決定」とだけ書かれています
  • 業績が落ちている局面の会社も買っています。日本ファイナンシャル・エンジニアリングは営業利益4,000万円→200万円、a-LINKは1億4,300万円→1,800万円と下がっている中での譲渡でした(いずれも黒字)
  • 直近2件(インフォテックソリューション、トレンドアート)は東証の適時開示基準に該当しない規模ですが、任意で開示を出しています。ただし対象の業績は載っていません

買収の履歴6件

すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。

2026年9月29日株式譲渡(100%取得による子会社化)

株式会社トレンドアート

ソフトウェア開発・設計・製造・保守運用(公共、金融機関向け。中部地区の大手SIerからの受注が中心)/愛知県名古屋市/2005年7月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:個人1名が100%保有(氏名は非公開)/非開示。「東京証券取引所が定める適時開示基準に該当しない」と明記

買収理由:IT人材の確保と技術者の育成。中部地区の公共・金融向け開発の取り込み

資本金1,000万円、名古屋の受託開発会社。業績は開示されていません。開示文は「大手SIerとの長年の連携による安定的な受注」と「多様な業界での開発経験を持つ優秀なエンジニアを多数有している」点を挙げています。元請けでなく大手SIerの下で仕事をしている会社でも、技術者がそろっていれば上場企業の買収対象になる例です。2025年11月のインフォテックソリューションに続く、同じ型の買収です。

買収後実行前2026年10月12日時点

株式譲渡の実行日は2026年10月30日(予定)と開示されています。

確認元:株式会社トレンドアートの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:株式会社トレンドアートの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2025年11月25日株式譲渡(100%取得による子会社化)

インフォテックソリューション株式会社

官公庁向けシステムインテグレーション、交通・防災・消防など社会インフラ系のシステム開発、金融機関・企業向けソフトウェア開発/東京都豊島区/2002年3月設立

取得価額
―
対象の売上
―
対象の営業利益
―
対象の純資産
―

決算期:非開示/譲渡前の株主:個人2名が100%保有(氏名は非公開。代表取締役会長と代表取締役社長の2名体制)/非開示。適時開示基準に該当しない規模。参考として、2026年6月期の決算短信に「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出147百万円」があり、同期の新規連結はこの会社1社だけです(取得価額から対象会社の手元資金を差し引いた純額のため、取得価額そのものではありません)

買収理由:公共分野の拡大。官公庁・社会インフラ系の開発実績と、Salesforce・AWSなどクラウド対応の技術基盤

資本金2,500万円。業績は開示されていません。買い手は決算短信で「公共分野の事業拡大を図るため」に連結子会社化したと書き、翌期の方針でも「得意とする公共分野のさらなる深耕」とこの会社の名前を挙げています。官公庁や社会インフラの取引実績は、買い手から見て社名を出して語れるほどの価値があるということです。

買収後存続2026年10月12日時点

2026年6月期の決算短信に、2025年12月1日に連結子会社化した会社として社名が載っており、連結範囲の新規1社としても記載されています。

確認元:2026年6月期決算短信〔日本基準〕(連結)

出典:インフォテックソリューション株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2024年11月25日株式譲渡で80%を取得して子会社化(2024年10月31日)→残る20%を簡易株式交換で取得し完全子会社化(効力発生日2024年12月18日予定)

株式会社アドバンスソフト

電力会社向けの電力系統制御システム、発電計画システムなどのソフトウェア受託開発、保守・運用/愛知県名古屋市/2001年9月設立

取得価額
―
対象の売上
4億4,500万円
対象の営業利益
1億200万円
対象の純資産
3億3,700万円

決算期:2024年6月期/譲渡前の株主:完全子会社化の直前はCIJ 80%、個人株主20%(当初の80%の売り手は手元の開示では不明)/当初80%の取得価額は手元の開示では不明。残り20%の株式交換では、第三者算定機関(青山トラスト会計社)が1株あたり類似会社比較法4,511千円〜5,607千円、DCF法4,877千円〜5,542千円と算定。発行済200株に当てはめると会社全体の株式価値は約9億200万円〜11億2,100万円で、純資産3億3,700万円の約2.7〜3.3倍、営業利益1億200万円の約9〜11倍にあたる。交付株式は当社株457,480株(交換比率1:11,437)

買収理由:電力系統制御など電力分野の開発実績の取り込み。残り20%の取得は効率的なグループ経営体制の構築のため

売上4億4,500万円・営業利益1億200万円(利益率23%)・純資産3億3,700万円。8割を現金で売り、残り2割は買い手の株式と交換する形になっています。株式交換の算定では、第三者機関が類似上場会社5社のEV/EBITDA倍率とDCF法の両方を使っており、営業利益の約9〜11倍、純資産の約3倍という水準が読めます。電力会社向けという専門性の高い分野で、利益率の高い会社です。

買収後不明2026年10月12日時点

2024年12月18日に株式交換で完全子会社化する予定と開示されています。その後の存続を示す記載(決算短信での社名など)は手元の資料では確認できていません。

確認元:簡易株式交換による株式会社アドバンスソフトの完全子会社化に関するお知らせ

出典:簡易株式交換による株式会社アドバンスソフトの完全子会社化に関するお知らせ

2023年6月5日株式譲渡(100%取得による子会社化)

日伸ソフトウェア株式会社

制御系・通信系をはじめとするソフトウェア受託開発、基幹系システム構築、保守、ネットワーク事業/東京都渋谷区/1984年2月設立

取得価額
22億8,000万円
対象の売上
16億300万円
対象の営業利益
7,100万円
対象の純資産
12億8,600万円

決算期:2022年12月期/譲渡前の株主:株式会社ニッシン企画が100%保有(2023年5月設立、不動産の賃貸・管理)/アドバイザリー費用等60百万円(概算)を加えた合計は2,340百万円。第三者機関のデューデリジェンスと株式価値算定を参考に決定。株式譲渡実行日は2023年7月3日(6月12日の訂正開示で日付の誤記を訂正)

買収理由:制御系・通信系の開発実績と基幹系システムの業務ノウハウの取り込み。IT人材の確保

この会社の案件で唯一金額が開示されたもので、22億8,000万円です。売上16億300万円・営業利益7,100万円・純資産12億8,600万円。価格は純資産の約1.8倍、営業利益の約32倍でした。営業利益率は4%台と高くありませんが、創業約40年で純資産を売上の8割近くまで積み上げていた会社です。利益が薄くても、厚い純資産があれば価格はそこが土台になります。売り手は譲渡の前月に設立された会社(ニッシン企画)で、個人ではなくこの会社を通じて売る形が取られています。

買収後不明2026年10月12日時点

2023年7月3日に株式譲渡を実行予定と開示されています(訂正開示で日付を訂正)。その後の存続や合併を示す記載は手元の資料では確認できていません。

確認元:(訂正)「日伸ソフトウェア株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」の一部訂正について

出典:日伸ソフトウェア株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2021年6月28日株式譲渡(100%取得による子会社化)。普通株式1株と甲種株式599株を取得

有限会社a-LINK

制御系・通信系のソフトウェア受託開発(画像処理の入出力機器ドライバーに強み)。フィリピンの開発子会社でオフショア開発/神奈川県横浜市/2003年5月設立

取得価額
―
対象の売上
6億600万円
対象の営業利益
1,800万円
対象の純資産
8億3,500万円

決算期:2020年12月期/譲渡前の株主:代表取締役社長(安達 宗郎)9.3%、その他個人株主90.7%/非開示。第三者機関の株式価値算定書を参考に決定

買収理由:組込み・産業分野の技術補完と、フィリピンのオフショア開発体制の活用

売上6億600万円・営業利益1,800万円・純資産8億3,500万円。売上は8億7,100万円→8億3,400万円→6億600万円、営業利益は1億4,300万円→1億900万円→1,800万円と落ち込んでいる中での譲渡でした。それでも、フィリピンに自前の開発拠点を持っていたことと、売上を上回る純資産が評価されています。社長の持分は9.3%で、残りは複数の個人株主が持っていました。有限会社のまま、上場企業に100%売れています。

買収後不明2026年10月12日時点

2021年7月1日に株式譲渡を実行予定と開示されています。その後の存続や合併を示す記載は手元の資料では確認できていません。

確認元:有限会社a-LINKの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:有限会社a-LINKの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

2018年9月14日株式譲渡(100%取得による子会社化)。譲渡前に社長が従業員等の持株33%を買い集め、社長1名から取得

日本ファイナンシャル・エンジニアリング株式会社

銀行など金融機関向けのITコンサルティング、システム開発、保守・運用/東京都品川区/1999年2月設立

取得価額
―
対象の売上
5億8,500万円
対象の営業利益
200万円
対象の純資産
1億6,800万円

決算期:2017年12月期/譲渡前の株主:代表取締役社長(吾郷 中信)67.0%、従業員等33.0%。譲渡実行までに社長が全株を集約/非公表。第三者機関が算定した株式価値を参考に双方協議で決定

買収理由:金融機関向けシステム開発の拡大。銀行の業務ノウハウと金融機関の顧客基盤

売上5億8,500万円・営業利益200万円・純資産1億6,800万円。売上は7億8,100万円→6億2,500万円→5億8,500万円、営業利益は4,000万円→1,800万円→200万円と、3期続けて下がっていました。それでも、銀行の業務を分かる技術者と金融機関の顧客基盤が買われています。従業員が株を持っていた会社でも、譲渡前に社長が買い集めて100%で渡すという整理の仕方が使われています。

買収後不明2026年10月12日時点

2019年1月に株式譲渡を実行予定と開示されています。その後の存続や合併を示す記載は手元の資料では確認できていません。

確認元:日本ファイナンシャル・エンジニアリング株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

出典:日本ファイナンシャル・エンジニアリング株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

この会社に売るといくらか

取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。

  • 日伸ソフトウェア株式会社22億8,000万円(売上の1.42倍・営業利益の32.1倍)

自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。

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