高周波熱錬株式会社のM&A実績
熱処理と高強度鋼材の老舗メーカーが、中期経営計画の「成長ドライバーの創生」として、自社の技術と隣り合う国内の中小企業を買い始めた会社です。2025年に福岡のプレキャスト・コンクリートメーカー、川崎の熱交換器・省エネ設備の会社と続けて取得しました。売り手はどちらも創業者・オーナー個人で、どちらも一度に全部ではなく、2回に分けて株を買う形を取っています。
高周波熱錬株式会社が公表した適時開示2件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月9日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都品川区
- 設立
- 1946年5月
- 事業内容
- 高周波熱処理を施したPC鋼棒・ばね鋼線などの製造販売、機械部品の高周波焼入れの受託加工、誘導加熱装置の製造販売
- 売上高
- 582億7,700万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 18億9,200万円
- 純資産
- 653億7,800万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- プレキャスト・コンクリート製品の製造(建築・土木)/熱交換器・ヒートポンプなど省エネ設備の設計・製造・メンテナンス
- 対象の規模
- 対象の売上 6.2億円〜31.5億円
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)。株式を2回に分けて取得し、売り手側に一部を残す形を続けて使っている
- 赤字でも買うか
- 黒字の会社のみ
- 買収後の扱い
- 買った会社は社名のまま子会社として残しています。公式サイトの国内グループ会社一覧に、ドーケン、MDIとも社名・所在地そのままで載っています。
- ドーケンは取得価額を開示しています。83.3%を17億7,500万円。アドバイザリー費用等の概算1億4,000万円も別に示されており、買い手側の仲介・DD費用が取得価額の約8%だったことも分かります
- MDIの価額は「相手方の意向を踏まえ」非開示です。売り手が希望すれば、上場企業の開示でも金額を伏せられることを示しています
- 2件とも売り手に株を一部残す形です。MDIは社長が20%を約3年持ち続け、2028年に残りを譲る予定。ドーケンはオーナーの資産管理会社などが少数株主として残り、1年余り後に追加で買い取られています
- 2026年1月には構造設計事務所の株式34%も取得していますが、これは資本参加(子会社化ではない)のため一覧には入れていません。2017年の韓国の関連会社の子会社化も海外案件のため外しています
買収の履歴2件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
MDI株式会社
熱交換器の設計・販売、ヒートポンプ・チラーの設計・製造・販売、洗浄液の製造販売、メンテナンス、省エネコンサルティング/神奈川県川崎市/2005年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 6億1,600万円
- 対象の営業利益
- 1億5,500万円
- 対象の純資産
- 5億3,400万円
決算期:2024年8月期/譲渡前の株主:岩澤賢治90.0%、岩澤衣絵10.0%(個人2名)/相手方の意向により非開示。外部専門家の株式価値評価を参考に社内で検討し、相手方との交渉を経て決定したと開示
買収理由:熱処理技術と親和性の高い排熱回収・省エネ事業を取り込み、事業領域を広げる
売上6億1,600万円・営業利益1億5,500万円(利益率25%)・純資産5億3,400万円。売上は3億3,500万円→10億1,600万円→6億1,600万円と年ごとの振れが大きい会社ですが、3期とも黒字で、純資産は2億2,300万円から5億3,400万円へ積み上がっていました。社長は1回目で全部は売らず、20%を3年間持ち続ける契約です。1回目の譲渡完了後も代表取締役は社長のまま、と開示されています。株を分けて売ることで、売った後も一定期間は株主・経営者として関わる形になっています。価額は売り手の意向で非開示になっています。
2025年11月28日に第1次譲渡が完了し80%保有の連結子会社に(同日の完了開示による)。公式サイトの国内グループ会社一覧に社名・所在地そのままで載っています。残り20%の取得は2028年11月28日の予定です。
株式会社ドーケン
建築用・土木用プレキャスト・コンクリート部材の製作施工、生コンクリート製造販売、魚礁型枠リース/福岡県飯塚市/1974年6月設立
- 取得価額
- 17億7,500万円
- 対象の売上
- 31億5,200万円
- 対象の営業利益
- 3,900万円
- 対象の純資産
- 6億3,700万円
決算期:2024年9月期/譲渡前の株主:安永規夫50.0%、DIST株式会社33.3%、株式会社木生産業16.7%(2社とも安永氏が代表取締役)/83.3%分の取得価額。アドバイザリー費用等(概算)140百万円を加えた合計は約1,915百万円。外部専門家のデューデリジェンスと独立第三者機関の算定に基づくと開示。100%に換算すると約21億円で、直前期の純資産の約3.3倍にあたる(編集部の計算)
買収理由:高層建築向けプレキャスト・コンクリート製品を取り込み、自社の高強度鋼材と同じサプライチェーンで協業する
取得価額17億7,500万円(83.3%分)が開示されている案件です。直前期は売上31億5,200万円・営業利益3,900万円・純資産6億3,700万円。営業利益は2億2,100万円→1億7,700万円→3,900万円と下がっていましたが、純資産は3期で4億3,100万円→6億3,700万円と増えていました。直前期の営業利益が細っていても、純資産の3倍強(100%換算)の値段がついています。取得の理由として、建設現場の人手不足でプレキャスト製品の需要が伸びるという見通しと、高層建築向けの納入実績が挙げられています。売り手はオーナー個人と、その人が代表を務める2社。2社は少数株主として残り、2026年8月に「設備投資等の事業資金需要」を理由に9,000株(15.0%)を追加で譲っています。
社名のまま子会社として残り、公式サイトの国内グループ会社一覧に載っています。2026年8月6日開示の『株式会社ドーケン(連結子会社)株式の追加取得に関するお知らせ』で、少数株主2社から9,000株を追加取得し保有割合は98.3%になる予定と開示されています(同開示では代表取締役社長が交代しています)。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された1件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社ドーケン17億7,500万円(売上の0.56倍・営業利益の45.5倍)
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページは高周波熱錬株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月9日