NITTOKU株式会社のM&A実績
巻線機の装置メーカーで、生産ライン全体を請け負う「ラインビルダー」を掲げ、「2027年売上高500億円」に向けて「戦略的投資に積極的に取り組む」と開示しています。買収の数は多くなく、12年で3件です。3件とも国内の自動機・装置の会社で、うち2件は営業赤字の会社と民事再生中の会社の事業でした。
NITTOKU株式会社が公表した適時開示3件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 埼玉県さいたま市
- 設立
- ―
- 事業内容
- コイル巻線機を主力に、モータや電子部品などの自動化生産ライン(FA設備)を設計・製造する装置メーカー。非接触ICタグ・カード事業も持つ
- 売上高
- 424億1,200万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 54億3,900万円
- 純資産
- 405億1,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- FA自動機・専用機の設計製作/レーザ加工システム/制御盤の設計製作
- 対象の規模
- 対象の売上 16.9億円〜28.3億円(コイデエンジニアリングは非開示)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化・孫会社化)。民事再生中の会社からは、新設した子会社が吸収分割で事業だけを引き取り、日本政策投資銀行と共同で出資する形も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 買った会社は当面は社名のまま子会社として残します(アステクノスは取得時の開示で社名据え置き)。ただし2014年に買ったコイデエンジニアリングは「日特コイデ」となり、約11年後の2026年4月に本体へ吸収合併されています。
- 直近2件はどちらも取得価額を開示しています。アステクノスは10億円、片岡製作所のレーザ加工システム事業は21億円でした
- 2件とも、もともと取引のあった相手です。アステクノスにはNITTOKUが製造設備の生産を一部委託しており、片岡製作所からは出向者を受け入れ、製品の売買もありました
- 営業赤字が3期続いていた会社や、民事再生手続中の会社の事業も買っています。業績よりも技術と生産体制を見ている買い手です
買収の履歴3件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
株式会社片岡製作所のレーザ加工システム事業
レーザ加工システム(レーザ加工機)/京都府京都市南区/分割会社は1968年11月設立設立
- 取得価額
- 21億円
- 対象の売上
- 16億9,300万円
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:2025年1月期(対象事業)/譲渡前の株主:株式会社片岡製作所(民事再生手続中)。同社の株主は片岡宏也76.33%、京都銀行4.89%ほか/譲受価額21億円(現金決済)と開示。2026年3月期決算短信の後発事象では、取得原価12億円(現金)に加えて取得時に貸付金8億円を支出、アドバイザリー費用等34百万円と記載。譲受資産・負債の金額は相手先の意向で非開示/譲受対象事業のみの数値。同事業の売上総利益は587百万円。片岡製作所全体の売上高は8,236百万円(2025年1月期)
買収理由:自社のロール・ツー・ロール設備やモータ・半導体関連のプロセス技術とレーザ技術を組み合わせ、レーザ関連事業で新たな収益機会をつくる
対象事業の売上は19億5,100万円→11億6,400万円→16億9,300万円。2025年8月に民事再生手続の開始決定を受けた片岡製作所から、レーザ加工システム事業だけを切り出して21億円で引き取っています。事業の売上と同程度の金額です。2025年12月の基本合意の開示では「雇用の確保を含む事業承継」を目指すと明記されていました。会社が再生手続に入っても、技術のある事業は値段がついて引き継がれる例です。もともと出向や製品の売買がある取引先でした。
2026年4月13日に吸収分割が完了し、承継したNITTOKU KYOTO株式会社は2026年3月期決算短信で新たな連結子会社として記載されています。
株式会社アステクノス
自動化専用機械の設計製作・治具加工、制御盤の設計製作、人材派遣/静岡県静岡市駿河区/1993年3月設立
- 取得価額
- 10億円
- 対象の売上
- 28億2,600万円
- 対象の営業利益
- △2,700万円
- 対象の純資産
- 7億8,200万円
決算期:2023年3月期/譲渡前の株主:法人株主1社が保有(名称・所在地は相手先の意向で非開示)/アドバイザリー費用等(概算)17百万円を加えた合計は1,017百万円。純資産782百万円の約1.3倍
買収理由:車載部品向けの大規模生産設備の製造体制・技術開発・販路の拡充と、東海地域・北米の拠点拡充
売上28億2,600万円・純資産7億8,200万円。営業損益は1億5,700万円の赤字→9,500万円の赤字→2,700万円の赤字と、3期続けて営業赤字でした。それでも純資産の約1.3倍の10億円で売れています。赤字幅が年々縮み、経常損益は黒字に戻していた局面です。NITTOKUはこの会社に自社設備の生産を一部委託しており、外注先がそのまま買い手になった形です。取引先として仕事ぶりを知られていることが、買い手を見つける近道になる例です。
2024年4月1日に株式譲渡実行予定として開示されました。2026年3月期決算短信には前期に株式を取得した旨の記載がありますが、現在も子会社として残っているかを示す記載は確認できていません。
株式会社コイデエンジニアリング
FA組立機・特殊用途測定装置・省力機・工作機などの自動機の設計製作/新潟県三条市/1985年5月(創業1974年1月)設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/譲渡前の株主:開示に記載なし/非開示
買収理由:自動機の設計・製作ノウハウを取り込み、生産体制の基盤を固める
資本金1,500万円、創業1974年の新潟県三条市の自動機メーカー。「非公開会社であり、財務情報については非開示を求められている」として、業績は一切出ていません。売り手が求めれば数字を伏せたまま上場企業に売れる、という例です。グループ入り後は約11年間「安定した経営を維持し、グループ収益にも継続的に寄与」したと説明されています。
社名は日特コイデ株式会社に変わっていました(変更時期は手元の開示では不明)。2026年3月31日に日特コーセイから現物配当でNITTOKUの子会社となり、2026年4月1日付でNITTOKUに吸収合併されました。取得から約12年後です。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された2件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 株式会社片岡製作所のレーザ加工システム事業21億円(売上の1.24倍)
- 株式会社アステクノス10億円(売上の0.35倍)※営業赤字での譲渡
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはNITTOKU株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日