ワイエイシイホールディングス株式会社のM&A実績
装置メーカーとして、周辺の製造業の会社を10年以上にわたって買い足してきた会社です。売り手は創業家の個人株主、親会社の事業会社、経営が行き詰まった会社とさまざまで、民事再生中の会社や債務超過の会社の事業も引き受けています。買った会社はセグメントごとに組み込み、工業計器、医療機器、検査装置と事業の柱を増やしてきました。
ワイエイシイホールディングス株式会社が公表した適時開示7件をもとに整理しています。データ時点:2026年10月12日(新しい開示が出たら追加します)
会社概要
- 本社
- 東京都昭島市
- 設立
- 1973年5月
- 事業内容
- 半導体・電子部品の製造装置、人工透析装置などの医療機器、クリーニング仕上げ装置や工業計器・制御通信機器などを手がける製造業グループの持株会社
- 売上高
- 264億6,000万円(2026年3月期(連結))
- 営業利益
- 13億1,900万円
- 純資産
- 169億7,600万円
どんな会社を買っているか
- 買う業種
- 半導体・電子部品の製造装置/電子部品のキャリアテープ・自動処理装置/工業計器・制御通信システム・電気計測器/医療機器(人工透析装置など)/レーザー加工装置・AI検査装置
- 対象の規模
- 対象の売上 7.2億円〜46.8億円(民事再生中だったフェトンは売上非開示)
- 手法
- 株式譲渡(子会社化)が中心。民事再生会社の新株引受け、第三者割当増資の引受け、新設子会社による事業譲受も使う
- 赤字でも買うか
- 買っている(実績あり)
- 買収後の扱い
- 社名を残すことが多く、2023年に買ったJEインターナショナルとGDテックは2026年の決算短信にも社名で出ています。一方で、民事再生から引き受けたフェトンは「ワイエイシイフェトン」に改称したのち2016年に本体へ吸収合併し、ミユキエレックスも取得時に「ワイエイシイエレックス」への社名変更と本社移転を予定していました。
- 取得価額を開示する案件が多い会社です。7件のうち4件で金額が出ています(三和電気計器・三和テスメックス21億9,000万円、ミユキエレックス3億3,500万円程度、日本ガーター1億円、フェトン2,500万円)
- 傷んだ会社の引き受け手にもなっています。民事再生中のフェトン、営業赤字・債務超過のダステック、純資産がほぼゼロまで減っていた日本ガーターと、立て直し前提の案件が3件あります
- 大倉電気では価格を非開示としつつ「弊社純資産価格の15%未満」と書いています。ただし当時の純資産額は手元の開示に無く、上限の金額までは計算できません
買収の履歴7件
すべて同社が公表した適時開示から転記しています。「―」は開示が無いか、 まだ取り込めていない項目です。
三和電気計器株式会社/三和テスメックス株式会社
電気・光計測器(テスタ、マルチメータ。"sanwa"ブランド)の製造販売。三和テスメックスは製造拠点(羽村工場)の不動産を持つ資産管理会社/東京都千代田区(三和テスメックスは東京都羽村市)/1955年6月(創業1941年)設立
- 取得価額
- 21億9,000万円
- 対象の売上
- 15億9,900万円
- 対象の営業利益
- 6,100万円
- 対象の純資産
- 13億3,500万円
決算期:2025年9月期(三和電気計器)/譲渡前の株主:個人株主6名(氏名非開示)。創業者の2代目が両社の実質オーナー/2社の合計額で「21.9億円」と開示。第三者機関の財務・法務デューデリジェンスの結果を勘案して決定。取得割合は当初55.7%と開示され、3日後に55.3%へ訂正/三和電気計器単体の数値。三和テスメックスは売上37百万円・営業利益7百万円・純資産1,026百万円(2025年9月期)
買収理由:テスタのブランド力と小売のノウハウ、三和テスメックスの資産背景をグループの既存事業と組み合わせて事業を広げる
きっかけは「創業者の2代目である実質オーナーから株式売却の意向を受けた」ことだと開示に書かれています。三和電気計器は売上15億9,900万円・営業利益6,100万円・純資産13億3,500万円で、3期とも売上16億円前後、営業利益6,000万〜7,000万円と横ばいでした。事業会社と、工場の土地建物を持つ資産管理会社を2社まとめて売っています。事業と不動産を別会社に分けていても、一括で引き取ってもらえる例です。この期に新しく連結した会社は2社だけで、同じ期の連結決算には負ののれん発生益9億3,500万円が計上されています(決算短信は内訳を示していません)。
2026年3月31日付で取得し、2026年3月期決算短信で連結子会社として社名入りで記載されています(環境・社会インフラ関連事業に編入)。
JEインターナショナル株式会社(子会社の株式会社GDテックを含む)
AIを使ったFPC・半導体関連の検査装置の製造販売/岐阜県岐阜市(GDテックは韓国・京畿道安養市)/2010年7月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 11億9,500万円
- 対象の営業利益
- 1億9,400万円
- 対象の純資産
- 3億6,200万円
決算期:2022年1月期(JEインターナショナル)/譲渡前の株主:個人1名(金 敏秀、代表取締役)/守秘義務契約により非開示/JEインターナショナル単体の数値。GDテックは売上573百万円・営業損失33百万円・純資産451百万円(2021年12月期、1ウォン=0.1円換算)
買収理由:大手エレクトロニクスメーカー向けのハイエンド検査装置を取り込み、グループの半導体分野の自動機ノウハウと組み合わせる
売上11億9,500万円・営業利益1億9,400万円・純資産3億6,200万円。売上は12億5,000万円→7億700万円→11億9,500万円と一度大きく落ちてから戻した局面での譲渡です。韓国の製造子会社ごと、社長個人から買っています。海外に製造拠点を持つ小さな会社でも、国内の上場企業がまとめて引き受けた例です。
2026年3月期決算短信のセグメント情報で、JEインターナショナルと子会社のGDテックが社名で記載されています(環境・社会インフラ関連事業へ区分変更)。
ミユキエレックス株式会社
人工透析装置などの医療用機器、通信・監視・印刷機器、電子部品の製造販売/愛知県名古屋市/1947年9月設立
- 取得価額
- 3億3,500万円
- 対象の売上
- 31億2,300万円
- 対象の営業利益
- 9,300万円
- 対象の純資産
- 3億2,700万円
決算期:2016年3月期/譲渡前の株主:御幸毛織株式会社(東洋紡の100%子会社)が100%保有/「335百万円程度」と開示
買収理由:成長が見込める医療分野への新規参入と、機器製造技術のシナジー
売上31億2,300万円・営業利益9,300万円・純資産3億2,700万円に対し、価格は約3億3,500万円。純資産とほぼ同額、営業利益の約3.6倍です。営業利益は4,700万円→6,500万円→9,300万円と伸びていました。売り手は紳士服地メーカーで、本業と離れた電子機器の子会社を手放した案件です。
取得の開示で「ワイエイシイエレックス株式会社」への社名変更と兵庫県伊丹市への本社移転を予定と記載していますが、実施を確認できる後続の開示は手元にありません。
日本ガーター株式会社
電子部品の搬送用キャリアテープ、半導体部品の自動処理装置の設計・製造・販売/東京都青梅市/1957年7月設立
- 取得価額
- 1億円
- 対象の売上
- 46億7,900万円
- 対象の営業利益
- 1,200万円
- 対象の純資産
- 8,900万円
決算期:2014年12月期/譲渡前の株主:久保進(代表取締役)20.3%ほか、個人38名・法人8社・持株会の計47先/合計1億円。うち第三者割当増資の払込み99,691,263円(1株1円)、既存株主からの株式譲受308,737円(1株1円)。お金のほとんどは株主ではなく会社に入る形
買収理由:取扱製品の拡大と新たな顧客基盤の獲得、半導体事業とのシナジー
売上46億7,900万円の会社ですが、営業損益は△3億8,000万円→△1億6,100万円→1,200万円、純資産は400万円→2,300万円→8,900万円と、赤字で純資産がほぼ無くなった状態から立て直しの途中でした。既存株主47先が受け取ったのは1株1円、合計約31万円です。株主の手取りはほぼゼロでも、増資1億円で会社と事業は残るという形の譲渡です。
取得後の商号変更・合併などを確認できる開示は手元にありません。
フェトン株式会社
レーザープロセス装置の製造販売/神奈川県厚木市/2002年5月設立
- 取得価額
- 2,500万円
- 対象の売上
- ―
- 対象の営業利益
- ―
- 対象の純資産
- ―
決算期:非開示/新規募集株式4,000株の取得価額25百万円。既存の発行済株式は全部消却されたため、元の株主の受取りはなし
買収理由:パワー半導体分野の事業拡大に必要なレーザープロセス技術の取り込み
業績が計画どおり進まず資金繰りが悪化し、2014年1月に民事再生を申請していた会社です。資本金4億3,760万円の会社を2,500万円で引き受けています。元の株主の持分はゼロになりましたが、技術と事業は上場企業の中に残りました。取得後の2015年3月期は売上3億4,180万円・営業利益3,022万円を出しています(合併の開示より)。
取得後に「ワイエイシイフェトン株式会社」へ社名変更し、2016年1月1日付で親会社のワイエイシイ株式会社に吸収合併され解散しました。
株式会社ダステックの事業
切断機の製造販売、中古機械の販売/埼玉県戸田市/2002年1月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 7億1,600万円
- 対象の営業利益
- △3,700万円
- 対象の純資産
- △7,400万円
決算期:2014年3月期(譲渡会社)/非開示
買収理由:取扱製品と顧客基盤の拡大
営業損失3,700万円、純資産マイナス7,400万円の債務超過の会社から、事業だけを引き取った案件です。不採算部門を整理し、金融機関に債務の一部を免除してもらうことを前提に事業を移し、残った旧会社は特別清算する段取りでした。会社としては畳んでも、事業と顧客は次の持ち主に引き継げることを示す例です。
大倉電気株式会社
工業計器、制御通信システム、半導体製造装置の製造販売/埼玉県坂戸市/1936年12月設立
- 取得価額
- ―
- 対象の売上
- 30億1,400万円
- 対象の営業利益
- 100万円
- 対象の純資産
- 35億2,100万円
決算期:2013年3月期/譲渡前の株主:山崎雅昭(代表取締役)20.0%ほか個人7名80.0%(個人8名で100%)/相手先が個人であることと契約上の理由で非開示。「弊社純資産価格の15%未満」と記載。当時の純資産額は手元の開示に無く、上限額は計算できない
買収理由:工業計器・制御通信システムによる取扱製品と顧客基盤の拡大、熱関係の技術による半導体分野でのシナジー
1936年設立の老舗で、純資産35億2,100万円と売上(30億1,400万円)を上回る資産を持っていました。一方で営業利益は3億8,900万円→5,600万円→100万円と急減し、最終期は純損失5,500万円です。利益が細っていても、厚い資産と技術があれば上場企業が買います。社長の持分は20%で、残りを個人7名が持つ形から100%がまとまっています。
この会社に売るといくらか
取得価額が開示された4件の実績です。公表されている数字をそのまま並べたもので、 自社の価格を保証するものではありません。 営業利益率が低い業種では営業利益の倍率が大きく出るので、売上との比もあわせてご覧ください。
- 三和電気計器株式会社/三和テスメックス株式会社21億9,000万円(売上の1.37倍・営業利益の35.9倍)
- ミユキエレックス株式会社3億3,500万円(売上の0.11倍・営業利益の3.6倍)
- 日本ガーター株式会社1億円(売上の0.02倍・営業利益の8.3倍)
- フェトン株式会社2,500万円
自社だといくらになるかは、売却相場の考え方をご覧ください。
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本ページはワイエイシイホールディングス株式会社が公表した適時開示をもとに編集部が整理したものです。 同社とは資本関係・提携関係はなく、掲載にあたって金銭のやり取りはありません。 内容に誤りがある場合はお問い合わせよりご連絡ください。最終更新:2026年10月12日